日本鉄道建設公団とは、国の作った鉄道建設の為の特殊法人である。
国鉄の赤字問題が顕在化しだした1963年に、国土の均衡的発展を唱えるとある政治家の肝入りにより発足した公的機関である。
鉄建公団が引き受けた工事線は地方開発線(A線)、地方幹線(B線)、主要幹線(C線)、大都市交通線(D線)、海峡連絡線(青函トンネル・E線)、新幹線(G線)、民鉄線(P(=Private)線)及び都市鉄道線の8つに区分され、完成した路線は公団が鉄道事業者に貸し付け、青函トンネルや上越新幹線を始めとする日本の鉄道網の根幹となる路線を多く建設した。
その一方で建設路線の大半を占めたAB線は地方開発線・地方幹線は計画段階から需要が全く見込めないローカル線であり、赤字ローカル線を抱え込むことによりこれ以上の経営赤字の拡大を拒んだ(新線の建設を拒んだ)国鉄(日本国有鉄道)に政治家(更に言えば国民が)が望んだ路線を敷設するために発足した機関という一面も持ち、国鉄の経営を更に追い詰めた国鉄のキングボンビー的存在と揶揄される。
そもそも、国鉄は国の施策に経営が大きく左右され、かつ年々増大する輸送需要に応えるべく、五方面作戦や新幹線を始めとする主要幹線の整備に莫大な資金が必要なのにもかかわらず、独立採算制の建前の元、国からの助成や追加出資は一切受けておらず、全ての投資や運転資金を自己資金や借入金で賄うという矛盾を抱えており、それが後の国鉄破綻の大きな一因となった。
後に国鉄再建法の成立によって、AB線(一部を除く)の建設予算が凍結され、第3セクターによって開通した路線と未成線に分かれ、すでに完成した路線もその多くが特定地方交通線に指定され廃止か第3セクター鉄道への移行の二択を地元に迫ることになった。
ちなみに建設予算凍結を回避したのは、黒字になると想定された鹿島新線(国鉄が第3セクター化を要望したため、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線となる)と、予讃線の短絡ルートとして建設された内山線(予讃線の新線部分および内子線)のみである。
また、公団自身も1979年に不正経理問題が発覚し、青函トンネル竜飛作業坑完成の祝賀会が自粛に追い込まれる不祥事を起こしている。現在は2003年に行われた特殊法人改革により、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に統合されている。
掲示板
29 ななしのよっしん
2024/02/14(水) 15:34:00 ID: w3d3slTR4W
鉄建公団を否定的に語る現代の論調の方がおかしい、と考える人って意外と多そうだからな。
鉄道は最重要なインフラなのだから……という文脈で語るのならば
赤字だろうが何だろうが全国あまねく鉄路を引こうとした彼らの行いは偉業と捉えるのが自然だろうし
いつか再評価される日がやって来ると信じてもいるかも
30 ななしのよっしん
2024/09/07(土) 14:42:51 ID: rEvVoLP6UV
公共交通機関の整備は選挙の票とか単純な採算性の問題だけでは無く、国家社会全体を見据えてやるべき課題であったにも拘らず其れをしなかった(或は出来なかった)。
其責任・悪評を半ば一方的に(自縄自縛のフシもあるとは言っても)擦り付けられ現代に至る迄石を投げられ続けると言う意味合いに於ては、鉄建公団も亦被害者なのやも知れぬ…。
31 ななしのよっしん
2025/08/20(水) 16:42:19 ID: E9V+D04ZEU
Wikipediaでこの団体が関わった路線一覧を見ると、確かに採算が取れないのが分かりきっている赤字ローカル線がAB線に多い一方、CD線やP線などを含むと重要路線が結構あるし、AB線でも篠栗線と智頭線(智頭急行)のような路線も少ないながら存在する。
P線の一覧だけ見たら、もし公団がなかった時の影響はかなりあると感じた。
だから個人的な感想として、「採算が取れないローカル線を押し付ける」と「公団が出来てから国鉄は赤字続きで国鉄解体の遠因」という超重量級のネガティブイメージがあったが、現代の鉄道網において多大な恩恵を与えた団体だったと思う。
どちらかと言うと、背後にいた政治家達の玩具になって、彼らのマイナスイメージを一身に引き受けた印象。
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最終更新:2025/12/10(水) 11:00
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