バンジョーとカズーイの大冒険に登場するキャラクターについてはこちらを参照
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概要
ギターやマンドリンと同じくリュート属の撥弦楽器であり、リング状の胴(リム)に張った膜(ヘッド)でブリッジを支持する丁度三味線と同じような構造を持つ。同様の構造を持つ楽器は既に古代中近東に見られるが、似たような楽器があちこちを行ったり来たりしているので正確な歴史は分からない。ただしバンジョーの直接の先祖にあたる楽器は西アフリカのエコンティン(akonting)で、奴隷貿易と共にアメリカに渡って発展したとされる。バンジョーの特徴である親指側の高音弦はエコンティンで既に見られる物である。
この様な構造を持つ楽器の例に漏れずアコースティックな楽器としては大きな音量を持ち、音色はアタックが強くサスティーンの短い特徴的な物である。19世紀後半から20世紀初頭にかけてバンジョーの音量は重宝され、なんとギターを押しのけてリュート属筆頭の様な位置づけに納まっていた。胴体(ポットと呼ばれる)に別の楽器のネックを合わせれば簡単にバンジョー化できるため戦前あたりにはなんでもかんでもバンジョー化する動きがあり、バンジョーウクレレやバンジョーマンドリン等他の弦楽器のスケール長や弦に合わせた寸法の派生楽器が生まれた。
ポットの基本構成は太鼓その物である。古いバンジョーのポットは背面の開いた(オープンバック)フレームドラムと同様の物である。1900年前後にはより明瞭な音色を求め、ドラムヘッドをより細い線で支持するための輪(トーンリング)が工夫される様になった。また今日ではほとんどのバンジョーは背面により大きな音量を持つための共鳴板(リゾネーター)を持つ。リゾネーターによっても音色は幾分硬質な物となるため、柔らかな音が好まれるオールドタイムでは現在でもオープンバックバンジョーの人気が根強い。ドラムヘッドはかつては子牛の皮(カーフスキン)が用いられたが現在はプラスチック製が主流である。
種類
リゾネーターの有無の他、ネックや弦の仕様によって以下の様な種類がある。
5弦バンジョー
最も多く使われるバンジョーであり、製作も盛んで70~80年代には日本でも多く作られた。単にバンジョーといった場合は大抵はこの種を指す。5弦がネックの途中の側面に付けられたペグから張られているのが特徴で、この弦は1弦よりも高い音にチューニングされる。この弦は通常押弦せずにドローン的に鳴らされ、リズムを強調しバンジョー特有のノリを作り出す。バンジョーでは5弦を最大限に活かすために曲に合わせて様々なチューニングが用いられる。
現在はフレットを持ったものが主流だがマウンテンバンジョーやミンストレルバンジョーと呼ばれる古い形の楽器でフレットは打たれていなかった。後述のクローハンマースタイルでは現代でもフレットレスを好んで用いる奏者が居る。5弦は通常5フレットから張られるがネックが低音側に3フレット延長され8フレットから張られるロングネックと呼ばれる仕様の物もある。
演奏スタイル
5弦の存在によりバンジョーの奏法にはある種の制約が生まれるためその奏法も特異な物となっている。
- スリーフィンガー
- ブルーグラスのプレイヤーであるアール・スクラッグスが確立した近代的なスタイルであり、バンジョーの奏法の代表と言える。バンジョーロールと呼ばれる高速なアルペジオのための指使いが特徴。
- クローハンマー
- バンジョー古来の奏法で、単音のピッキング->単音のピッキングまたはコードのストラミング->5弦サミングのパターン(bum-ditty)を基調としたリズムを繰り返す。リズムを保ちつつメロディーラインを演奏するためのテクニックが豊富。
- ツーフィンガー
- 親指のダウンピッキングと人差し指のアップピッキングを交互に繰り返す比較的ギターに近い奏法。スリーフィンガ―はこの奏法をよりテクニカルにした物とされる。リードトーンを担当する指によりさらにサムリード, インデックスリードのスタイルに分類される。
プレクトラムバンジョー
ディキシーランドジャズの伴奏等で多く用いられる。5弦バンジョーでは5弦を含んだオープンチューニングを用いるために進行や転調が限られてしまうので、これを取り去ってスタンダード(CGBD)やシカゴ(DGBE)等コード伴奏に適したチューニングにした物である。プレクトラムとはフラットピックの古めかしい呼び方で、その名の通りフラットピックを用いたコードストロークを主体とした奏法が用いられる。
テナーバンジョー
ディキシーランドジャズやアイルランド音楽で用いられる。プレクトラムバンジョーと同じく4弦でヴァイオリンやマンドリンからの持ち替え用として開発されたためネックが短い。フラットピックを使って演奏し、コードストロークの他短いスケールを生かしてのリードプレイが可能である。テナーチューニング(CGDA, ヴィオラと同じ)やアイリッシュチューニング(GDAE, ヴァイオリンと同じ)が用いられる。ギターのネックをテナーバンジョーのネックで置き換えたテナーギターと呼ばれる派生楽器が存在する。
関連項目
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