カテジナ・ルースとは、アニメ『機動戦士Vガンダム』の登場人物である。担当声優は渡辺久美子。
『機動戦士Vガンダム』の中ではヒロイン役を担う一人でもある。視聴者・ファンからは「カテジナさん」とも「カテ公」とも呼ばれる(後述)。
地球のヨーロッパの連邦軍の管轄下にある特別区・ウーイッグ(プラハに相当するという設定)という街の事業家の娘として生まれ育つ。17歳。物語当初はウーイッグを焼き払ったザンスカール帝国・ベスパに反抗するレジスタンス組織リガ・ミリティアに同行していたが、数奇な運命を経て、ベスパのクロノクル・アシャーに出会い見初められるとともに帝国主義に染まり、ザンスカール帝国の将校となる。その後は兵士として才能を開花させ、リガ・ミリティア相手に戦場で獅子奮迅の活躍を見せた。
元々まともな軍事訓練すら受けていない素人でもあり、当初は「クロノクルの女」とバカにされてベスパの軍内部でも孤立するなど、常に難しい立場での戦闘を強いられた存在でもあった。しかしアジス・バギやゴズ・バールなどモトラッド艦隊のパイロットが次々戦死していく中着々と戦果を挙げエースパイロットとして成長していき、最終的に(クロノクル直属というのもあるのだろうが)最新鋭機ゴトラタンを与えられ、エンジェル・ハィロウの女王近衛軍団にも命令を下しているなど、劇中では明かされていないが高い階級にのし上がっていたことが伺える。
だが、自身を一方的に慕っていた子供であるウッソ・エヴィンが、リガ・ミリティアのエースとして大きな活躍を見せ、常に戦場で大きな壁として立ちはだかったのに対して、自身を導きパートナーとなった男クロノクルがいつまでも優柔不断な性格から抜け出せず、自ら共々追い込まれていく状況に陥っていった結果、次第にその言動からは余裕が失われていくことになる。
その為、ウッソの初恋の人としてウーイッグの街で見せていた初期の頃の面影は物語が進むにつれ見られなくなっていき、主義に染まってからは、むしろウッソに対して特別な敵意を見せるようになっていった。終盤においては、女だけの近衛部隊に水着姿でウッソのV2ガンダムに生身の白兵戦を挑ませて動揺を誘う奇抜な戦法を繰り出し、最終決戦においては投降したと見せかけて隠し持っていたナイフでウッソを刺したりするなど、悪評の種となるエピソードを多数残した。
激しい戦いにより、クロノクルを含めて全ての支えを失う。終戦後も存命。最終話では、半ば失明し(一説には記憶も失い)、独り故郷ウーイッグに帰る姿が描かれる。
なお劇中では終盤、ニュータイプらしき脳波描写が数回描写されるほか、クロノクルへ精神的な会話を飛ばしている描写がある。小説版ではスーパーサイコ研究所で強化手術を施されているが、テレビシリーズでどうなのかは不明である。
彼女が何もかもを失くして、独りだけで既に廃墟の街と化している故郷ウーイッグへと帰るこの「Vガンダム」のラストシーンは、放送直後からアニメ誌等で反響を呼んだ。実際、その経緯に関するインタビューが放送終了から数ヶ月後の「アニメージュ1994年7月号」における富野由悠季監督と庵野秀明の対談記事に記載されている。
この記事は、放送当時「Vガンダム」の制作現場を手伝ったり、当時のアニメ誌で度々言及したり、「Vガン」を称賛する同人批評本を書いたりしていた庵野秀明が、放送終了直後の5月に富野監督との対談を希望したために実現したものであったが、その中で庵野の「なぜカテジナさんはああなってしまったのか」という問いに対して、監督が真摯に答えている部分がある。
それによれば、富野監督曰く1クール目の作業中の時点で、カテジナの持つ独特な存在感を多くのスタッフが感じており(見込みのあるキャラクターであるという雰囲気)、2クール目の制作に入る段階で最終回をどうするか決める際に「もうカテジナは盲目にするしかないね」と監督が言ったところ「そうですね、落としどころは他にありませんね」とスタッフ全員が納得し、そのまま温めていた展開だったという。また、それによってクロノクルの割を食ってしまう程のキャラになった事に関しては「スタッフもクロノクルはあれでいいという風になってしまった」と推察しているが、やや描写不足になってしまったとも語っている。
また「カサレリアでウッソを立てる為に作品を引っ張ってきたキーキャラクターであるので、何としても殺したくはなかったが、作劇上の整理としてペナルティを負った上で、劇(金曜5時のアニメ)として飾らせてあげるから勘弁してくれと、そういうことです」とも語っており、それに対して庵野が「なぜ盲目なのか?手足を失うとか…」と尋ねると、「それはテレビコードに引っかかるから。だからカテジナも見えないかもしれない、という以上の表現はしていない。ウッソ達に関してもペナルティが無いとは言えないが、それを絵にしてしまうと今の子供達は生理的に受け付けないだろう」と語っており、時勢に配慮した演出であったことや、キャラクターが次々死んでいき両軍の生存者がほとんどいなくなるというかつて多用した展開は、(オデロが戦死する程度で)あえて避ける事を意図していたとも述べている。
※従って彼女に関して、よくネット上で飛び交う「死よりも重い罰を与えたかった」とか「何としても殺したくはなかったが、頑張って狂ってくれた彼女を救うにはこれしか無かった」とかいった発言に関するソースは、恐らくこのアニメージュの対談インタビューに若干の尾ヒレがついたものであると思われるが(「Vガン」に関しては、その作風故に真偽不明な内部事情やデマが特に多い作品ではある)、本質は概ね捉えていると言える。
※後に庵野秀明は「Vガンダム」のDVDメモリアルボックスにおける寄稿において「Vガンダムを見なければエヴァンゲリオンのようなものを作らなかったと思う」と発言しているが、実際に同作品の劇中ではエヴァンゲリオン参号機に搭乗した鈴原トウジが左足を失って物語から退場する展開が見られる(コミック版ではテレビコードの制約が無いためか死亡する展開となっている)。
このように、製作側においても注目され、存在感を示したキャラクターだったとされている。
こういったことから一般的には『宇宙世紀(UC:Universal Century)』の中でもとりわけ論議を呼ぶ事の多い「Vガンダム」にあって、その中でもひときわ強い印象を残す存在と認知されている。実際劇中でウッソから「カテジナさん、おかしいよ!おかしいですよ!」といった台詞を幾度となく投げかけられることも相まって、視聴者からは「カテジナさん」と敬称を付けて呼ばれる一方で、「カテ公(初出はことぶきつかさの漫画作品「いけ!いけ!ぼくらのVガンダム」)」「宇宙世紀3大悪女の一人」などと侮蔑的に扱われる事もあり、過激な言動が目立つ終盤の印象が強いせいか、批判的に見られることも少なくない。
しかしその一方で、ウーイッグでは両親が不仲でかつ連邦の特別区である故郷に対して批判的で、そもそも生活に不満を抱いていたこと、かといって戦災孤児の子どもたちを戦力として利用するリガ・ミリティアにも反対するという、独自の倫理的な信念を持っていたため、自分の故郷を焼いた相手とはいえそもそも故郷に愛着など持ち合わせていないカテジナがザンスカールの主義に染まるのも当然、という見方もある。
またザンスカール転向後も、行方不明となったシャクティらが軍内部で保護されている事を戦場でウッソに伝えようとしたり、人質として戦場で扱っていたウッソの母が死んだ後、ウッソの心境を察するような発言と共に後悔するような素振りを見せていたり、最終話においてもウッソに対しての射撃を無意識に外してしまうなど、劇中では一貫してウッソの事を「憎むべき最大の敵」という面と「戦場に駆り出された子供」という面両方を捨てきれずいたことなど、年齢相応の人間臭さも持ち合わせている。
当時のアニメージュにおいても「ウッソとクロノクル両者の中途半端な優しさと愛情がかえってカテジナを追い詰めていき、その上二人はカテジナが苦しんでいる事を自覚していなかった為に、彼女は愛憎入り混じった感情に支配されてしまった」などと評されており、「Vガンダム」のキャストである渡辺久美子や阪口大助も近年のBDボックス内でのインタビュー等では「純粋な悪女というのとは少し違うと思う」としている。
故に、「敵になりリガ・ミリティアのレギュラーメンバーを次々に撃破した悪女」という評価がある一方、「(嘘のような子供である)ウッソさえいなければ狂うこともなかったのでは」という、むしろウッソの存在に苦しんでいる面から同情的な評価も見られるなどガンダムファンからは賛否両論で、良くも悪くも「Vガンダム」を象徴する登場人物であるといえる。
掲示板
450 ななしのよっしん
2023/12/23(土) 10:20:31 ID: nZjFQhh7rk
変人はお前だよ
451 ななしのよっしん
2024/02/04(日) 17:01:00 ID: YWe8WQCtb/
強烈な言動と悪辣な行動の数々が目立つけど、Vガンダムの終盤を敵役としてすごく盛り上げてくれた功労者だと思う
Vガンダムの最終回とラストシーンはガンダムシリーズの中でも一二を争うほど好き
452 ななしのよっしん
2024/05/04(土) 14:30:12 ID: gwEzl/ShaP
悪女じゃなくて、純粋に名悪役だとは思うよ俺も
紫豚やクエス、ギギあたりの女の嫌らしさをこれでもかと強調したような邪悪さはあんまり感じさせず、ただの邪悪な敵だし
紫豚とかが最初から最後まで悪女だったのに対して、元がただの世間知らずのお嬢さんだったのも戦争で変わってしまった感もある(そのギャップがむしろ悪逆ぶりを増長してる感もあるが)
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最終更新:2024/05/13(月) 23:00
最終更新:2024/05/13(月) 23:00
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