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アメーバ赤痢とは、特定の寄生虫(原虫)が大腸に感染して起こる感染症の一つである。
そもそも赤痢とは特定の病原体によって大腸に出血を伴う炎症を起こし赤い下痢便(血便)が出る病気の総称だが、実は赤痢と呼ばれる病気は2つあって、1つ目は赤痢菌が原因の細菌性赤痢、2つ目は赤痢アメーバという寄生虫(原虫)が原因のアメーバ赤痢である。
アメーバ赤痢患者の大便で汚染された食べ物や水から感染することが多いが、性行為感染症としての側面もあり風俗店などで感染するケースも少なくない。特にアナルセックスやアニリングス(肛門を舐める行為)は感染のリスクが高く危険である。
東南アジアなどの衛生状態があまり良くない発展途上国に多い病気というイメージが強いが、現在は日本などの先進国でも稀な病気ではなくなっている。
また、赤痢アメーバは猿などの他の動物にも感染することがある。
日本の感染症法では後天性免疫不全症候群(エイズ)や梅毒などと同じ五類感染症に指定されている。(ちなみに細菌性赤痢は三類感染症である)
一般的に細菌性赤痢よりは軽症であることが多いとされているが、ときに重症化することがある。
他の細菌性大腸炎と同じように腹痛と下痢が主な症状であり、渋り腹(便意は強いのになかなか大便が出ない)を伴うことも多い。重症化すると激しい腹痛や下血がみられることもあり、典型的な症例ではイチゴゼリーのような粘血便が出るのが特徴である(「トマトケチャップのようなウンチ」と表現されることもある)。
致死率はそれほど高くないものの、抗原虫薬などで治療しなければ慢性化する可能性がある。
赤痢アメーバはほとんどの場合大腸以外では問題を起こさないが、稀に肝臓や肺、脳などに転移することがある。アメーバ性肝膿瘍は赤痢アメーバによって肝臓が腫れて膿が溜まる病気で、高熱や嘔吐などの症状がみられる。最悪の場合、肝臓が破裂して死に至ることもある怖い病気である。
エイズやステロイド薬などによって免疫力が著しく低下している患者の場合、劇症型アメーバ性大腸炎を起こすことがあり、大腸に穴があいて急性腹膜炎や敗血症などの重篤な合併症を起こして死亡することもある。
薬によって赤痢アメーバをやっつけるのが基本だが、劇症型アメーバ性大腸炎や肝膿瘍などの場合は手術が必要になることもある。
症状が他の消化管感染症(細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌O157、サルモネラ、カンピロバクター、腸結核など)や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)と似ているため、診断の際は鑑別が必要である。
赤痢アメーバは高温に対して弱いため、食べ物や飲料水などは事前に加熱調理しておくと赤痢アメーバによる食中毒の予防につながる。
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最終更新:2025/12/07(日) 01:00
最終更新:2025/12/07(日) 00:00
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