スウィープフィート 単語


ニコニコ動画でスウィープフィートの動画を見に行く

スウィープフィート

6.3千文字の記事
これはリビジョン 3267860 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

スウィープフィート(Sweep Feet)とは、2021年に生まれた日本の競走馬である。栗毛の牝馬

馬名の由来は「sweep off feet(心奪われる)より。母系より連想」(JRA競走馬情報より)

スウィープフィート Sweep FeetJPN
生年月日 2021年4月5日 性・毛色 牝・栗毛
スワーヴリチャードJPN 馬種 サラブレッド
ビシュートウショウJPN 馬主 YGGオーナーズクラブ
母父 ディープスカイJPN 調教師 庄野靖志 (JPN栗東)
馬名意味 sweep off feat
(心奪われる)
生産者 聖心台牧場 
(JPN北海道新ひだか町)
主な勝鞍 2024年: チューリップ賞 [GII]
通算戦績 7戦2勝 [2-2-1-2]
競走馬テンプレート

血統

父スワーヴリチャードは、2018年大阪杯と2019年ジャパンカップを制したハーツクライ産駒。スウィープフィートは2年目産駒になる。
2023年にデビューした初年度産駒は驚異的な勝ち上がり率を誇り、レガレイラが2023年ホープフルステークスを制している。

母ビシュートウショウは11戦1勝(2着1回)で繁殖入り。スウィープフィートは第5子になる。第2子のビジューブリランテはオープンまで勝ち上がっている。
今は無きトウショウ牧場が遺した良血の名牝系であり、母の母にG13勝の名牝・スイープトウショウがいる。更に血統を遡ると、4代前には欧州最強とも名高い「踊る勇者」ダンシングブレーヴ、5代前には70年代後半の日本競馬を熱狂させたTTGの一角「天馬」トウショウボーイが見つかる。

母父ディープスカイは2004年にNHKマイルカップ、東京優駿を連勝し、史上2例目となる「変則2冠」を成し遂げた名馬。それらの血を引くスウィープフィートも、日本競馬に燦然と輝く良血馬と評して差し支えないだろう。

ビシュートウショウはトウショウ牧場の解散に伴ってノーザンファームに売却された後、スワーヴリチャードの子を受胎した状態で2020年のノーザンファーム繁殖牝馬セールに上場され、聖心台牧場に550万円で購入された。牧場代表の渡辺和典は「当時のトウショウ牧場は雲の上の存在であり、トウショウの基幹牝系のソシアルバターフライから代々トウショウの冠名を連ねるビジュートウショウは、上場リストに名前があるのを見つけた時点で購入することを決めた」と語っている[1]

誕生からデビューまで

さて、ビシュートウショウの娘は2021年4月5日に誕生……したのだが、牧場スタッフが馬房に駆けつけた際、生まれたはずの子馬の姿はどこにも見当たらなかった。牧場一家総出で厩舎内を探すも見つからない。日も暮れた後、雪も降りしきる夜間に「もしや」と思い車で探し始め、ようやくヘッドライトの灯にその姿をとらえたのであった。
生まれたばかりの子馬がいつの間にか厩舎から抜け出し、牧場員を見ていななくこともなく、雪中堂々と立っている……とかいう、なんかウイニングポストの誕生イベントでありそうな誕生秘話に牧場関係者は「ひょっとしたら特別な馬になるのでは…」と思ったそうな。

翌2022年のサマーセールにて上場した「ビシュートウショウの2021」は、YGGオーナーズクラブ(ニコニコ的には「リアルダビスタ」企画出身・モーメントキャッチが所属するクラブとして知られる)が税込385万円で落札した。この年の平均落札価格700万円(税込)の半値近い額からもわかるように、悲しいかな、他に競りかける声はなかった。ビシュートウショウの経歴や、本馬自体見栄えのしない馬体だったのが影響した様子である。

一口会員は990万円(19800円×500口)という比較的懐に優しいお値段で募集されたが、やっぱりなんかコロっとした馬体で走りそうに見えず、血統面から気性の荒さも心配されたことからか、一次募集では満口にならず。だが、調教開始後に育成牧場から「乳酸値が上がりにくい(=ハードな運動をしても筋肉が疲労していない)」という情報が発信されるや、あっという間に満口に至った。

かくしてスウィープフィートは育成牧場の森本ステーブルに移り、競走馬デビューに向けて日々坂路を走り続けるのであった。育成は順調に進み、森本ステーブルからも「思ったよりも素直でカーっとなることはあるけど制御不能までは行かずに走れる子」と評価され、不安視されていた馬体も急激な成長をとげていった。 ただし非常に前進気質が高くなっており、坂路を走り出すと調教なのに抑えるのが難しいくらい燃え上がる部分も、この当時から顔を見せていた模様。

2歳(2023年)

年は空けて2023年3月。スウィープフィートは生まれて初めて北海道を出て、京都府・宇治田原優駿ステーブルに移った。輸送の際には体重が20キロほど減ったが、飼葉食いは細くならず、短期間に体重を戻したとのこと。

同年4月、栗東・庄野靖志厩舎に入厩。早速、デビュー準備としてゲート練習に勤しむことになったのだが、とにかく走るのが好きすぎるがために「早く出たくて飛び出そう」とする姿勢があり、ゲート試験は縛られた状態でなんとか合格。トレーニングストレスが原因で皮膚病を発症し、体重も20キロ以上落ちるという有様であった。

なお、体重は1週間放牧に出したらだいたい元通りになったので、特に育成に対する影響はなかった。庄野厩舎は燃え上がりすぎないようにゆっくり調教を加えていった。

デビュー戦~GⅠへ向けて

調教で見せる前進気質から、庄野師は初戦として芝1200mの短距離戦を選択。8月13日の小倉第6R 2歳新馬戦で、永島まなみを鞍上に向かえてのデビューが決定した。永島騎手の起用は彼女の減量特典によるところが大きかったようだが、以後、約1年間を共に戦うことになる。

レース当日は12頭立て3番人気に推され、大外11番から出走。大きな出遅れもなく順当に先行位置を追走、4コーナーから懸命に位置をあげていき、最終直線で上がり35.1秒の脚で走るが、前2頭の加速についていけず、4.5馬身ほど離れての3着に終わる[2]。とはいえ初戦としては決して悪くない内容であった。

大跳びで切れると言うよりは「ジリジリ脚を使うタイプ」という印象を受けた永島騎手の提言もあり、陣営は距離を延長し、広い馬場で行われる京都開催に方針転換する。迎えた2戦目は10月8日の京都2R 2歳未勝利 牝馬限定戦(芝1600m)。枠順はまたも12頭立ての10番。

スタートはあまりよくなかったが、先頭集団に取り付く形で進行。道中は行きたがるスウィープフィートに永島騎手が折り合いをつけ、中段後方にやや下げつつ追走する。そして最終直線でその脚を解き放ち、競りかけるウインディオーネとの追い比べを制して念願の初勝利を挙げた。

この勝利で重賞、ひいてはクラシック戦線でも通用すると判断した陣営は、次走に11月26日、京都8Rの白菊賞(1勝クラス・牝馬限定)を選択。
スタートは前回以上に出遅れ、最後方2番手を追走。4コーナーから一気に進出を開始し、最終直線で溜め込んだストレスをぶつけるかのように、世代最速級の上がり33.1秒の豪脚を炸裂させる。しかしハナを取って逃げていたプシプシーナも必死に逃げ粘る。最終100mを切った地点で2番手を追走していたヒヒーンを間に挟んで交わし、プシプシーナに迫るスウィープフィートだったが……クビ差届かず、2着惜敗である。

収得賞金加算には失敗したものの、スウィープフィートの走りっぷりやその血統は多くの競馬ファンの目に留まり、2歳G1の穴候補として注目されるようになる。陣営は抽選突破に賭け、初G1となる阪神ジュベナイルフィリーズ(と、保険として朝日杯FS)に特別登録を行う。

24' 阪神JF─G1デビュー

本年の阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)では、G2・アルテミスステークスを制して早くも世代トップと目されるチェルヴィニアや、牝馬ながらG3・サウジアラビアRCで2着に入ったボンドガールらがそれぞれの理由で回避を表明。最終的に空いた4枠を抽選対象9頭が争うこととなる。
スウィープフィートは無事当選し、GⅠへの切符を手にした。ちなみに、永島騎手にとっても初G1出走である。

当日、スウィープフィートは9番人気。ゲートが開き……スウィープフィートは一頭だけ出遅れてしまう。やや進出して中段少し下げた位置をキープするが、最終コーナーでは大外を回ることになってしまった。迎えた最終直線、後方から大きく位置を押し上げるものの、先頭争いをする3頭からは大きく離されての7着に終わる。

勝ち馬のアスコリピチェーノはレコード勝利。2着ステレンボッシュと3着コラソンビートまで4着以降に大きな差を空けての勝利であった。初めてのG1、その壁は想像以上に分厚かった。

3歳(2024年)

いよいよクラシック戦線に向か……いたいスウィープフィートだが、ここまでの収得賞金額は未勝利戦の400万のみ。何とかして賞金を加算しないとG1には出られない。陣営は始動戦を2月3日のエルフィンステークス(L)に定めた。

レース本番。スタートは相変わらずよくないものの、中盤前に進出し先行位置へ。永島騎手は前走の反省か、もしくはスウィープフィートの悪馬場をものともしないパワーを信じてか、荒れがちの内馬場を選択したが、結果的にはスウィープフィートのみが荒れた内ラチ側を走ったことでやや伸びを欠いてしまう。ゴール直前にライトバックに差し切られ、痛恨のクビ差2着に終わった。

24' チューリップ賞 ─ 魔女の末裔、翔ける

年内第2走は3月2日、桜花賞トライアル・チューリップ賞(GII)。ここで陣営は非情の選択を行う。騎手の変更である。永島騎手に代わって招聘されたのは、今年の牝馬クラシック戦線でお手馬が不在かつ、たまたま当日が空いていた武豊だった。トライアルレースで幾多の実績を残している「権利取りの武」に賭けたのである。

レース一週間前にスウィープフィートの調教に参加した武騎手は「思っていた以上に良い馬だと感じました。走りそうですね」と評価。自身のオフィシャルサイトコラムにも「この馬に優先権を取らせてあげたいというよりも、ボク自身の桜花賞の騎乗馬を確保できるように頑張ります」と記載している。

チューリップ賞当日、スウィープフィートは5番人気で出走する。パドックでは荒ぶり、鉄柵を蹴って甲高い音を立ててはいたが、前走の疲れはなく毛艶もよさそうだった。
ちなみに上位人気は順に、阪神JFで抽選漏れして朝日杯FSに出走・3着に入ったタガノエルピーダ、アルテミスステークス3着のスティールブルー、無敗3連勝中のミラビリスマジック、「世界最強」イクイノックスの半妹ガルサブランカであった。

スタートは相変わらずだが、武騎手はゆったりと走らせ後方3番手につけた。これまでになく折り合いのついた状態でリラックスして走り、じっと外目の位置を維持。迎えた4コーナーで一気に外に持ち出し、コーナー抜けた位置でやや外によれたイツモニコニコに煽られつつも、一気に溜め込んだ足を解き放つ。
祖母スイープトウショウのチューリップ賞を彷彿とさせるような後方強襲。前の13頭をわずか1ハロンでまとめてごぼう抜きし、1と1/4馬身差をつけて完勝した。上がりタイムは最速の34.3秒。……4コーナー14番手だった点まで含めてスイープトウショウと同じである。レース後の武騎手曰く「ね? いい馬でしょ」。

この日は庄野調教師の誕生日。師にとっては初の管理G1馬・スワーヴリチャードの産駒での重賞制覇ということで、嬉しい誕生日プレゼントになった。YGGにとっても現名義になって初の中央芝重賞制覇に加えて初のクラシック挑戦権獲得YGGの中央ダート重賞初制覇はドライスタウト。前身のブルーインベスターズ時代に遡ればブルーコンコルドが皐月賞に出走している。。みんな笑顔の完璧な一日であった[3]

なお、2着は9番人気のセキトバイースト、3着に15番のハワイアンティアレが入り、3連単の配当はチューリップ賞の史上最高記録を更新する1,693,290円の大波乱だった。

24' 桜花賞─満開の桜の下で

4月7日、桜花賞(G1)。16年ぶりに「満開」の桜の元での開催となり、天候も薄曇りながら良好。春休み最終日ということもあって老若男女が押し寄せ、前週の大阪杯より6000人増の34000人がレースを見守った。

スウィープフィート&武豊は6番人気。上位人気は順に、無敗の桜花賞制覇を狙う2歳女王アスコリピチェーノ、「雷神」ジョアン・モレイラを鞍上に向かえ阪神JF2着の逆襲を期すステレンボッシュ、一年前の再現を狙う川田将雅+中内田充+サンデーレーシングのクイーンズウォークである。

レース本番、無事ゲートを出たスウィープフィートはそのまま控え、エルフィンSの因縁・ライトバックと共に最後方を追走する。外側を走るライトバック鞍上・坂井瑠星はスウィープを徹底マークし、3コーナーから最終直線入口まで外を固めきる嫌らしい華麗なコース取りを披露。大外を回すロスを避けた武騎手は、最終直線で咄嗟に内に進路を取り、馬郡が切れた所で再び外に出した。上がり第2位の33.0秒の脚で駆けるも、32.8秒の豪脚を繰り出すライトバックには半馬身届かない……。

結果は、ステレンボッシュ、アスコリピチェーノ、ライトバックに続く4着。大きな不利を受けたことを鑑みれば、十分健闘したと評してよいだろう。桜花賞5着だったスイープおばあちゃんにも先着してるし。武騎手も「このメンバーでも十分やれるし、オークスが楽しみじゃないですか」と前向きなコメントを残した。

この後は3週間ほど放牧に出た後、オークスへ向け調整を行う予定である。

血統表

スワーヴリチャード
2014 栗毛
ハーツクライ
2001 鹿毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
アイリッシュダンス *トニービン
*ビューパーダンス
*ピラミマ
2005 黒鹿毛
Unbridled's Song Unbridled
Trolley Song
*キャリアコレクション General Meeting
River of Stars
ビジュートウショウ
2011 栗毛
FNo.[5-j]
ディープスカイ
2005 栗毛
アグネスタキオン *サンデーサイレンス
アグネスフローラ
*アビ Chief's Crown
Carmelized
スイープトウショウ
2001 鹿毛
*エンドスウィープ *フォーティナイナー
Broom Dance
タバサトウショウ *ダンシングブレーヴ
サマンサトウショウ

クロス:サンデーサイレンス 3×4(18.75%)、Lyphard 5×5(6.25%)

関連動画

関連静画

スウィープフィートに関するニコニコ静画のイラストやマンガを紹介してください。

関連リンク

関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • 2024年クラシック世代
  • スワーヴリチャード
  • スイープトウショウ
  • レガレイラ
  • コラソンビート

脚注

  1. *馬事通信第975号
  2. *後にこの時の2着・エトヴプレは報知杯フィリーズレビューを制している。
  3. *永島騎手を除いて…。後に永島騎手は4/5の大阪駅トークショーにて「凄く悔しかった」「レース後には武騎手にお話を聞きに行った」と語っている。お話の内容は「ナイショ」とのこと。
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/16(火) 04:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/16(火) 04:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP