- 幾何学の一分野のこと。位相幾何学とも。
- 集合論の概念の一つ。位相とも。集合の要素間の近さや相互関係に関する情報のこと。
- 情報科学分野におけるネットワークの接続形態のこと(例:スター型 メッシュ型など)。ネットワークトポロジ、ネットワーク構成とも呼称する。
- 巡音ルカオリジナル曲。→【巡音ルカ】トポロジー【オリジナル曲アニメPV付】
- いとうかなこの楽曲であり、フジテレビ系アニメ「Robotics;Notes」第2クールエンディングテーマ。
本稿では1.について述べる。
概要
幾何学の中でも非常に新しい分野であり、「やわらかい幾何学」とも呼ばれる。オイラーやガウスが開祖として有名。
最大の特徴は図形の扱いの「やわらかさ」であり、言い換えれば図形の扱いの抽象性であるといえる。トポロジーに於いては連続的に変形が可能な図形は全て同一視される。要するに、穴を開けたり千切ったりする操作なしに変形できる図形同士は同じものとみなしましょう ということである。
よく言われる例としては、トポロジーの考え方ではドーナツの形状(トーラス)とコーヒーカップの形状は同一であるとされる。これに関してはWikipedia : 位相幾何学によく出来たアニメーションが存在するので見てみると良いだろう。一方、球はどのように変形しても穴を開ける操作なしにトーラスになることはできない。つまり、連続的な変形が不可能なため球とトーラスは同一ではない。
つまり、トポロジーとはこのような「やわらかい」図形の共通する性質や特性を研究する数学分野である。詳しくはWikipediaの当該項目を参照のこと。
トポロジーの考え方が応用されている物の中で最も日常的に目にするものといえば、電車などの路線図が挙げられる。路線図に於いては「駅間の距離」や「実際の線路のカーブ」は無視(連続的に変形)されている。つまり、地図上の路線配置をトポロジーの考えに基いてやわらかく変形したものだと言えるのである。
物と物の「接続関係」に着目した研究分野としては、グラフ理論が存在する。駅と駅のつながり方を示しているという意味では、路線図はグラフ理論におけるグラフの一種でもある。
位相幾何学と位相
位相幾何学が「やわらかい幾何学」であるとすれば、位相とは集合論における「やわらかい距離の概念」である。
適用先が幾何学に限らないので必ずしも幾何学的な概念ではないが、大雑把に言ってしまえば数学的に近いもの・似ているものを一まとまり(同相)として扱うという考え方である。集合に対して位相を与えることを、「位相を入れる」という。
例えば動物について考えるとき、個別の個体ではなく「イヌ」「ネコ」といった分類で考えることがあるが、これは位相に基づく発想である。つまり、位相により個別の個体の特徴を無視し、分類(関係性)を考えるのである。このような考えを図形に適用したものが位相幾何学である。
ただし、数学上のお約束として、積集合も一つの位相としてカウントしなくてはならない。このため、例えば「イヌ」という位相と「黒い」という位相を入れた場合、「黒いイヌ」という位相も必ず入れなくてはならない。
詳しい人向けの説明
以降では、数学的な定義を元に解説を行う。専門的な話であるので、必要な人だけ読んで欲しい。
Wikipediaの記事: 位相空間も参照のこと。
X の部分集合の集合 O(X) が以下の条件を満たすとき、O(X) は X の位相であるという。
- X ∈ O(X), Φ ∈ O(X) (Φは空集合)
- V, W ∈ O(X) ⇒ V ∩ W ∈ O(X)
- Vλ ∈ O(X) (λ ∈ Λ) ⇒ ∪λ∈Λ Vλ ∈ O(X) (ただし Λ は添字集合)
このとき、 O(X) の要素を X の開集合とよび、 X と O(X) の組 (X, O(X)) を X の位相空間とよぶ。
(X,O(X)), (Y,O(Y)) を位相空間とする。写像 f : X→Y が次の条件を満たすとき、 f は連続であるという。
V ∈ O(Y) ⇒ f-1 (V) ∈ O(X) ( ただし、f-1 (V) = { x ∈ X | f(x) ∈ V } )
さらに f が全単射でその逆写像 f-1 が連続であるとき、 f は同相写像であるという。
位相空間 (X, O(X)), (Y, O(Y)) の間に同相写像が存在するとき、(X, O(X)) と (Y, O(Y)) は同相であるという。
トポロジー(位相幾何学)の世界では同相な図形は全て同じものとみなされる。この世界でトーラスとコーヒーカップが同一視されるのは、両者を表す図形が同相となるためである。
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