条丁目とは (ジョウチョウメとは) [単語記事]

条丁目（じょうちょうめ）とは、北海道の一部地域で見られる○条○丁目という住所表記の総称である。

概要

条丁目は、ざっくり言うと街を座標平面に見立てた表記法である。

例を挙げると、札幌市の中心部には「北○条西○丁目」「北○条東○丁目」「南○条西○丁目」「南○条東○丁目」という住所がある。これは、東西にのびる大通公園を南北の基準として、そこから南北に離れるほど○条の数字が増え、同様に南北に流れる創成川を東西の基準として、そこから東西に離れるほど○丁目の数字が増える、という仕組みである。座標平面におけるx軸が大通公園、y軸が創成川だとイメージしてもらえれば大体あってる。この表記法によれば、例えば札幌市時計台のある北1条西2丁目は大通公園から北に1街区分、創成川から西に2街区分離れた場所と言うことができる。
なお、南北の基準になっている大通公園の住所は「大通西○丁目」となっており、条はないが、事実上「大通＝0条」という考え方となっている。

帯広市にも東西南北の条丁目が存在するが、こちらは東西が条、南北が丁目となっており、札幌市とは逆になっている。帯広市にある「西19条南42丁目」は、日本で最も数字が大きい丁目である。
東西南北の条丁目は札幌・帯広以外にも存在し、全道的に見ると南北＝条の街と東西＝条の街の数はほぼ拮抗しているが、特に十勝地方や上川地方北部に東西＝条の街が集中している。

大まかな傾向として、条丁目を用いた地名は道南以外の内陸の街で採用される傾向があり、函館市・釧路市・小樽市・稚内市のような港町では採用されていない。例外的に、網走市や広尾郡広尾町などは港町でありながら条丁目がある。
また条丁目地名が採用されている場所は碁盤目状に整然と区画された街並みであることが多いが、中には空知郡上砂川町の「鶉○条○丁目」のように「なぜそんなところに条丁目を設定した…」と思うような場所もある。

稀にではあるが、丁目のない条だけの地名も存在する（例：深川市）。

地名+条丁目

札幌市には前述の「南北○条東西○丁目」以外にも、東区の「東苗穂○条○丁目」、南区の「川沿○条○丁目」、西区の「発寒○条○丁目」など数多くの条丁目地名が存在する。これらは札幌市の住居表示実施によって使用されるようになった表記である。
多くの場合、元の地名を使用したうえで「○条○丁目○番○号」の表示に改めているが、清田区「美しが丘○条○丁目」や手稲区「曙○条○丁目」のように新たな地名を採用する事例もある。
また逆に、ある町名の地域全てに住居表示を実施するわけではないので、たとえば北区「新琴似○条○丁目」にならなかった一部の地域は「新琴似町○番地」の表記のままである。

札幌市以外でもこのパターンの条丁目は見られる。近年の例だと、リゾート開発が進む虻田郡倶知安町の山田地区で一部に住居表示が実施されると同時に「ニセコひらふ○条○丁目」が設定され、2022年から施行されている。

欠番

条丁目は、様々な理由により欠番が生じることが多々ある。

本来条丁目が設定されているべき場所に別の地名が設定されていて、その部分が欠番になっているパターン。たとえば札幌市の南10条西4～5丁目にあたる場所は中島公園の用地となっているが、中島公園の全域が「中島公園」という地名になっているため、南10条西4～5丁目は欠番になっている。
山や河川などの地形によって市街地が途切れ、その部分が欠番になっているパターン。たとえば札幌市中心部の東西の基準になっている創成川は、北12条～北18条にかけて西に傾いており、その影響で西1丁目の街区が北に行くほど先細りしている。そして北18条以北では西1丁目が完全に消滅してしまう。
別々に造成された市街地をつなぎ合わせる際に、ズレを修正するために欠番をつくるパターン。たとえば札幌市の北28条以北では、そのまま条丁目を設定すると創成川の東西で条の数字が1つずつズレてしまうため、それを修正するために北29条東をまるごとすべて欠番にしている。

○線○号

農村部では条丁目の代わりに「○線○号」という住所表記が見られることがある。

発想は条丁目と同じで、区域内のいずれかの道路を基線（条丁目でいうところの大通）と定め、基線から離れるほど○線の数字が増える。また基線に垂直に交わる軸ごとに○号の数字を定める。
ここでいう「○号」とは、住居表示実施地域で見られる「○番○号」の号とは別物である。

なお、帯広市の郊外にある○線○号地域では、地番を「○線○号」毎ではなく「○線」毎に定めている。即ち、「○号」の部分がなくても住所が特定できてしまうということであり、実際に登記上「○号」の部分は記録されない。しかし、やはり「○号」まで書いたほうがわかりやすいということで、日常生活では「○号」の部分まで住所に書いている人が多い。他の地域でも同じなのかは知らないが、少なくとも帯広ではそうだった。