お前は「死」にすら値しないとは、幽☆遊☆白書の作中(原作15巻act.138、アニメ84話)で蔵馬が発するセリフである。
魔界の穴事件を追って、首謀者の仙水が待つ洞窟に潜入した幽助達一行。その途中、蔵馬は天沼と対峙し、彼が仙水に利用されているだけだと知りながら、仙水のもとに辿り着くために彼を殺してしまう。
蔵馬は天沼を捨て駒同然に扱った仙水に対する怒りを胸に秘め、一行と共に更に奥へと歩を進める。そして最奥部に辿り着いたとき、今まさに魔界の穴を開こうとしている仙水一味とついに対峙した。
最初に立ちはだかったのは、"美食家"[1]の能力を持つ大男、巻原だった。巻原は、蔵馬が天沼の件で激しい怒りを抱えていることを言い当て、蔵馬の心の傷を抉ってくる。その様子を見た一行は、あることに気が付くのであった。
ピンポーン その通り
室田ってヤツの"盗聴"[2]はオレが喰っちゃった
少し前まで幽助達と行動していた室田が「喰われた」という事実に驚愕する一行。だが、神経を逆撫でするような巻原の言葉は、ついに蔵馬の逆鱗に触れたのだった。
蔵馬は一行の前に立ち、「こいつはオレがやる」と宣言。そして薔薇棘鞭刃の一振りのもと、巻原の頭部を真っ二つに切断、あっさりと彼を殺害してしまった。だが…
もはやそいつの体からはお前の臭いしかしない
蔵馬がそう言うと、頭部を切断されたまま巻原は立ち上がり、切断面からかつて暗黒武術会で戦った戸愚呂(兄)が生えてきた。実は巻原は幽助達と対峙する前、戸愚呂を喰って能力を吸収していたものの、不死身の戸愚呂を消化しきれず、逆に精神を戸愚呂に乗っ取られてしまっていたのだ。
戸愚呂は、かつて幽助達に敗れたことで彼らを恨んでおり、復讐の機会を窺っていたという。そして、元々の不死身の特性に加えて能力を吸収する力も手に入れ無敵になったと豪語し、再び蔵馬に襲いかかる。
これに対し、煙幕のようなものを展開して応戦する蔵馬。だが、"盗聴"の能力を持つ戸愚呂には、蔵馬の思考が筒抜けであった。戸愚呂は煙幕の中で蔵馬の位置を正確に察知し、素早く蔵馬に接近すると腹部を貫き、一撃で致命傷を負わせる。が…
今 何かしたか?
何事もなかったかのようにそう言ってみせる蔵馬。これに逆上した戸愚呂は更に攻撃を加えるが、一向に蔵馬が力尽きる気配はない…
一方、煙幕の外では幽助達が戦いの行方を見守っていたが、聞こえるのは戸愚呂の叫び声だけで、煙幕のせいで中で何が起きているのかわからずにいた。痺れを切らして蔵馬に加勢しようとしたところで、煙幕の中から人影がひとつ。それは、無傷の状態の蔵馬であった。「もう終わった」と一行に告げる蔵馬。では戸愚呂は先ほどから何と戦っているのか…?
やがて煙幕が晴れると、そこにあったのは驚愕の光景であった。
邪念樹
エサに幻覚を見せておびき寄せ寄生する魔界の植物。戸愚呂は邪念樹に寄生され、それによって見せられた蔵馬の幻影と戦っていたのだ。実は、蔵馬は最初に巻原の首をはねたときに既に邪念樹の種を植えこんでいて、煙幕もただの目くらましではなく幻覚物質が外に漏れださないためのシールドの役割を果たしていた。
邪念樹はエサが死ぬまで離さないが、不死身の戸愚呂は死ぬこともできず、永遠に蔵馬の幻影と戦い続けることになった。蔵馬は戸愚呂に向け、最大限の軽蔑を込めて言い放つ。
お前は「死」にすら値しない
不死身の戸愚呂は、その力に驕り、更に蔵馬の逆鱗に触れたために、死よりも惨い末路を辿ることになるのであった。
魔界の穴事件解決後の能力者達を描いた本編後日談では、巻原は「ちなみに巻原は戸愚呂(兄)といっしょに未だに体だけほら穴の中」とコマ外に書かれただけというあんまりな扱いであったが、本作を元にしたゲーム「幽☆遊☆白書100%本気バトル」では巻原&戸愚呂のその後がもう少し詳細に描かれている。
あの後も戸愚呂は邪念樹に寄生されながら蔵馬の幻影と戦い続けていたが、戸愚呂の発する妖気によって低級妖怪が引き寄せられ、洞窟周辺で行方不明事件が頻発するようになってしまったため、巻原の体もろとも魔界に追放された。どっちにしてもあんまりな扱いである。
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最終更新:2025/05/25(日) 11:00
最終更新:2025/05/25(日) 10:00
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