感染症法 単語


ニコニコ動画で感染症法の動画を見に行く

カンセンショウホウ

6.9千文字の記事
医学記事 【ニコニコ大百科 : 医学記事】
※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。

感染症法とは、日本法律の一つである。

正式名称は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

概要

感染症の流行の抑制と発生の予防を的として制定された法律

かつては伝染病予防法と呼ばれていたが、伝染病予防法に含まれていなかったエイズ性病結核についても対とすることとなった。

感染症社会的悪が大きいと考えられる順番に一類感染症二類感染症三類感染症四類感染症五類感染症という感じでグループ別に分けているのが特徴である。また、新型インフルエンザ感染症指定感染症感染症という区分もある。

感染症の分類

一類感染症

感染力や致死率が非常に高く、社会的悪が非常に大きいと考えられている疾患のグループ

患者(疑似症患者や症状の感染者を含む)を強制的に定された病院隔離・入院させることができる他、場合によっては病原体に汚染された建物に入ることを原則禁止にしたり、発生した都市自体を封鎖することロックダウンも可になる。

以下の7疾患が該当する。

ちなみに天然痘ペスト以外はウイルス性出血熱に含まれており、ペスト以外は全てウイルス感染症である(ペストのみ細菌感染症である)。

また、一類感染症は全て検疫法による検疫感染症となっている。学校保健安全法では一類感染症は全て第一種学校感染症となっており、全に治癒するまで登校禁止(出席停止)となる。

二類感染症

一類感染症ほどではないが社会的悪が大きいと考えられている疾患のグループ

一類感染症と同様に患者を強制的に隔離することが可となるが、一類感染症と異なり症状感染者の隔離やロックダウンはできない。また、ジフテリアポリオについては疑似症の患者に対しては適用されない。

以下の7疾患が該当する。

このうち、SARSMERS(ともにコロナウイルスが原因)、鳥インフルエンザポリオウイルス感染症であり、結核ジフテリア細菌感染症である。

飛沫感染する(結核空気感染もある)」「呼吸器感染症であり発熱と咳がな症状である(ポリオを除く)」致死率が高い」などの特徴がある。ただし、例外としてポリオは「呼吸器感染症ではなく神経感染症である」「飛沫感染は少なく、接触感染・経口感染が多い」という特徴がある。

学校保健安全法では二類感染症は第一種学校感染症となっており、全に治癒するまで登校禁止(出席停止)となる。ただし、結核のみ慢性疾患であるという特性から第二種学校感染症となっており、他人に伝染させる恐れがくなるまで登校禁止となる。

鳥インフルエンザMERSは感染症法とは別に、検疫法による検疫感染症にも含まれている。

ちなみにSARSはかつては新感染症や一類感染症に定されていたこともあった。

三類感染症

一類感染症や二類感染症ほどではないが社会的悪が大きいと考えられている疾患のグループ

患者を強制的に隔離することはできない(ただし、症状が重くて入院が必要な場合はある)が、治るまで会社(職場)や学校に行くことを禁止するという措置が可となる。また、病原体に汚染されたモノ(食べ物など)を消毒したり棄することも可となる。

以下の5疾患が該当する。

このうち腸管出血性大腸菌感染症以外の4つはかつては二類感染症だったが、2007年から三類感染症に変更された。

食べ物や飲みから感染する(食中毒、経口感染)」「感染力が強く、人から人にうつりやすい」「消化管感染症であり下痢な症状である(ただし腸チフスパラチフスでは下痢がみられないこともある)」重症化しやすく致死率が高い」などの特徴がある。また、全て細菌感染症である。

学校保健安全法では三類感染症は第三種学校感染症となっており、他人に伝染させる恐れがくなるまで登校禁止となる。

四類感染症

動物昆虫食品などが媒介する感染症が該当するグループ

人から人にうつることが少ないため社会的悪はあまり大きくないと考えられている。しかし中には狂犬病黄熱病炭疽症などのように致死率が非常に高い病気もあり(特に狂犬病致死率ほぼ100%である)、決して侮ることはできないのである。また、炭疽菌ボツリヌス菌のような生物兵器として使われる危険性が高い病原体も含まれている。

必要な措置としては「病原体に汚染された場所の消毒」「感染となった動物昆虫の駆除」などがあげられる。また、一部の疾患(マラリアデング熱ジカ熱チクングニア熱)は感染症法とは別に、検疫法による検疫感染症にも含まれている。

な四類感染症としては以下の疾患がある。

五類感染症

社会的悪が最も小さいと考えられている感染症グループインフルエンザノロウイルス胃腸炎など日常的に見かける感染症性感染症性病などが該当する。ただし中にはエイズのように有効な治療法が病気や、破傷風劇症型溶連菌感染症人食いバクテリア)・髄膜炎菌性髄膜炎のような致死率が非常に高い病気もあるため、油断は禁物。

また、後述するが、五類感染症の中でもさらに全数把握疾患定点把握疾患に分かれている。

な五類感染症は以下の通り。

新型インフルエンザ等感染症

インフルエンザコロナウイルス感染症のうち、ウイルス(昔流行したがしばらく流行せず)再び流行することとなったウイルスによるものが該当する。

多くの民が免疫を持っていないため重症化しやすく、社会的悪が大きいと考えられており二類感染症(状況によっては一類感染症)とほぼ同等の措置が必要であると考えられている。また、一類感染症と同様に検疫感染症検疫法)にも定されている。

学校保健安全法では新型インフルエンザ感染症は第一種学校感染症となっており、全に治癒するまで登校禁止(出席停止)となる。(ちなみに通常の季節性インフルエンザは第二種学校感染症である)

以下の4疾患が該当する。

指定感染症

既に知られている感染症のうち、「ウイルスが新になった」などの理由により一類感染症・二類感染症・三類感染症のいずれかとほぼ同等の措置が必要であると判断された疾患のこと。

過去にはSARSが一類感染症相当の指定感染症に、鳥インフルエンザH7N9)・MERSCOVID-19が二類感染症相当の指定感染症に定されていたこともあった。

新感染症

未知の病原体による感染症感染力や致死率が非常に高く一類感染症とほぼ同等の措置が必要であると判断された疾患のこと。

かつてはSARSが新感染症とされていたこともあった(後にウイルス特定されたため、指定感染症に変更)。

報告義務

一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、新型インフルエンザ感染症、指定感染症は全数把握疾患となっており、該当する感染症の患者を診断した医師直ちに(24時間以内に)最寄りの保健所に報告しなければならない。

五類感染症については該当する感染症の患者を診断した医師7日以内に保健所に報告しなければならない(ただし髄膜炎感染症麻疹風疹の3疾患は直ちに報告しなければならない)。

また、五類感染症の多くは定点把握疾患(全ての医師に報告義務があるわけではなく、一部の病院のみに報告義務がある疾患)となっているが、中には全数把握疾患となっているものもある。五類感染症の中でも特に重症になりやすいものや症例が少ないものが全数把握疾患となることが多い。

全数把握の五類感染症の例としては以下の疾患がある。

実施可能な措置

感染症グループ別に実施可な措置についてまとめると、以下の通りになる。社会的悪が大きいグループほど実施可な措置の範囲が広くなる。

ちなみに範囲が広い(悪が大きい)順番に並べると、

感染症≧一類>新型インフルエンザ等≧二類>三類>四類>五類

という感じになる(指定感染症は一類・二類・三類のいずれかとほぼ同等の措置になる)。

対人措置

対物措置

特定病原体等

感染症法では特定病原体等と呼ばれる一部の病原体(ウイルス細菌菌・カビ、原)や素に対して所持の制限や厳格な管理を要しているものもある。

特定病原体は危険度が高い順番に一種病原体等二種病原体等三種病原体等四種病原体等というようにグループ分けされている。

一種病原体等

感染力や致死率が非常に高く有効な治療も存在しないため、社会的悪がきわめて大きいと考えられている病原体。原則、所持することを禁止している。

以下の病原体が該当する。ちなみに全てウイルスであり、ペスト以外の一類感染症の病原体である。また、いずれのウイルスにも治療は存在しない(ただし天然痘ウイルスのみ、予防のためのワクチンが存在する)。

二種病原体等

感染力や致死率が非常に高く、社会的悪がとても大きいと考えられている病原体。所持する場合は厚生労働省許可が必要となる。

以下の病原体と素が該当する。バイオテロに使用される危険性が想定されている病原体等が含まれている。

ちなみにSARSコロナウイルス以外に対しては治療抗生物質、抗血清)が開発されている。

三種病原体等

感染力や致死率が高く、社会的悪が大きいと考えられている病原体。所持する場合は7日以内に厚生労働省に届け出る必要がある。

に以下の病原体が該当する。に四類感染症の病原体が多い。

など。

四種病原体等

所持に関する制限は特にいが、厳格な管理が要される病原体。

に以下の病原体や素が該当する。

など。

関連動画

関連項目

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
東北ずん子[単語]

提供: そうま

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/08/23(土) 03:00

ほめられた記事

最終更新:2025/08/23(土) 02:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。