死海文書 (Dead Sea Scrolls)とは、紀元前2世紀から1世紀ごろに書かれた書物群で、ユダヤ教のタナハ(キリスト教で言う旧約聖書)としては、もっとも古い文書の一つである。
死海の北西にある洞窟で若い羊飼いが見つけた文書、及びそれ以後の探索調査により発見された文書の一群である。その為、死海文書(しかいもんじょ、しかいぶんしょ)、死海写本(しかいしゃほん)などと呼ばれる。
発見された洞窟のあった遺跡にちなみ、クムラン文書とも呼ばれるが、狭義のクムラン文書はこの洞窟付近で発見されたものだけを指す。
クムラン洞窟のあるヨルダン川西岸地区はイスラエルとヨルダンの境にあたる地域で、パレスチナと呼ばれる地方の大部分を占めている。ただし最初の文書が発見されたのは1947年はじめ(1946年の終わり頃だとも)で、まだ第一次中東戦争すら始まっていなかった。
ユダヤ教の教義信条などや生活規範がヘブライ語、アラム語、ギリシャ語などで記されている。新約聖書の原型(マルコによる福音書)になるものであると物議を醸し、聖書の成立に影響を与えかねない秘密が記されているとも噂された。また、発見されたもののうち6割近くが長年公開されなかったことから陰謀論のネタにされたこともある。
実際は、単にそこにあったユダヤ教の一教団が保存していた、様々な宗教関連文書群であった。ほぼ完全なタナハ(旧約聖書)も含まれている。現在はGoogle社の協力を得て、高解像度のデジタル画像がインターネット上で公開されている。
多数の資料が発見されており、中には保存状態が良くないものも混じっているので、まだすべての翻訳がされているわけではない。
ニコニコ動画では、新世紀エヴァンゲリオンやデモンベインのイザヤ写本としての方が有名かもしれない。
2018年に、日本語訳がぷねうま舎より刊行開始された(この記事の「関連商品」を参照)。全十二冊予定。
なお、既知の文書も多かったが、それまで知られておらずこの死海文書で再発見された文書も多い。その一つとして、「光の息子たちと闇の息子たちとの戦い」という、インパクトのあるタイトルの文書がある。
英語でのタイトルは「The War of the Sons of Light Against the Sons of Darkness」。
ヘブライ語でのタイトルは「מגילת מלחמת בני אור בבני חושך」。
気になるその内容とは?
「光の王子(Prince of Light)」である大天使ミカエルに率いられた光の息子たち(Sons of Light)。
それに対するは、邪悪な天使ベリアルに率いられた国キッテム(Kittem)の軍勢など、闇の息子たち(Sons of Darkness)。
彼らは数十年の間互いに戦争を続けたが、ついに光の息子たちが闇の息子たちの軍勢を打ち破った。
そして平和が訪れたのだった・・・。」
・・・といった感じのストーリーで展開される、戦記ものらしい。
なお、戦争を描く中で武具・陣形・戦術などについても詳しく述べられており、別名The War Scroll(戦の巻物)等とも呼ばれている。その詳細については、執筆年代当時のローマ帝国軍を参考にしているようだ、との考察もされている。
なお、ミカエル、ラファエル、ガブリエル、サリエルの4名の天使の名が「四大天使」的な扱いで登場する。現在有名な四大天使と言えばミカエル、ラファエル、ガブリエル、ウリエルなのだが、このユダヤ教初期の文書においてウリエルではなくサリエルが採用されていることはなかなか興味深い事柄ではないだろうか。
こちらも、それまで失われており死海文書で再発見された文書。エノク書に登場した巨人ネフィリムについて記されているという。堕天使アザゼルの名も登場するらしい。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/05(金) 16:00
最終更新:2025/12/05(金) 16:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。