国防動員法とは、中華人民共和国で2010年7月1日から施行された法律である。
内容を簡単に言えば、中国国内で戦争や武力衝突が発生した際に、金融機関や立海空の交通輸送手段、港湾施設、報道やインターネット、医療機関、郵便、建設、貿易、食糧などの民間資源をすべて政府の管理下に置くことができる、というもの。
概要
国防動員法は、2010年2月26日に開かれた中華人民共和国第十一届全国人民代表大会常務委員会第十三次会議で決定された。
1997年に施行された安全保障の基本法である「国防法」を補完するものと位置づけられており、日本が戦前に施行した、国家総動員法とほぼ同じ狙いだと言われている。
この強硬な法律は明らかに戦争を意識しており、急激な経済成長と共に急拡大する軍事力を使い、そう遠くない将来、台湾や日本海、太平洋への軍事侵攻が近いと捉えられなくもない。
2020年10月には、「中国の国益が脅かされたと判断した」場合でも総動員できるよう、アメリカからの制裁および軍事紛争を想定したと思われる国防法の改正案が発表された。 [1]
影響と問題
この法律は原則として在外同胞つまり「国外にいる中国人」にも適用される。そうなると、例えば現在日本にいる大量の中国人は、有事の際に中国軍に動員され、日本にいながらにして破壊活動や軍事活動を開始する要員となる可能性がある。
さらに、この法律は中国に展開する外資系企業も対象になるため、現在中国に進出している日系企業は中国共産党と中国軍の意志ですべての財産や最先端技術なども没収されてしまうことになる。
加えてこの法律には、「発展利益」という定義や境界が曖昧な用語が含まれている。国際的には、「あえて具体的にしないことで拡大解釈を狙っているのでは」と見られ、場合によっては他国からの経済制裁なども「"発展利益"の侵害」という解釈につなげられる恐れがあるとの指摘が出ている。
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関連項目
脚注
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