不とは、不可能、不良、不幸など否定詞として使われる漢字である。また不運などのように悪いという意味でも使われる。
漢字として
- 意味
- ~あらず、~ない、と否定や禁止の意味で使われる。文を整える助字や疑問を表す助字としても使われる。そのほかにも以下の意味がある(どちらも古い用法で、現在では使われない)。
- 字形
- 花の萼の象形。否定詞の意味は仮借である。〔詩経・小雅〕に「常棣の華、鄂不(ガクフ)韡韡(イイ)たり」とあり、それについて鄭樵が〔六書略〕で「不は萼蔕の形に象る」と指摘し、花の萼の象形であるとした。
- 〔説文解字・巻十二〕には「鳥飛びて上翔し、下り來らざるなり。一に從ふ。一、猶ほ天のごときなり。象形」とあり、鳥が上へ飛んで下へは下りて来ないことから、否定の意味があるとしている。しかし甲骨文は鳥の翔ぶ形ではなく、一にあたる部分もない。
- 不、丕はどちらも萼の象形で、丕は萼と胚が少し大きくなったところの字である。金文では、不と丕は通用する。
- 音訓
- 音読みはフ、フウ、ヒ(漢音)、フ(呉音)、ブ(慣用音)、訓読みは、せず、にあらず、おおきい。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校4年で習う教育漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 不は〔説文〕で部首である。ほかに否が属する。
- 声符
- 不を声符とする漢字に坏、芣、杯、肧、衃、紑、𩑢などがある。
- 語彙
- 不安・不意・不一・不運・不壊・不易・不穏・不可・不快・不覚・不確実・不可思議・不可能・不感・不起・不覊・不義・不吉・不朽・不況・不興・不謹慎・不具・不遇・不倶戴天・不屈・不敬・不潔・不幸・不孝・不才・不在・不作・不死・不二・不時・不時着・不実・不惜身命・不淑・不順・不精・不浄・不如帰・不信・不振・不審・不仁・不尽・不正・不世・不整合・不全・不然・不足・不測・不遜・不退転・不達・不知・不恥下問・不調・不定・不逞・不敵・不適・不当・不撓不屈・不動・不徳・不得要領・不如意・不忍・不佞・不能・不発・不抜・不備・不憫・不平・不便・不偏不党・不法・不本意・不満・不明・不滅・不毛・不問・不夜・不要・不用・不利・不慮・不良・不猟・不倫・不老不死・不和
異体字
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