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　ICE1とは、ドイツの高速鉄道 ICE（InterCityExpress）で一番最初に運行を開始した車両である。ドイツ鉄道が保有、運行している。

概要

　激化する航空機や高速道路とのシェアの奪い合いに対し、西ドイツ国鉄はIC（インターシティ）の更なる速度向上が必要であると判断した。その為、日本の新幹線に倣ってET403型電車を製造してみたものの、結局良い結果を得られなかった為、従来の機関車牽引の客車列車による高速鉄道車両を開発する事にした。そして開発されたのがICE1である。1991年にICEとして運行開始した。

　車両は両端に電気機関車とそれに挟まれた客車で構成され、電気機関車は401 型、中間客車にはそれぞれの車内設備に合わせて801/802/803/804型の車両番号が付与された。電気機関車の制御方式はVVVFインバーター制御となっており、120型電気機関車(DB)をベースに問題点を改善、更に改良を加えたものとなっており、信頼性もより一層向上した物となっている。機関車一両あたりの出力は4800kwだが、編成には両端に１両ずつ付く為、編成辺りの出力では9600kwにもなる。これは当時のフランスのTGVよりも高い数値である。客車はアルミニウム製の一体形成構造、機密構造となっており、台車には意外にもコイルバネを利用している（但し、1995年頃に車両不足を補う為追加製造された分は空気バネを使用）。車輪は一体圧延車輪を使用、一時期乗り心地改善とコスト削減から弾性車輪を使用していたが、後述するエシェデ事故の原因とも言われている事から、現在は全て一体圧延車輪に戻されている。

　主な運用はICEでの運用となっており、ドイツ国内はもちろん、スイスやオーストリアへの直通運用も行っている。編成は機関車2両に対し中間車両を11～13両で運用される事が多いが、一応最大で14両まで繋げる事が可能となっている。

海外輸出

　国内で成功を収めたICE1は海外への輸出商戦へ乗り出した。アメリカで東海岸を結ぶ鉄道の高速化の為、新型車両導入の話が出てきていた事から、１編成をアメリカへ持って行き、実際に試運転するなどの売込を開始した。同じような手でスウェーデンのX2000も売込をする等、激戦と化していた。しかし最終的に採用されたのはフランスのTGVをベースとした車両となってしまい、ICE1は採用されることは無かった。

　また、台湾高速鉄道の車両納入では、フランスと共同で開発した「EURO TRAIN」の電気機関車にICE1の発展型であるICE2の機関車が採用され、実際に売り込みを行った。ところがこの「EURO TRAIN」用の中間客車はICE1又はICE2ではなく、TGV-Dupl exで使用されている二階建て、連接台車の車両で、この組み合わせでの一般運用経験が全く無かった。更に収容力や車両の加速力等で日本連合が提示した新幹線車両に全く歯が立たず、一般運用実績も700T型（700系新幹線電車の改良型）の相手にはならなかった。

　結局、ドイツが海外へICEの車両の売込みに成功するのは、第三世代のICE3になってからとなってしまった。

エシェデ事故

　ICE1を語る上でどうしても外す事が出来ないのが1998年 6月3日に発生したエシェデ事故である。ドイツのみならず、当時としては全世界レベルで見ても他に類を見ない、高速鉄道史上最悪の事故と言われている。

　事故はミュンヘン発ハンブルグ行きのICE1がエシェデ付近を走行中に突如車輪が破損した事により発生、先頭の機関車より後ろの車両が脱線、先頭側から１両目と２両目の客車はそのまま脱線しつつも軌道上で停止したが、３号車より後ろは脱線の影響により切り替わってしまったポイントを通過、急に曲線に差し掛かった為ぶつかったり横転したりする等して損傷、6号車以降は途中にあった道路橋脚に激突、全車大破した。この事故による死者は101名、負傷者も80人以上という大惨事となっている。

　事故原因は中間客車に使用していた車輪を一体圧延車輪から、コスト削減と乗り心地改善の為に弾性車輪に変更した事が原因とされている。元々弾性車輪は低速の路面電車等に使用されるもので、高速鉄道で使用した場合、高温になり破損する恐れがある為、ICE以外の高速鉄道で、一般に導入される例は無かった。今回の事故は弾性車輪が破断し車体に食い込み、その状態でポイントを高速で通過した際に護輪軌道を巻き込み、更にポイントを切り替えてしまった事によって発生したと考えられている。（詳細はwikipediaなどを参照）