ヌタウナギとは、ヌタウナギ綱の生物、あるいはその中の一種である。
脊索動物門・脊椎動物亜門・無顎口上綱・ヌタウナギ綱の深海生物の総称、あるいはその中の一種(Eptatretus burgeri)。ヤツメウナギ(ヤツメウナギ目(Petromyzontiformes)の生物の総称、あるいは主に食用となるカワヤツメ(Lethentron japonicum)等の俗称)などと同じく、厳密には魚類では無いが、便宜上は魚類として扱われる(すなわちウナギの仲間でも無い)。近年の分類では無顎口上網に含まれる魚類の一種とする学者もいるが、意見が分かれている(「魚類」参照)。ヌタウナギの仲間は基本的に深海に生息しているが、ヌタウナギなど浅い場所に生息している種類も存在する。
体長は数10cm。見た目はウナギのようだが、よく見ると目が無い。そのため、かつてヌタウナギの仲間はメクラウナギが代表種で分類もメクラウナギ綱メクラウナギ目メクラウナギ科ヌタウナギとされていた。ところが、大人の事情で種名のメクラウナギはホソヌタウナギに、綱以下の分類名はヌタウナギに改称された。ここで注意してほしいのはメクラウナギがホソヌタウナギに改称される前からヌタウナギはヌタウナギである。
ヌタ腺と呼ばれる器官から「ムチン」と呼ばれる粘液を分泌することで知られており、見た目通り非常にヌルヌルヌメヌメしている。これにより捕食者がヌタウナギを食べようとするとムチンでむせてしまうため生存に一役買っている。アメリカのとある道路で大量のヌタウナギを積んだトラックが横転した際、ムチンが大量が路面に流れたことで後続車がスリップするほどに滑る。
ヌタとは酢味噌タレ(ぬた。饅)や酢味噌和え(ぬた(なます)。饅膾)など見た目が沼田(ぬた)を連想させるものに付けられる呼称だが、ここでは防御や攻撃のために腹部の粘液腺から大量に分泌されてしばしば漁網や船体を損なう謎の白い液体糸状の白い粘液を指す。
英語では hagfish ((お伽話の鬼婆のように)醜く意地悪な魚)あるいは slime eer (粘液ウナギ)と呼ばれ、鋼名・目名・科名に含まれる Myx- はギリシア語で粘液を意味する myxa から。属名 Myxine は現在ではホソヌタウナギ属と呼ばれているが、ヌタウナギ属(Eptatretus, ギリシア語で「7組の開口部(鰓孔。いわゆる「目」。実際には1~16組ある)」)とは学名と和名との間で交叉が生じていて少々ややこしい(ついでに言えば Eptatretus は意味的にヤツメウナギとも被っていて一層ややこしい)。いっそ Eptatretus (burgeri) の方をホンヌタウナギとでもすればいいのに。
「生きた化石」に含まれる非常に原始的な脊椎動物で、顎を持たないうえ、一応脊椎動物に分類されてはいるものの、骨と呼べる部分は殆ど存在しない。見た目も白っぽくて不気味だが生態も不気味で、海底に沈んだ死体に大量に群れて死骸を食い漁るという。また底引き網に紛れて他の魚を食べてしまったり漁具を粘液まみれにしてしまったりするため、漁師からは嫌われている。
しかしながら韓国では滋養食として丸焼きにしたりブツ切りをコチュジャン等で風味付けして炒めたりして、わざわざ日本やアメリカから輸入するほど広く食べられている(乱獲等により近年は韓国国内の漁獲量が激減している)。日本では日本海側の一部で塩焼き・干物・燻製にして食べている地域もあるが、国内では殆んど流通していない。
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最終更新:2025/12/16(火) 08:00
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