天然痘(英語: variola, smallpox)とは、天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つである。
概要
オルソポックスウイルス属の一種である天然痘ウイルスによって引き起こされる非常に感染力の強い疾患。 高熱が出て全身に膿疱ができ、死亡率は30%にも及ぶ。死に至らなかった場合でも体に痘痕が残ってしまう。
自然感染は根絶されているが、 バイオテロに使用されることが懸念されている。そして万が一バイオテロに使用された場合、炭疽菌を遥かに上回る甚大な被害が生じると言われている(炭疽菌は天然痘ウイルスと異なり、人から人に伝染しないため)
人類を最も苦しめてきた感染症とされ、1980年に根絶されるまで世界中で流行を繰り返していた。
古代エジプトの王のミイラにも天然痘にかかった痕が見つかるなど、紀元前から流行していたとみられる。
日本においては、6世紀頃、渡来人によってもたらされたとされる。奈良時代の735年から737年に天然痘が大流行したという記録が残っている。
現在のメキシコでかつて栄えていたアステカ帝国が滅亡したのも、天然痘が一因と見られる。
18世紀の終わりに、イギリスの医学者エドワード・ジェンナーが、牛痘という天然痘に似た病気にかかった人の膿から「種痘」というワクチンを開発。その後世界へ紹介され、日本では蘭学者で医者の尾形洪庵が広めた。
日本では明治時代には2万人から7万人の患者が発生するパンデミックが6回起こったが、1909年に種痘の接種が義務化され、日本での発症者がいなくなると、1976年に接種が義務から外された。
そして、1980年には世界で「根絶宣言」がなされ、以降、天然痘の患者は一人も発生していない。2022年現在、天然痘は人類史上初めてにして、唯一根絶に成功した人類に有害な感染症とされる。
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