宗太さん、覚えてますか?
わたしたちがはじめて会った日のこと。
最初は色々と失敗してしまったので
思い返すとちょっと恥ずかしいです。
一緒に暮らすようになってからも
ものすごく緊張していたんですよ。
目の見えないわたしは、迷惑をかけてばかりだったから
絶対に嫌われる! って思ってました。
でも、宗太さんはやさしくて、あったかくて
暗闇にいるわたしに光までくれて
すぐに大きな存在になっちゃいました。
告白したときは、恥ずかしさと緊張で
もう死んでしまいそうだったんですから!
でも、想いを伝えてよかったです。
返事をもらうまでは、すごく苦しかったですけど
あの日、宗太さんに抱きしめてもらったら全部消えちゃいました。
ほんとにうれしかったんですよ。
手を繋いで学校に通ったことも
動物園でデートしたことも
お祭りの花火を見たことも
初めてのキスも
一緒に海へ行ったことも
温泉に入ったことも
宗太さんと過ごしたすべての日々が
わたしにとって、とても大切な宝物になりました。
ねえ、宗太さん。
ふたりで描いた願いや想いを
これからもずっと一緒に叶えてくれますか?
Kaguya~月のウサギの銀の箱舟~とは、鴨志田一:著、葵久美子:イラストのラブロマンス。
電撃文庫刊。現在5巻まで刊行中。
これは真田宗太と立花ひなた、ふたりの物語。
それ以外の言葉は蛇足だろう。
ある日、月のかけらが地球に降り注ぎ――世界は変わった。
アルテミスコードと呼ばれる特別な力をその身に宿した子供たち、ムーンチャイルドの出現。
犯罪やテロを苗床となるその異能ゆえに、彼らは社会から恐れられ、疎まれながら、しかし確かに日の当らない場所で息づいている。
社会の無自覚な悪意に怯えながら、己を特別足らしめる力を捨てきれずに。
そして、14年。
月のかけらの落ちた場所のひとつ、月乃宮でひとりの少年とひとりの少女が出会った。
“自分の見ているものを他人に見せることができる”真田宗太。
“重力を支配する強大な力のために光をその眼から失った”立花ひなた。
これはふたりの物語。
やさしくなろうとする、ふたりの物語。
真田宗太
「もっと一緒にいたかったって言ったのはひなただろ?
だったら、一秒でも長く、ひなたの側にいるよ」
「だったら、ちゃんと守ってやれ。僕の手はひなたとゆうひでもう一杯だ」
「僕は、ありがとうを伝えたいんだよ!」
立花ひなた
「わっ、わたし! 宗太さんのこと、好きになっちゃったみたいです!」
「わたしはこう思うんです。
きっと世界にやさしくなれた分だけ、世界も私にやさしくしてくれるんだって」
「だいじょうぶですよ。ゆうひにはお友達ができたじゃないですか」
ゆうひ
「……うん、ゆうひがんばる。そーたとひなたのためにもがんばる」
「いじめないよ。ゆうひは、そーたとひなたが好きだから」
「ゆうひはやだ! そーたとひなたと一緒にいたい! ずっと一緒にいたいよ!」
上杉杏奈
「かぐや姫に迎えがくるその日までに、私を殺す方法を考えておいてください」
「ですが、わたしにはいなかったのです。あなたのように側で支えてくれる人がっ!」
里見千歳
「私も、同じ誕生日なの知っていた?」
「そのフリ方、最悪……」
片桐京
「上手くいかないよね。
早く大人になりたくて、けど、大人になるとアルテミスコードは使えなくなって、
あたしは用済みになっちゃうんだから。切ないよ、宗太君……」
「悪かったわね。何よ、もう、大人みたいなこと言っちゃって」
甘粕つばめ
「なら、しゃあないなあ。ウチだけのけもんは、ありえへん」
「運命とやらに抗う機会くらい、あってもええと思うただけのことですわ」
黒田源五郎
「立花ひなたはいつもお前を見てた。目なんて見えなくても、ちゃんとお前を見ていた。
なのに、お前はなにをやってたんだ。
「子供の起こした面倒を、親は迷惑だとは感じないものなのよ」
福島礼司
「可能性を信じて抗うか、現実を受け入れて諦めるか。それは君次第だ」
「君が僕くらいの歳になればわかるだろう」
竹中伸三
「だから言ったではありませんか。君のしたことは無意味のむっちゃんだと」
「……やれやれ、悪の大王になりそこなってしまいましたね」
柿崎瑞希
「けど、中条は躊躇わなかった。
あいつはそういうやつなんだ。だから……、たぶん、私は……」
「今苦しんでいる者はどうなる? 私たちは未来の為に我慢するだけの礎だというのか!?」
中条明人
「少しずつですが、学校に行けるようにがんばります」
「最初は卑屈になっている自分を憎悪していたはずなのに、
下を向いて歩くことにも知らずに慣れていたんですよ。
それが僕という存在だと受け入れていました」
宇佐美倫
「僕たちはすべてを取り戻す。父さんも、母さんも。
あのやさしかった日々のすべてを取り戻すんだ」
「みんないなくなった。誠志も、杏奈も、明人も……。そして、僕もいなくなる」
木下航
「どうして、お前は大人で、オレはこんなにガキなんだよ……アリサの力になれないんだよ。
アリサを守れないんだよ……。なんで、お前なんかがアリサを救えるんだよ!」
「ぜ、絶対だぞ! また……絶対だからな! 宗太!」
朝倉百花
「別に、ドイエに頼まれたから、助けただけよ」
「なら、あたしも帰る。宗太に借り作ってるみたいで嫌だし」」
レイモン・ドイエ
「もっと早くにお前を誘っておくべきだった」
「神もろとも、人が滅んだとしても、家畜のまま生き続けるよりはましだろう」
伊達アリサ
「死にたくはないから。やりたいことを全部やりきるまでは。絶対に死ねない」
「どこか、遠い空の下から、同じ月を見てると思う」
Kaguya~月のウサギの銀の箱舟~に関するニコニコ動画の動画を紹介してください。
「これからも、一緒に生きていこう、ひなた」
返事はない。
代わりに、ひなたの両腕が宗太の首に回される。
そのまま流れるように、震える足で爪先立ちになった。
わずかに唇の先と先が触れ合う。誓いの口付けはやさしい涙の味がした。
体を離したひなたは、顔を真っ赤にして俯き、それでも上目遣いに宗太を見てきた。
その小さな手を再び握り締め、宗太はひなたと並んで歩きだした。
しっかりと明日に向かって。
ふたりを銀の月が祝福していた。
掲示板
14 ななしのよっしん
2013/10/13(日) 11:52:03 ID: TXW3xXcMEt
全巻読むまで記事読めないと思ってたけど、
読み終えて見にきたら予想以上に酷いネタバレっぷりだなw
15 名無し
2014/06/09(月) 19:28:21 ID: q53pcTxjLz
この作品好きだったなぁ
ただ当時中学生だったんだがレジに持っていくのはなかなか勇気が必要だったwww
16 ななしのよっしん
2015/01/29(木) 22:15:11 ID: Cql9yB2SNi
初めて読んだラノベがこれで
初めて本で泣いて
一番好きなラノベもこれで
この本に出合えて良かった
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最終更新:2024/04/24(水) 18:00
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