黒木家永(くろき・いえなが 1525 ~ 1584)とは、筑後国の戦国武将である。黒木家22代当主。黒木鑑隆の子。弟に蒲池益種。子に黒木延実がいる。別名に実久、家実、政実。
黒木氏は黒木親実の代より大友氏に従っていたが、全員が全員従っていたわけではなかった。
特に家永にとって大友氏は筑紫を不穏とする元凶と感じており、これには筑紫氏や秋月氏、近隣の星野氏や草野氏なども同じことを考えていたようだ。
1557年に秋月文種らが大友氏から離反すると、次々と筑前の諸将も大友氏から離れていった。
しかし、これをすぐに鎮圧してしまい、それを見ていた筑後の反大友派はとりあえず様子見をしていた。
父・黒木鑑隆はほぼ隠居の身とは言え健在であり、時折出陣することもあった。
その父に負けじと黒木氏を筑後有数の勢力へと成長させていった。
1564年、ついに宗麟が筑後の反大友勢力の駆逐に乗り出す。
軍勢は1万とも言われるが、家永は1千にも満たない兵力で叔父・黒木実連らと共にこれを死守した。
しかし、多勢に無勢であり、兵糧攻めを受けて兵士たちの士気も激減したため大友氏に降伏した。
翌年には龍造寺隆信が筑後に乱入してきて鑑隆は戦死した。
1570年、大友氏が今山の戦いで敗れ、1578年には耳川の戦いで敗れると九州内のパワーバランスに変化が起きる。
大友氏の重臣クラスの武将を何人もの失っており、威勢が弱まっていた。
そして何より、南からは島津氏が伊東氏を滅ぼし次は相良氏を飲み込まんとしている。
西からは龍造寺氏が肥前一円をほぼ飲み込み、筑後・肥後を窺っていた。
これに動揺したのが筑紫の諸将だった。特に筑後の国衆たちはこれに敏感であり、大友から離れる素振りを見せていた。
家永も耳川の戦いに出陣したが、この戦いによる敗戦により大きな被害を受けた。
これは家永だけでなく、他の筑後の国衆たちもそうだった。
柳川の蒲池鎮漣が龍造寺氏に寝返ったのを皮切りに、龍造寺隆信が本格的に筑後に侵攻、次々と降伏させていった。
これに驚いた家永は龍造寺氏に属することにした。これで龍造寺氏の筑後侵攻は完了した。
しかし安心したのもつかの間、蒲池氏で大事件が勃発する。
1581年、龍造寺隆信と対立していた蒲池鎮漣が佐賀で歓待を受けた帰途の道で龍造寺によって謀殺されたのである。
そして、柳川城へと攻め込み蒲池一族の皆殺しを図った。これにより鎮漣の兄・蒲池鎮久、鎮漣の子・蒲池久鎮、鎮漣の妻で龍造寺隆信の娘である玉鶴姫がこの一連の出来事で死亡した。
家永の弟・蒲池益種も柳川周辺にいたために戦闘に巻き込まれて討死した。
この一連の出来事に家永は激怒して叛旗を翻し籠城するも、龍造寺の大軍に包囲され、草野氏の仲介の元で嫡子・黒木延実を人質として送り和睦という名の降伏をした。
更に情勢は動いた。
1584年に沖田畷において5万の大軍を率いていた龍造寺隆信が寡兵の島津家久の襲撃によって戦死してしまった。
肥前の強力な指導者を失った龍造寺氏は勢力を衰退させた。
これに大友宗麟・大友義統父子が反応し、筑後に侵攻し始めた。
大友軍は大軍で攻めてきており、1千の兵力もない家永は龍造寺に援軍を要請した。
やがて筑後に援軍が到着すると大友軍と一進一退の攻防を展開した。
しかし、筑前から大友の援軍が到着すると一気に不利となり、兵糧も底が見え始めたために家族と城兵の助命を条件に切腹して果てた。この時に介錯を務めたのは家永の13歳の娘であったという。
長らく筑後の黒木の地で勢力を張り、一時は筑後第二位まで上り詰めた黒木氏はこうして滅亡したのである。
『基礎知識所収系図』 | 備考 | 『黒木町史所収系図』 | |
黒木統実 | ←成実裔 | 善能裔→ | 黒木統実 |
↓ | ↓ | ||
黒木基実 | 黒木基実 | ||
↓ | ↓ | ||
黒木為実 | 1407生 1501没 | 黒木為実 | |
↓ | ↓ | ||
黒木之実 | 1465戦死 | 黒木之実 | |
↓ | ↓ | ||
黒木重実 | 黒木親実 | ||
↓ | ↓ | ||
黒木親実 | 黒木鑑実 | ||
↓ | ↓ | ||
黒木鑑真 | 黒木鑑隆 | ||
↓ | ↓ | ||
黒木鑑隆 | 別名:家永 | 黒木家永 | |
↓ | ↓ | ||
黒木延実 | 龍造寺家の人質 | 黒木延実 |
父・鑑隆は家永と同一人物とする説があるが、これは一覧表を見るとこういうことである。鑑隆の別名が家永とされているのが原因である。
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最終更新:2024/04/25(木) 22:00
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