瑕疵物件(かしぶっけん)とは、不動産を売買する上で何かしらのマイナス要素がある物件のことである。訳あり物件とも呼ばれる。
主に
の四つに分けられる。
瑕疵というのは本来備わっているはずなのについてない機能・品質・性能・状態のことなので、上にあげた四つはそれぞれ「〇〇が足りない」「〇〇がおかしくなってる」の意味だと思っていただければよい。
雨漏れ、ひび割れ、アスベストが使われている、シロアリが喰っている、地震に耐えられないなどの「壊れている」「壊れそう」な物件を指す。
また「地盤が不安定」「地面にゴミが埋まっている(埋設物)」「土が汚れている(土壌汚染)」「土地の境界が曖昧だったり間違っていたりする」などの土地に関する瑕疵も指す。
壊れていることに関しては大体目でわかるので、四つの瑕疵物件のうち一番わかりやすい。土地によっては地下にゴミが埋まっていたり、最悪不発弾が埋まっていたりする。不発弾が埋まっていた場合は警察に通報すれば自衛隊が無力化処理をしてくれることになっている。無闇に触ると爆発する危険があるので、必ず通報しよう。
近年の有名どころだと
の二例において、土地に物理的瑕疵があった(物理的瑕疵物件だった)と言うことができる。
主に
に抵触している物件をいう。賃貸する分には問題ないが、売買する上で大きな障壁となる。
分かりやすいのは建築基準法違反であろう。建物には接道や建蔽率、容積率などの守らなければいけないルールがあり、これに違反している建物は法的瑕疵物件となる。
消防法違反は、例えば防火設備(火災報知器やスプリンクラー)が備わっていないなどであり、古い物件によくある。違法物件を適法にするにはそれなりの出費が必要だが、適法にしない状態で火事でも起ころうものなら裁判でドえらい目に遭いかねないので、取引するときに注意するか、掴まされたらおとなしく整備してしまうほうがよい。
都市計画法については上に比べると少々分かり辛い。このうち身近なもののひとつで「市街化調整区域」がある。これはそのへんに無秩序にポコポコ家が建てられることを抑制するもので、例えば市街地から離れている郊外や農地に建物を建てられないように予め用途が「農地」と定められたりしている。
このような土地は用途が制限されているため、土地取引において大きな障壁となる。家を建てたい人がこの土地を買っても家が建てられないわけで、必然的に買い手が付きにくくなる。よって流通しにくく、価格も安い。宅地取引の時は、これに加えて別途建築協定がある土地の場合もある。売買時にきちんと確認しないとあとで「建てたい家が建てられない」なんてことに・・・。
TBS系列で毎週日曜日に放送している「噂の東京マガジン」という番組がある。「やってTRY」のコーナーが有名だが、大抵このコーナーのあとに流している「噂の現場」に出てくる物件が大体コレ。
その物件を使うとトラブルに遭ったり不快な目に遭うというのが特徴で、例えば「目の前の道を暴走族がめっちゃ通る」「繁華街が近くてうるさい」「交通量が多くて振動と排気ガスがすごい」「そばにゴミ屋敷があって臭い」「近くに暴力団事務所や宗教団体の施設がある」「近くに火葬場やごみ処理場がある」などが挙げられる。
大抵の場合は不動産そのものに瑕疵はないのだが、物件そのもの以外にも周囲の状況をよく確認しておかないと、このような目にあって困ることがある。
購入予定の土地の近くに空き地があると要注意。何が建つか分からないので、確認できる場合は確認して、怪しかったら手を引くことをお勧めする。最悪の場合、自分が売りたい時になって売り手がつかなくなる恐れがある。
次に記す「心理的瑕疵物件」の範疇に含められる場合もある。
いわゆる「事故物件」。
ここに住んでた人が自殺した、死んだあとに発見が遅れて腐ってしまった、家の中で殺人事件があった、前に火災があった、よってお化けが出たり怪現象が起きたり・・・などなど。
大体、気味悪がって買い手・入居者が付かないので安くなる。というか、前の住人が孤独死して腐ってたりした場合、床に人の形に染みがついたり臭いが取れなくなったりするので、かなり気持ち悪い。
このような事故物件は、大抵の場合 大島てる という事故物件情報サイトに載っていたりするので、取引する前にきちんと確認しよう。気づかずに高値で購入した物件が事故物件で買い手や貸し手が見当たらなくなる、なんて事故が起きかねない。
人が死んだという以外にも心理的瑕疵がつく場合がある。過去に暴力団関係者が住んでいた、過激派政治団体のアジトがあった、ネットで炎上した人が住んでいた、などの場合、引っ越した後に関係者を疑われたり、事件に巻き込まれたりする場合がある。不動産屋の告知や大島てるなどの情報サイトではカバーしきれない場合があるので、念のためググることをお勧めする。それで出てこなければあとはそうでないことを祈るしかない。
これらの瑕疵がある物件は、取引する際に相手に対して告知をしなければならないと法律で定められている。
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。(以下略)
第四十七条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
イ~ハ 略
ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
ただ心理的瑕疵については「一度誰かが住んでしまえば次の入居者には伝えなくてええやろ」と処理する不動産屋がいて、その場合告知してもらえなかったりする。気になる人はきちんと確認したり、大島てるなどで調べたりしよう。
なお、物理的瑕疵なら建築士、法的瑕疵なら弁護士、とそれぞれ専門家がいるが、それ以外だとフォローしてくれる専門家がいないので、自己防衛に努めるしかない。
なおUR(都市再生機構)では、住人が死亡した住宅を特別募集住宅という名称で販売している。
掲示板
1 ななしのよっしん
2018/08/20(月) 23:19:20 ID: n8z+BSBs6d
勉強になる
2 ななしのよっしん
2019/12/16(月) 18:10:01 ID: ui1aMWd+9I
大島てるに載ってる
って韻を踏んでる
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/12(木) 17:00
最終更新:2024/12/12(木) 16:00
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