真の『失敗』とはッ!開拓の心を忘れ!困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事を言うのだッ!とは、失敗という言葉に対しての熱弁である。
概要
漫画「ジョジョの奇妙な冒険」Part7スティール・ボール・ランに登場する、スティーブン・スティールの台詞。
1890年9月25日に開催される人類史上初の乗馬による北米大陸横断レース『スティール・ボール・ラン・レース』。そのプロモーターであるスティーブン・スティールは、大会出資者のひとつである新聞社イーストアンドウエスト・トリビューン紙の独占取材である記者会見にて記者たちに向かい、2日後開催のレースについて概要を解説した後、会見は記者たちの質問に移った。
全米どころか世界中が注目しているこのスポーツ大会に、ドイツの貴族ロッカチュゴ男爵が「自動車」と呼ばれる機械での参加を表明したことに対してスティール氏は参加を認めたと回答。歴史上初の大陸横断長距離レースに何が起こるか誰も予測できない。その上でレースのアイデンティティーに開拓の精神があるとし、機械であろうとその挑戦を受けるとした。
しかし、レースのルールでは騎乗する馬の交換は失格とし、さらに未だ開拓されてない道なき荒野もルート上に存在する。このレースはスポーツではあるが、『武装して身を守る権利』を参加者から取り上げる事はできず、犯罪に関わる行為以外は各自銃器類の携帯を許可し、レース中の自分の安全は自分で確保するよう表明してはいるが…。
総距離約6,000kmという凄まじい距離に加えて過酷なサバイバル。もしゴールのニューヨークまで誰ひとり到達できない事態が起これば、もちろんレースは大失敗。出資者たちは怒るし、スポーツ大会自体の信用の失墜ともなる。その時どう責任をとるかと記者は質問したが、スティールは「消されるかも…[1]」と、シャレにならないジョークを口走り思わず質問した記者も苦笑い。
だが直後に発したスティールの演説は、立ち向かう不安に対してきっと乗り越えていくだろうという熱弁だった。
失敗というのは…………
いいかよく聞けッ!真の『失敗』とはッ!
開拓の心を忘れ!
困難に挑戦する事に
無縁のところにいる者たちの事を言うのだッ!このレースに失敗なんか存在しないッ!
存在するのは冒険者だけだッ!
この「スティール・ボール・ラン」レース
は世界中の誰もが体験したことのない競技大会となるだろうッ!!
記者たちの拍手とシャッター音に包まれながら、この言葉をもってレース開催前の記者会見は終了した。
このレースの成否の不安は、記者たちには見せていないがスティールも会見前に14歳の妻ルーシー・スティールに対して赤ん坊のように泣きながら甘えて吐露している。スティールにとってこのレースは、失敗を繰り返しながら波乱万丈の人生を経て、プロモーターとして大成功を収めながら赤の他人の影響で評価が一転して失墜し、信用を失いながらもようやく開催にこぎ着けた再起のかかったレースでもある。
そんな失敗も許されない状況ながらも、スティールが内に秘める少年のような理想と情熱が彼のカリスマ性につながっており、そんな彼に言わせれば困難に挑まない事こそ「真の失敗」と言ってのける。非常に前向きな精神を表した名台詞と言えよう。
本作「スティール・ボール・ラン」は、作者・荒木飛呂彦の代表作である「ジョジョの奇妙な冒険」の第7部にあたる作品であるが、連載開始時に「ジョジョ」とはパラレルワールドの作品のためタイトルから一旦「ジョジョの奇妙な冒険」を外したものの、「作品のテーマは過去から連続していなくてはならない」と作者は述べており、「ジョジョ」から受け継がれた『人間讃歌』のテーマは変わらずに描かれている。時に人間は「失敗」してしまう事もあるが、その「失敗」から学んだり前向きに利用する事も『人間讃歌』のひとつなのだ。
言葉自体は大きな理想かもしれないが、何もしないでいれば何も得られない。この熱き言葉を心に刻んで困難に挑戦する勇気を持とう。
もうひとつ…うしろにいる方は奥様ですか?14歳と聞きましたが
関係ねーだろ、名言とは。
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関連項目
- ジョジョの奇妙な冒険
- スティーブン・スティール
- ジョジョの奇妙な冒険 関連項目一覧
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脚注
- *この時点では読者にも明らかになっていないが、このレースが開催できるように手を回したのは時の合衆国大統領「ファニー・ヴァレンタイン」であり、ある陰謀のためにレースとスティール氏のカリスマ性を利用しているのに過ぎない。利用価値が無くなれば始末されてしまい、まして「レースの失敗」となれば本当に「消される」ので、冗談で言っていない可能性が高い。
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