概要
この先の対戦を考えて、自分たちに有利になるように、または利益になるためにわざと負けようとする行為および試合のこと。似たような意味に「八百長」という言葉があるが一般的には区別される。
やる気が無いような試合をしているように見えることから「無気力試合」と呼ばれている。オリンピックなどの国際試合でも稀に見られる行為で、無気力試合だと認定されるとほぼ確実に失格になる。実力差のある強豪チームとの対戦を避けたり、同じ国のチームとの対戦を避けるためなどの理由で行われるケースが多い。
無気力行為と呼ばれる行為の具体的な例としては、バドミントンのサーブでわざとネットに引っかかるように打つ行為や、バレーボールでネットに引っ掛けたりレシーブをしない行為が無気力試合と呼ばれる。
過去のケース
2012年に開催されたロンドンオリンピックのバドミントンの試合、中国ペアと韓国ペア、インドネシアペアと韓国ペアの対戦。
D組1次リーグで既に決勝トーナメント進出が確定していた中国ペアが別の中国ペアと決勝まで当たらないようにするために無気力プレーを実施した。加えて対戦相手だった韓国ペアもその中国チームと決勝まで当たらないようにするため無気力プレーを実施。さらに、C組のインドネシアvs韓国の対戦でも同様の理由で双方が無気力試合を実施。4ペア8人が無気力試合をするという、オリンピック史上稀にみるとんでもない試合となった。
この件は世界各国のメディアで取り上げられ、大きな問題となる。これを重く見た世界バドミントン協会はこれらの8人を失格処分に決定。失格処分になった選手の中には当時世界ランク1位の選手もいた。
談合試合
試合内容が、戦う双方の利益に添う形になってしまったので、暗黙のうちに談合が成立してしまい、その時点でやる気のない展開が繰り広げられる試合のこと。試合の成り行きで談合が成立してしまうケースと、最初から談合があったケースに分かれるが、後者はもろに八百長である。昇格か降格かが決まるリーグ戦終盤において起きやすい。
主な例としては2019年11月24日のモンテディオ山形対FC町田ゼルビアの試合。
試合前の段階で、山形はプレーオフ進出圏にいて、町田は降格圏の瀬戸際に来ていた。
試合展開は、1-2と町田リードで後半のアディショナルタイムへ。負傷者の治療などで試合経過に差が出て、一足先にプレーオフライバルの水戸ホーリーホックの試合が終了。水戸が1-0で勝利したので、このまま点が動かなければ山形と水戸は同一勝ち点で並ぶが、総得点で水戸を上回っているのでプレーオフぎりぎりの6位を確保できる。しかし、更に失点を重ねてしまえば得失点で水戸に順位を逆転されてしまう。町田は勝ち点3を積み上げられて降格を免れることから、ここで双方の利益が一致。その結果、ボールがまったく動かない展開になってしまい、空気を読んだ審判はATを途中で打ち切って試合結果を確定。なんとも言えない結果になってしまった。
このように昇格と降格がかかっている場合、一つのミスでチーム自体の運命を決めかねないので否定はできない反面、かといって試合としてはどうなの? という複雑な感想を抱かざるおえないところである。
プロピアチェンツァのケース
2019年2月17日、イタリア、クーネオで行われたセリエC(イタリア3部)クーネオ対プロピアチェンツァの試合。恐らく驚かない者はいなかっただろう。なぜなら、プロピアチェンツァの選手が7人しかいなかったからである。
プロピアチェンツァは創立が1919年と古いが、下部リーグを主戦場にしていた小さなクラブであり、近年では深刻な財政難に襲われていた。給料の不払いで試合をボイコットする選手が多く、3試合ほど没収試合になっていた。3試合も試合放棄すればリーグ追放になるので、試合を形だけでも成立させるために、最低限の選手を送り込んだという訳である。ある意味では無気力試合ともいえる。7人とも10代のユース選手であり、更には選手ではないトレーナーも試合に投入せざるおえなかった。
11人相手に、最初から7人では試合に勝てるはずもなく、20-0と完敗。しかも、運営側の怒りを買ってプロピアチェンツァはリーグから排除。そのままチームも消滅してしまった。
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関連項目
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