売春防止法 単語


ニコニコ動画で売春防止法の動画を見に行く

バイシュンボウシホウ

3.0千文字の記事

売春防止法とは、売春を防止する的で作られた法律である。

三条 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。


売春防止法 | e-Gov 法令検索exit, 2025/07/27閲覧

ただし、この法律が取り締まるものは「売春そのもの」ではないことに留意したい。以下に説明する。

本法律の趣旨

法律1956年5月24日に交付され、1957年4月1日に施行された。この法律の制定には長いやり取りがあったり、一部地域で売春が合法だった地域 (線) があったりしたのだが、そのあたりはWikipedia大先生解説を譲る。

法律の趣旨は以下のようになっている。

一条 この法律は、売春が人としての尊厳をし、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることに鑑み、売春を助長する行為等を処罰することによつて、売春の防止を図ることを的とする。


売春防止法 | e-Gov 法令検索exit, 2025/07/27閲覧

ざっくばらんにいえば、

  • 売春ってみだらでよくないよね
  • だから売春を助長する行為を罰するね

という法律である。ここで重要なのは後段である。

本法律が罰する内容

法律の罰する内容は、第5条から第15条までに書いてある。この内、第14条は個人だけでなく法人にも適用するという内容であり、第15条は併科 (どちらかの罰を与えるという内容について、両方の罰を与えてもいい) についての話なので、13条までを箇条書きにしていく。一度じっくり読み込んでほしい。

  • 第5条
    • 売春の勧誘
    • 衆のに触れるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること (街娼)
    • 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこ
    • 衆のに触れるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること
    (以上、6ヶ以下の拘禁刑又は2万円以下の罰金)
  • 第6条
    • 売春の周旋 (ポン引き)
    • 人を売春の相手方となるように勧誘すること
    • 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこ
    • 広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること
    (以上、2年以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金)
  • 第7条
    • 人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は族関係による力を利用して人に売春をさせること (3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)
    • 人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春をさせること (3年以下の拘禁刑又は3年以下の拘禁刑及び10万円以下の罰金)
    • 前2項の未遂
  • 第8条
    • 第7条の罪を犯した者が、その売春の対償の全部若しくは一部を収受し、又はこれを要し、若しくは約束したとき (5年以下の拘禁刑及び20万円以下の罰金)
    • 売春をした者に対し、族関係による力を利用して、売春の対償の全部又は一部の提供を要すること (3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)
  • 9条
    • 売春をさせる的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与すること (3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)
  • 第10条
    • 人に売春をさせることを内容とする契約 (3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)
    • 前項の未遂
  • 第11条
  • 第12条
    • 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とすること (管理売春、10年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金)
  • 第13条
    • 売春を行う場所を提供する業に要する資金、土地又は建物提供 (5年以下の拘禁刑及び20万円以下の罰金)
    • 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の定する場所に居住させ、これに売春をさせる業に要する資金、土地又は建物提供 (7年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金)

……お気づきだろうか。実はこの売春防止法、「売春につながる行為」は片っ端から刑罰を定めているのだが、「売春そのものについての刑罰はない (あくまで法律アウトではあるが)」のである。更に言えば、「買春についても刑罰はない (あくまで法律アウトではあるが)」のである。なので例えば読者諸賢らが買春をしたとして、罪にはなるが罰はない。

なぜこうなっているのか

さて、「売春防止法」といいながら、なぜ「売春」そのものは刑罰規定がなく、「買春」も刑罰規定がないのか。これについて解説してみよう。

まず前段の「売春そのものは刑罰規定がない」部分。これは売春に陥った者は「悪い」ではなく「福祉の救済を必要とする者」という観点で立法されているからである。引用した第1条にも「売春が人としての尊厳をし、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることに鑑み」とある。街娼行為とかになってくると流石に自分からわざわざ「売り」に行ってるので処罰されるが。

重要なのは後段、「なぜ買春は刑罰規定がないのか」である。こちらが複雑な話になってくる。本来であれば、法の制定趣旨として、「売春が人としての尊厳をし、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであること」となっており、尊厳をされるのは「売る方」なはずなのだから、「買う側」に罰則があってよかろうと思われよう。

しかし、これを処罰しようとした場合、難しいポイントがある。というのは、売った方は拠を集めれば現行犯逮捕だけでなく「通常逮捕」も可なのだが、買った方の通常逮捕は難しいのである。「何年何何日何曜日何時何分に々といくらの契約セックスしました」とかでも記録を残してくれていれば買春した側も通常逮捕できようものだが、それでは拠を残すことになるのだから売春する側がそんなものを残すはずがない。

また、現行犯逮捕もできない。例えば、警察官自身が街娼のふりをしていかにもセックスしたそうなを見つけたと思い、「ねえねえお兄さんセックスしない?イチゴでいいよ」なんて言ったとする。いわゆるおとり捜なのだが、……「えこ警察官自身が第5条に引っかかってない?」となるわけだ。やるつもりがあろうがなかろうが街娼行為は売春防止法に思いっきり引っかかっており、そしてこうした違法な手段で集めた拠は拠とみなさない (違法収集拠排除法則) というのが日本法律では採用されているのだ。まあ、そうでなければいくらでも犯人としてでっちあげることができてしまうのだから、やむを得ない。

とはいえ、2020年代に入ってくると、大久保公園街娼行為 (立ちんぼ) で逮捕される女性が増え、それに関して「なぜ買う側には罰則がないのか」といった議論が巻き起こるようにはなってきている。どのように罰則規定を設けるかは今後の議題にはなりそうである。

関連リンク

関連項目

この記事を編集する
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/21(日) 13:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/21(日) 13:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP