概要
言葉の意味そのもののみを用いて何かを綴る「記録」ではなく、言葉が持つ美学的・喚起的な性質を利用して何かを表現する文学である。
詩ほど定義の難しい文学も無く、いくつか体系はあるものの、字数制限も表記のルールも一切存在しない。例えば和歌・俳句・漢詩などはある定型の中で書かれるが、自由詩・散文詩・劇詩のようなものもある。
書いた人間が詩だといえばそれで詩だと認めても良いかもしれない。
その歴史は古く、記録に残っている史上最古のものは紀元前3000年にまで遡る。文字の読み書きが生まれる以前に、口頭での伝聞で既に存在したとも言われる。世界中の国・文化圏にあり、それぞれが違った体系を生んでいる。
思春期における詩
素人が思うがままに書いた、一切の定型に収まらない適当な文でも、自由詩と呼べる。
であるがゆえに、中学生など多感な思春期には、詩は、制御しきれない自意識の噴出先として選ばれやすい。
中学生の時分に、思ったことを詩として記したものは、「黒歴史ノート」の典型である。そしてその多くはもちろん、数年後の自分にとって強烈な威力を持つ地雷と化す。
自作マンガや小説も過去の思い出として恥ずかしいものではあるが、詩は、中学生程度の浅い知識と見聞で持って、社会や戦争や政治に厭世的な態度で触れることが往々にしてあるため、後から読んでみるとその見聞の狭さが自らの心を抉る。
ただし、いくら月並みで浅い内容であっても、思春期のアクロバティックな思考がそのまま焼き付けられた詩は貴重である。その思考回路を取り戻す機会は、後の人生においては、おそらく二度と得られないからである。
だから、押入れや引き出しの奥からそんなものを見つけたときは、思い切って音読してみると良い。もしかしたら自分の黒歴史と折り合いをつけられるかもしれない。
部屋の片づけをしているときに黒歴史ノートを見つけて勝手に読んだあなたの親も、何もあなたを馬鹿にしているのではなく、かつて自分が通った道として暖かい視線で見守っているのである……かもしれない。
漢字として
- 意味
- ポエム、漢詩、詩経、(持に通じて)ささげる。
- 〔説文解字・巻三〕には「志なり」とある。〔毛詩〕の序に「詩は、志の之く所なり」とあって、それを踏まえたものか。
- 字形
- 形声。声符は寺。古文の𧥳の声符は之。
- 音訓
- 音読みはシ(漢音)、訓読みは、うた。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校3年で習う教育漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 語彙
- 詩韻・詩詠・詩家・詩歌・詩経・詩興・詩曲・詩吟・詩才・詩作・詩集・詩情・詩人・詩仙・詩題・詩壇・詩嚢・詩文・詩話
異体字
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関連項目
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