トランスなどの音楽で以前から声ネタとして存在していた「Somebody scream!!!」(誰かが叫ぶ)が「三倍アイスクリーム」と聞こえてしまうのが原因。
「何を言ってるのかわからねー」という人は、とりあえず以下のピコカキコを聞いてみると話が早い。
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ニコニコ動画でこの言葉が流行ったのはbeatmaniaIIDX 14 GOLDに収録されたRyu☆のSecond Heavenのプレイ動画からであり、カウントダウンの最後に「三倍アイスクリーム」という弾幕を張ったのが元である。
同じ声ネタが使用されている曲として、同作にあるStripEのFIRE FIRE、またあまり知られていないがbeatmaniaIIIに収録されていたgood-coolのCyber Girlが挙げられる。
またIOSYSによる東方アレンジCDにも同じ声ネタが使用されており、そこからさらに東方をネタとした動画にも使われている。
そしてbeatmania IIDX 19 Lincleでは、そのままずばりの「三倍アイスクリーム」が登場。てか作者も認めちゃってる。
元ネタ
オリジンは、「Kraze」というユニットによってリリースされた「The Party」というハウス・ミュージックの楽曲のようだ。この曲は「Big Beat Records」というニューヨークにある音楽レーベルから1988年にリリースされた。
Big Beat Recordsは22歳の若いDJ「Craig Kallman」によって1987年に作られたばかり。所在地も彼の両親所有のアパートの部屋、本作以前にはまだレコードは1作しかリリースしていないという、未熟で小さなローカルレーベルだった。(なお、同レーベルの1作目は「Taravhonty」というユニットによる「Join Hands」。品番BB-0001。当時の売り上げ5千枚。)
Kallmanがある晩クラブでDJとしてプレイしていたところ、「Krazeと呼ばれる青年」が「それ俺の曲だね!」と声をかけた。Kallmanが青年に「もうどこかのレーベルと契約してる?」と聞いたところ、「まだだよ」という答えが返ってきた。
そこで「君と一緒に曲を作りたいな。スタジオにおいでよ」と声をかけたら青年はホイホイとついてきた。「Join Hands」を聞いてBig Beat Recordsのことを知っていたらしい。そして出来たのが「The Party」である。レーベル2作目、品番もBB-0002であった。
「The Party」はスマッシュヒット。最初はスーパーから借りたショッピングカートやKallmanが父親から借りた車のトランクに載せ、近場のレコードショップに持ち込み営業していたくらいの小規模なビジネスだったが、あれよあれよという間に全米でヒットした。
イギリス・アイルランド・フランス・ドイツ・オランダ・オーストラリア・イタリア・日本・チュニジアなど国外でもヒットしてオファーが舞い込み、KallmanとKrazeは共にヨーロッパに飛んでイベントをこなしたという。
世界中でハウス・ミュージックが盛り上がっていた時期だったことも重なって、最終的に数十万枚を売り上げた「The Party」は有名となり、定番の声ネタとして様々なクラブ・ミュージックにサンプリングされるようになったというわけである。
「The Party」のヒットや声ネタとしての知名度の割に、「Kraze」のメンバーに関する情報はあまり知られていない。上のエピソードの「Krazeと呼ばれる青年」は、Reeshaというハイチ人ミュージシャンらしい。「俺の曲だね!」と声をかけていることからもわかるように、既に1987年に「Moonfou」という名義で「Shut Up」というハウス・ミュージックのレコードを出していた。
ユニットとしての「Kraze」はReesha、Reeshaの二人の妹、Norris Burroughsという人物(彼本人の業績より、超有名ミュージシャン「マドンナ」の元カレとして著名らしい)の4人をメンバーとして活動していた。
Reesha(本名Richard Jean Laurent)は、「THE EARTHMAN EXPERIENCE」というユニットのリードボーカル「EARTHMAN」として2013年現在でもミュージシャンを続けている。THE EARTHMAN EXPERIENCEは過去の「Kraze」とはかなり方向性が異なり、ハイチ出身という点と「ヒーリング」に主題を置いており、音楽ジャンルは「World Music/Afrobeat/Tribal House」とされる。
「Somebody scream!」は彼、KrazeことReeshaことEARTHMANこと、Richard Jean Laurentの声である。THE EARTHMAN EXPERIENCEのメンバーがYoutubeにアップロードしたこの動画で「バスケの試合見てたらEARTHMANの声でSomebody scream!が流れたぜ!」と報告しているので間違いないと思われる。
なお、プロデューサーの方のCraig Kallmanはこの「The Party」のヒットを足がかりとしてBig Beat Recordsを大きく成長させた。レッド・ツェッペリンなどを輩出した有力レーベルAtlantic Recordsが1990年代初頭にBig Beat Recordsを取り込んだ後にもAtlantic Recordsの管理職としてキャリアを積み、ついには2005年にAtlantic RecordsのCEOにまで登りつめている。
(本項記載にはCraig Kallmanにインタビューしているウェブページ1,2や、「THE EARTHMAN EXPERIENCE」のFacebookページなどを参考とした。2013年10月20日閲覧。)
関連項目
- Second Heaven
- FIRE FIRE
- beatmaniaIIDX
- taboo tears you up
- Drive Me Crazy
- ドアラのテーマ
- 空耳
- 三倍アイス演奏シリーズ
- 三倍アイアイシリーズ
- ハウス
- 物凄いシリーズ
- サンプリング
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