キャノンとは、以下のことを表す。
カメラや時計、携帯電話等の精密機械メーカーについてはキヤノンを参照。
正典、標準という意味の英語canonについてはカノンを参照。
大砲・砲
現代英語のcannonのカタカナ表記で大砲という意味。古代ギリシャ語の葦というような意味の「κάννα (カーンナ)」を語源とする。フランス語はcanon(キャノー)、ドイツ語だとKanone(カノーネ)。
本来、「カノン」とは大砲の規格の1つであり、砲弾重量42ポンド(約19㎏)以上の重砲を「カノン」と言っていた。日本語的に表記を変えると「カノン式重砲」。旧軍風表記にすると「カ式砲」と言った風な感じになる。(正しくは、幕末に砲兵の近代化(西欧化)が行われた際にフランス語発音のcanon(=キャノー)を漢字転記した加農砲と音訳された。)
このカノン規格より一段小さいものは「半カノン砲(デミカノン砲)」と規格され、32ポンド砲のことを指した。
その後、17世紀後半から19世紀前半にかけて砲兵の大規模な近代化が起こると、榴弾砲でない野戦砲がカノン砲と呼ばれるようになり、砲弾重量による規格の区別としては使われなくなった。現代的に言うと「対戦車砲とか狙撃銃みたいな敵を直接照準する大砲」がカノン砲となったのである。
19世紀中に大砲はこれ以上の進化を望めないというレベルまで達したが、1822年にカノン砲で榴弾を射撃する技術がフランス人砲兵将校アンリ・ジョセフ・ペクサンによって確立され、「大砲=爆発する弾を撃つもの」という現代の大砲にほど近い火砲が発明された。ペクサン砲は艦載砲として発明されたものの、陸軍砲兵にも「榴弾を撃ち出す砲」が一般的になると、それまでの榴弾を専門に射撃する火砲である「榴弾砲」との区別が曖昧になってきた。そこで砲身の長さを基準にして、榴弾砲は30口径前後まで、カノン砲はそれ以上(陸軍によって区別の仕方が違う)という新たな区別が確立されたのである。
当時は射程には劣るが比較的軽量・安価で移動容易な榴弾砲と、重く高価で移動も難しいが長射程のカノン砲、というような位置付けであった。
しかし20世紀後半、技術の進歩や自動車牽引の普及で普通の榴弾砲も長砲身化が進み、殆どの大砲がカノン砲級の長砲身になった結果、両者の区別自体が無くなってしまった。
2020年、現代では砲兵の使う大砲は基本的に榴弾砲と呼ばれ、カノン砲を特に区分することは無い。というか、口径長的には殆どの大砲がカノン砲なのだが。
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