養生テープとは、
である。ここでは1について説明する。
概要
「養生」とは、本来は人の健康を保つという意味だが、転じて建築現場などでは「何かを保護すること」を指す。例えば、新築への引っ越しの時に家具を運搬する際、壁を傷つけないように「養生シート」を貼るが、その固定に養生テープを使うことが多い。他にも棚を運ぶときの引き出しの仮止め、コード類のまとめなどで使われる。色は緑色や白色が多い。
はがす前提で作られているため、粘着力はガムテープ等と比べると弱い。そのため、段ボール箱の封に使うのはご法度である。
一方、はがしても跡が残りにくく、貼った材質も傷つきにくいという特徴がある。このため、引っ越し作業や建設現場では様々な場で重宝されるほか、備品を傷つけられない学校の文化祭などでも活用されることがある。切るのも容易であり、繊維に沿った方向であれば手でちぎることもできる。
一般的にはホームセンターや100円ショップなどで買うことができる。
なお、冒頭にも述べた「マスキングテープ」との違いは、一般的には材質とテープの幅であるとされることが多い。マスキングテープは紙で幅は1.5cm~3cm程度、養生テープはポリエチレンで幅は5cm程度ある。しかし、どちらも「養生する」ために使われることが多く、両方を「養生テープ」と呼ぶこともある。
台風対策としての養生テープ
台風などの強風が予想される際、対策として窓ガラスに「□」+「X」か「米」の字状に養生テープを貼ることもある。
ただし、これは「ガラスの破片の落下・飛散を抑える」方法であって、窓が割れないようにする方法ではないので注意。また、飛び散りにくい分、破片が箒やちりとりでは片付けにくい大きさになるため、片付けの際は大けがをしないように注意を要する。
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もし養生テープがない場合は、マスキングテープの上にガムテープを貼った二重テープや段ボール、コロコロシート、梱包用プチプチマットを貼ることでも代用・併用が可能。もちろんガラス飛散防止のフィルムもあるので、効果があるものであれば使用してもよい。ほかにも簡易的な方法だが、カーテンを閉めて洗濯ばさみや画鋲等で止めるだけでもガラスの飛散は防止できる。
ただし飛散と割れを両方とも防ぐ一番良い方法は雨戸やシャッターを閉めることであるので、雨戸やシャッターさえあれば強風対策の養生テープは不要である。また、ガラスの材質が網目ガラスである場合、網目ガラスがもともと飛散を防ぐ構造になっているし、強化ガラスの場合はかえって飛散した方がけがをしにくい傾向がある。このように、ガラスの材質によっても対応の仕方が異なってくる。
また、サッシを覆うように内側から養生テープを貼ることで浸水対策になる場合もある。ただし、あくまで「場合もある」という話なので、過信は禁物である。
養生テープを貼ったガラスの強度の変化について
「養生テープを貼ると窓ガラスの強度がかえって落ちる」という話もあるが、その情報元は不明である。「テープによって応力が一点に集中するため」とされるが、台風の際は飛来物から受けた非常に強い圧力によるガラスの損傷が多いため、そもそも強度は関係ないという意見もある。ソース元とされることの多いアメリカのNOAA(米国海洋気象庁)のページでは、強風対策として窓にテープを貼ることについて
No, it is a waste of effort, time, and tape. It offers little strength to the glass and NO protection against flying debris. After the storm passes you will spend many a hot summer afternoon trying to scrape the old, baked-on tape off your windows (assuming they weren't shattered). Once a Hurricane Warning has been issued you would be better off spending your time putting up shutters over doors and windows.
と述べている。しかし、「強度への影響は少なく、飛来物からの保護にはならない」と、飛散防止の件は触れずに強度のみの観点から述べており、「ドアや窓のシャッターを閉めるのに労力を割いた方がよい」とシャッターの使用を推奨しているが、シャッターや雨戸がない家の対処法を書いていない。
これに関連して述べると、戦時中の爆風対策として、セロファンや紙を貼ってどの程度ガラス強度の対策ができるか調べた研究がある。古い論文ではあるが、黒田・木村(1943)は全面・一部分にセロファンを貼り付けて爆風を当てる実験を行い、セロファンを貼らない時より貼った方が、衝撃強度が強くなり、割れ目の長さ・破片の飛散距離とも短くなるとしている(p.343-344)。また、近藤(1943)は
空襲時に窓ガラス防護法として紙類を貼ることは, その補強と云ふよりも寧ろその破片の飛散による危害防止と云ふ點に主たる目的があるものとも思はれる.
(略)
何も貼らないガラスの破片は勿論バラバラになつて散亂するが, セロフアンを貼つたものは壓力が大なる時には破片はセロフアンに附いた儘, 1個又は數個のブロツクとなつて落下する.
と、窓にセロファンや紙を貼る方法はガラスの飛散防止が目的であり、これについては実際に効果があると結論づけている(p.43)。そのうえで、実験の結果、対角線状に貼るよりも格子状に貼った方が風圧に対しては効果が出るとしている(p.41-42)。その原因はセロファンの繊維の方向にあるともしており、斜めに貼るとセロファンの筋の方向が割れ目と一致してしまうためとされている。
一方、衝撃に対しては、近藤は衝撃面の裏側にセロファンを貼った場合について
としている(p.44)。ちなみに、衝撃面のみに貼ると強くなるとしている。
長い、3行で
簡単に養生テープのガラスに対する効果をまとめると、
となる。
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