京都市交通局10系とは、京都市交通局市営地下鉄烏丸線で運用されている電車である。1981年使用開始。
概要
1978年に市電が廃止された後、新時代の交通として待望されて建設された地下鉄烏丸線の開業時に製造された。
当初から近鉄京都線・奈良線への相互乗り入れが想定されており、車体の規格はそれに合わせられている。
総アルミ車体のデザインは関西の鉄道では初となる、正面を斜めに折り曲がらせた左右非対称のものとなっており、東京メトロ6000系(当時は営団地下鉄)の影響がありありと見える。また、制御装置も電機子チョッパ制御となっており、まさに東京メトロ6000系のコンセプトをそのまま京都市仕様にリファインしたといっても過言ではあるまい。ドアは爆弾ドアじゃなくて静かだけども。
1981年の開業当初に製造された1・2次車と、1988年の竹田駅延伸、相互乗り入れ開始以降に製造された3~6次車では正面デザインや窓の開閉可能状況、空調の補助ファンの有無などの差異がある。2017年現在は6両編成が20本、120両が在籍している。
烏丸線の延伸に合わせて十数年に渡り増備されたが、交通局にカネがないのでVVVF化のような制御装置などの大きな変更はなく、マイナーチェンジにとどまっていた。そして、乗り入れ相手の近鉄3200系がとっくの昔に車体更新されて全車車内表示装置が付けられ、3220系と並んで乗り入れ車が全部車内表示装置が整備されたのに、依然10系は最終増備編成の4本のみにとどまっていた。当然カネがないので10年以上も設備面で劣る状態が続いていたのである。これは、烏丸線の場合、乗り入れ用の近鉄電車が国際会館~竹田間の線内折り返し運用に入って10系と3200系・3220系が対等の状況で客の目に触れるため、より目立つ結果となっていた。
ところが、制御装置のメーカーが部品製造を打ち切ってしまい、やむなく制御装置のVVVF化がスタートすることになった。2015年に第11編成の制御装置を三菱電機製のハイブリッドSiCとし、誘導電動機の一種である全密閉モーターを動力としたことにより、VVVF車としては古い3200系に比べて遥かに静かな運転音を実現している。
そして、設備面も2017年に車内表示装置の取り付けと前側面行先表示幕のLED化が始まった。これは、観光地にふさわしく多言語表示に対応している。さらに、前照灯もLED化された編成が登場している。
2021年現在、全ての対象編成がVVVF化を完了している。
1・2次車はこれらのアップデートの対象から外れており、いずれ新型車両に置き換えられるものと思われるが、それまでは更新対象車から外された制御装置のパーツを使って共食い整備でまだ数年は永らえることになるだろう。何しろカネがないので。一応、2012年から補助電源装置をブラシレスモーターMGから静止型インバーターの更新を行っており、2015年をもって完了しているため、当分は使い続けるつもりのようだ。しかし、ついに2021年から順次新型車両(8月現在形式名未定)に置き換えられることになった。2025年まで新型車両を増備し、1・2次車を廃車とする計画である。8月17日に新型車両1編成が公開されたが、車両番号から形式名は20系となるものと推測されている。
現在も、烏丸線の全線国際会館~竹田の折り返し運転と、国際会館~新田辺間の乗り入れ各駅停車、国際会館~奈良間の乗り入れ急行で活躍、二つの「都」を結んで駆け抜けている。
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