Sunoとは、アメリカ合衆国のAIテクノロジー企業「Suno Inc.」、および同企業が提供するAI楽曲生成サービスの名称である。「Suno AI」とも。
概要
「Suno Inc.」(以後、Suno社)はアメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠地をおくAIテクノロジー企業である。「Suno」という名称は「聞く」という言葉を意味するヒンディー語に由来する[1]とされている。「सुनना」(スナ、スンナ、スノ)だろうか。
2023年時点のCEOはMichael (Mikey) Shulmanで、彼にGeorg Kucsko、Martin Camacho、Keenan Freybergの3名を加えた4名で共同で創業された。彼ら4名は元は金融関連のAI市場分析ツール開発企業「Kensho」に勤めていた。
AI楽曲生成サービス「Suno」(以後、Suno AI)としては、2023年12月に提供が開始された。MicrosoftのAIアシスタントサービス「Copilot」(コパイロット)上で利用できるほか、Sunoの公式ウェブサイト上で、またモバイルアプリ上で利用できる。ユーザーが「どのような楽曲をつくりたいか」といったイメージを文章や選択肢によってAIに指示すると、その指示に合ったような楽曲が自動生成されるというサービスである。Suno社はこのサービスにより、「誰でも音楽を制作できる」という未来を目指している。
インストゥルメンタルの音楽だけでなく、人間が歌っているかのようなボーカル音声が入った、伴奏つきの楽曲を生成することができる。また歌う歌詞は自動生成させることもできる。つまり、「自動作曲」だけでなく「自動作詞」「自動演奏」「自動歌唱」「自動MIX」まで行っていることになる。
ユーザーが指示した歌詞に合わせた楽曲を生成させることもできる。Suno社はアメリカ合衆国の企業でありSuno AIの公式サイトも英語だが、日本語の歌詞を生成させることもできるし、ユーザーが用意した日本語の歌詞に合わせて楽曲生成させることもできる。
ただし、Suno社は自分たちのサービスによる生成物で他者の権利を侵害することを望んでいないため、「〇〇(固有名詞)のような曲を」などと指示してもその指示は拒絶され、「Sunoはオリジナル楽曲を生成するためのものなので、特定のミュージシャン名を指示に使わないで」といったメッセージが表示される。つまり、音楽ジャンルや楽曲の雰囲気などで指定する必要がある。さらに、他者の権利を侵害するような歌詞で楽曲を生成することは規約で禁じられている。下品、わいせつ、名誉棄損的、他者のプライバシーを侵害していたりするような歌詞も規約違反となる。
公式サイトから利用する場合、無料のまま利用することもできるが、有料登録して利用することもできる。
無料プランでは1日に数回のみしか楽曲生成させることができず、その生成の優先度も低いので混雑している場合には生成に時間もかかる。さらに無料プランで生成された楽曲の権利はSuno社が有する取り決めとなっているので、楽曲を商用に利用したり対価を得ることはできない[2]。
一方、有料登録すると月あたりにかなりの回数生成させることができ、また生成処理の優先度も無料の利用者より高くなる。さらに、生成された楽曲の権利は利用者に移る為、商用利用もできるし配信や販売して収益化するようなこともできる。
Suno社はSuno AIサービスのリリース以前に、ソフトウェア開発ウェブサービスGitHub上で「Bark」というソフトウェアを研究目的としてオープンソースで開発/公開していた[3]。これはAI技術を用いて、テキストから非常に自然な会話音声や音楽を生成させるものだった。現在のSuno AIにもこの「Bark」の技術が応用されているとみられる。また、Google社のユニバーサル大規模音声モデル「Chirp v2」をベースにしているともいう。
楽曲の生成についてAIを訓練するため、インターネット上で公開されている楽曲を用いて学習させたことが明言されている。その中にはアーティストが著作権を有している楽曲も含まれるはずであるため、2024年6月にアメリカの音楽産業の業界団体である「RIAA」[4]はSuno社を提訴した。これについてSunoは「学習はコピーではない」「広く使われている他の大企業の生成AIも同様の手法を用いている」などと反論している。[5]
難点とその解決例
実際に使用して楽曲を生成してみたユーザーからは、「生成された楽曲の中で気になった部分だけを修正する」ことができない[6]という難点が挙げられており、「不満点の少ない良い楽曲が生成されるまで、生成を繰り返し続けるしかない」ことが「ガチャ」に喩えられている[7]。
こういった難点については「多数生成させてから、気に入った部分を編集ソフトを用いて切り貼り結合して理想的なメロディの曲にする」「別のソフトでボーカルを除去抽出し、抽出したボーカルをまた別のソフトのボーカルMIDI変換機能を使ってMIDIに変換、さらにそのMIDIを他の音声合成ソフトのボーカルに置き換える」「DAWソフト等でボーカルを取り除いた伴奏とボーカルを統合する」といった手順を踏むことで気になる点の修正含めた作業が可能となるとのこと。下記のリンク先では具体的なソフト名とともに手順が紹介されている。
そういった手順を経て作成された楽曲が以下のものであるとのこと。
関連動画
前述のように、下品、わいせつ、名誉棄損的、他者のプライバシーを侵害していたりするような歌詞は規約違反となる。
関連リンク
関連項目
脚注
- *New generative AI music app focuses on creating original songs
- *無料で公開することは許可されている。また、無料プランで歌詞を入力して楽曲を生成させた場合でも「入力された歌詞の権利がSuno社に移る」ようなことはないと公式サイトのFAQで明言されている。
- *GitHub - suno-ai/bark: 🔊 Text-Prompted Generative Audio Model
- *Recording Industry Association of America、アメリカレコード協会
- *The Future of Music – Suno
- *Xユーザーのあぶぶ@健全さん: 「音楽AI方面でも「人間をある程度満足させられるけど完璧にはできない問題」は付き纏っているな。ボカロみたいな曲が数十秒で出てくるのは脅威的だが、逆にボカロだったら2秒で直せるようなミスを絶対に修正不可能だし。」 / X
- *Xユーザーのあぶぶ@健全さん: 「若干気に入らない部分がある曲があるのでデイリークレジットで再度生成させてみる…、が今日は良いのが全然出ない。完全にガチャだこれは。考えてみるとイラスト生成は一括でモノが出てるとは言え技術があれば気に入らない細部の修正は可能だし、」 / X
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