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ステロイドとは、ステロイド骨格という4つの環が繋がった構造を持つ有機化合物の総称である。
その種類は多岐にわたり、様々な動植物によって生合成される。身近なもので代表的な例はビタミンD、コレステロール、胆汁酸など。ステロイド骨格を持つホルモンはステロイドホルモンと呼ばれ、人間では精巣、卵巣、副腎皮質などから分泌される。
多くの分野で活用されているため、「ステロイド」という語が指すものは場合によって異なる。
筋力増強剤に使われる「ステロイド」とはテストステロン(代表的な男性ホルモン)を改良した「アナボリックステロイド」と呼ばれるものである。使用すると筋肉の肥大のほか、副作用として薄毛、多毛、体内から分泌される男性ホルモンが減少することによる女性化(乳房の肥大、声の高音化)などが起こるとされる。
ニコニコ動画においてはゲイビデオ『真夏の夜の淫夢』の出演者である(通称)野獣先輩に対して「ステロイドハゲ」という蔑称が使われているが、これは彼の身体的特徴がアナボリックステロイドの副作用に似通っていることに由来している。(なお当人がステロイドを使用したと断定できる証拠は無い)
近年ニコニコ動画においては真夏の夜の淫夢がMAD素材として人気を集めているため、タグ検索では世間一般でいうステロイドではなくメトロイドと合わせたMAD動画が多数ヒットする状況になっている。
ベン・ジョンソンやマグワイアのドーピング問題で話題になったことから、筋力増強剤としてのステロイドにはどこか後ろ暗いイメージが付きまとう。同じくニコニコ動画でMAD素材として人気を博したお笑い芸人、パッション屋良がキャラクターの一つとして演じる「ダーク屋良」は、パッション屋良の持ちギャグである「そうだね、プロテインだね」に対して「そうだな、ステロイドだな」というギャグを使っている。
ボディビル業界ではアナボリックステロイドの実用化以降、筋力増強のために「公然の秘密」としてステロイドが用いられるようになった。しかし世間一般のステロイドに対するマイナスイメージ、大量使用によると思われる副作用、死亡事故などが問題となり、「ナチュラル・ボディビル」という厳格な薬物検査、規定を設けた大会が開かれるようにもなっている。ステロイドの使用に関しては各選手の持つポリシーに委ねられているのが実情である。
医療の現場においてはこちらが主に使われている。副腎皮質から分泌される「糖質コルチコイド」という炎症を抑える作用の強いステロイドホルモンに似た作用を持たせた人工的なステロイド(合成ステロイド)を医薬品として利用したもので、リウマチやアトピーなど炎症性疾患の治療に用いられる。作用の強さで種類ごとにランク分けされており、用途によって使い分けられている。
1980~90年代にマスコミがステロイドによる副作用を大々的に取り上げたこと、またその潮流に乗ってステロイドを使用しない民間療法(アトピービジネス)が蔓延したことから怖い薬というイメージを持つ人(ステロイドフォビア)も多い。
ステロイドに限らず医薬品には副作用のリスクがあるものなのだが、当時の報道は外用薬と内服薬、ステロイドの不適切な使用(自己判断での中断など)による疾患の再燃、ステロイド自体の副作用などをごっちゃにしたものも多く、あまり正確な情報が伝わっていないというのも実情。
例えば「ステロイドを塗ると副作用で皮膚が厚くなり黒くなる」というのはステロイドの使用を中途半端にやめることで炎症が長期化して生じる後遺症を副作用として誤解したもの。そもそも皮膚はダメージから回復する過程で生理反応として色素沈着を起こすもの(代表例が日焼け)であり、ステロイドとは直接の関係がない。
満月様顔貌(顔がパンパンになる)、骨粗鬆症、糖尿病の悪化、免疫反応の抑制による感染症、副腎機能不全などステロイドの重い副作用は内服や注射での大量かつ長期的な使用で起こるものが多く、短期間外用で使用するくらいなら重い副作用の心配は少ない。例えば虫刺されの塗り薬としてメジャーな「液体ムヒ」などにも抗炎症成分として弱いステロイドが配合されており、意外と身近な存在である。
とはいえ外用剤でもアトピーなどで強いステロイドを長期的に使用すると皮膚が薄くなる、毛細血管が拡張気味になって赤みを帯びるなど局所的な副作用が出ることがあるため注意が必要である。特に頬や首、局部など皮膚が元々薄い部位は吸収率が高いため、強いステロイドの使用は避けたほうがよい。
そのほか、塗った場所を包帯や絆創膏などで覆うと吸収量が増えて副作用のリスクが上がるためNG、患部が化膿している場合や、ヘルペスウイルスによる皮膚炎の場合はステロイドが免疫反応を抑制して治りが悪くなるので使用してはいけないなど様々な注意点がある。
また内服や注射でステロイドを長期的に使用している場合、急に薬の使用を中止(断薬)すると倦怠感や吐き気などの離脱症状(リバウンド)、ステロイドで抑えられていた症状の再燃などが起こる可能性があるため、自己判断で中止せず医師の経過観察を受けながら徐々に減量していく必要がある。
1950年代にステロイドの副作用が問題となり、新たに開発されたのが非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)である。抗炎症薬はこれらとステロイドに大別され、ステロイドに比べて扱いやすいため汎用されている。
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最終更新:2024/11/09(土) 07:00
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