P-700とは、旧ソ連で開発され現在もロシアで運用中の艦対艦ミサイル(SSM)である。愛称はグラニート(御影石)。NATOコードネームはSS-N-19『シップレック』(難破船)。
概要
とりあえず西側の代表的対艦ミサイル、ハープーンとの比較を見てほしい。
グラニート | ハープーン (ブロック1C) |
|
全長 |
10m |
3.85m |
重量 |
6.98㌧ |
540㎏ |
弾頭 | ||
最高速度 |
マッハ2.5 |
マッハ0.85 |
推進方式 | ||
射程 |
220㎞ |
何からなにまでハープーンの倍どころか3倍4倍当たり前というおかしな性能を持っている。
というのも旧ソ連ではその発想として『米帝の艦載機に見つかる前に敵に対艦ミサイルで飽和攻撃かけて全滅させちゃえ』というドクトリンを持っていた。それを体現したのがこのグラニートである。
射程700㎞なんて発射する艦艇からすれば目標となる米帝艦隊は水平線のはるか彼方。そこにミサイルをぶち当てるためにレゲンタ人工衛星の支援を受ける。レゲンタ衛星はレーダーで常に世界中の海洋を監視し、グラニートの編隊はレゲンタからの情報を逐一受け取り軌道を修正する。またグラニートは『編隊を組んで行動』することが可能で、一斉に発射されたグラニートはレゲンタから情報をもらったミサイルを『リーダー機』とし、他のミサイルはこれについていく形をとる。リーダーが行動不能になると別のミサイルが自動的にリーダーになるというシステムも持っている。恐ろしいのはこんなシステムを1985年(!)の時点で確立していた点である。まさにおそロシア。
推進は驚異のインテグラルラムジェット。乱暴な言い方をすると砂時計の形を横倒しにしたのがラムジェットエンジンの形である。グラニートは普通砂時計の中にみっちりと詰まった固形燃料で発射される。そして燃料が尽きて砂時計の中身が空になるとくびれの部分に液体燃料を注入し点火、ジェットエンジンに早変わりするという驚異のメカニズムである。ソ連ではすでにインテグラルラムジェットを2K11『クルーグ』で実用化しており得意であった。かくしてマッハ2.5でかっとぶ脅威の対艦ミサイルが爆誕したのである。
あまりにでかすぎてキーロフ級巡洋艦とアドミラル・クズネツォフ、オスカー型原子力潜水艦しか積めないという弱点もあったが、そのバカみたいな性能は米海軍の脅威であった。なお、2000年に潜水艦『クルスク』が事故で沈没し引き上げられた時にその真の姿が現れたのだが、それまで西側では巡航ミサイルみたいな予想図が描かれていた。
余談だがキーロフ級、アドミラル・クズネツォフともに発射時は発射管に注水してから発射するようになっている。お前はSLBMか!
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関連項目
- ミサイル
- オスカー型原子力潜水艦:こちらにも詳細な解説あり。
- キーロフ級
- アドミラル・クズネツォフ
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