高級ファッションに怒る両津をなだめる中川とは、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の1シーンである。
概要
コミックス152巻に収録された『両津改造計画!?の巻』の中での両津勘吉と中川圭一との数ページにわたるやりとりである。
この話はファッション雑誌『MEN'S NON-NO』とのコラボレーション回で、中川のファッション会社が参加するファッションショーのモデルとして両津を説得する…という話。だが両津はファッションについては『安さ』に強いこだわりを持っており、高級ファッションとの相性は悪いように思われた。
大衆酒場でスタイリストやデザイナーが両津への交渉を始めるが、資料の中にあった高額のジャンパーに目が止まった両津はあまりの高さに怒り始めた。
両津「なめてんじゃねぇのか!!高過ぎだ!!」
両津「わしのジャンパーは600円だぞ!!2000円のを特価で600円だぞ!!」
デザイナー「それとこれととは……」
その様子を見ていた中川が状況を察知し動き出す。
両津「あっ本当 悪いな」
デザイナー「とてもダメだ!」
両津の交渉にさじを投げたデザイナーだったが、ここで中川がなだめて説明を始める。
両津「おう 大好き!」
中川「『車』とは人や荷物の移動が目的だから真四角で燃費が良く安いが一番ですよね」
「スポーツカーは走る実験室といわれるF1の技術が使われ、カーボンやアルミなど高い素材を惜しみなく使い運動性能を極めたマシン!
いわば技術者の情熱の結晶」
「だから『箱型エコ車』とは根本から違う!走らず止まっていても絵になるのがスポーツカーだ!」
「高価で買えなくてもその存在自体がわしらをワクワクさせる それがスポーツカーなのだ!!」
中川「それと同じです」
両津「えっ」
中川「量産品では表現できないものをデザイナーが時間と素材を惜しみなく使い極めた作品
いわばデザイナーの情熱の結晶!」
「だから結果として…高くなってしまうのです」
両津「そ…そうだったのか…いっぺんに理解できた!」
ファッションに対する誤解が解けた両津は、この後ファッションモデルを引き受けることになる。
解説
中川の両津に対する説明は、『他分野に疎い人間に対して、その人になじみ深い分野にたとえて説明する』好例としてしばしば話題になる。説明に入る前に煮込みを与えて気持ちをなだめるという場面も交渉術として有効だとされる。両津との付き合いが長い中川ならではの交渉術といえるだろう。
両津も若い頃はオシャレにはそれなりにのめり込んでいた(コミックス44巻「招かれざる客!?の巻」)が、女性にモテないと悟ってからはファッションは安さ最重視に傾倒したという。
中川「暗い過去があったんですね…」
また、『高級ファッションと一般ファッション』『F1と一般車』の関係性の説明にもこのやり取りが使われることもあり、学問における専門研究と基礎研究の関係性にも「このやり取りを思い出す」という者も存在する。
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