てめェらクソガキ100人でも釣りのくる死だとは、漫画『ヴィンランド・サガ』におけるセリフである。
原作は2巻第16話のトールズの死から、アニメではシーズン1の4話。序盤のクライマックスであるトールズとアシェラッドの決闘の後にアシェラッドが発したセリフである。
主人公・トルフィンの父であるトールズは元々北海で武名を轟かせたヨーム戦士団の大隊長で、次期首領とも目されるほどの人物であった。しかし、首領の娘であるヘルガと結婚し、娘のユルヴァを儲けてから徐々に戦争に出るのが怖くなり、986年のヒョルンガバーグの戦いの最中に海中に身を投じ、妻子と共にアイスランドへ逃亡した。
それから15年後、トールズは新たに男子・トルフィンを儲けて平穏に暮らしていた。しかし、突如としてヨーム戦士団の大隊長・サイコロ頭フローキが配下の兵を引き連れてトールズのいる村に現れる。フローキはデンマーク王スヴェンがイングランドを征服する命を下したので、トールズも参陣するよう命が下ったと告げた。トールズは当初断ったものの、フローキは村全体に兵を配して暗に略奪を仄めかした為、やむなくそれを承諾することにした。
しかし、これはフローキの罠であった。彼はヨーロッパ各地を荒らし回っていたバイキングの一つ、アシェラッドの兵団に対し、イングランドへ向かう途上、中継地点のフェロー諸島でトールズを襲い、殺害することを依頼した。金10ポンドという十分な報酬を約束したため、アシェラッドはそれを引き受け、罠を仕掛けてトールズたちが来るのを待った。
かくして、トールズはアイスランドに立ち寄っていた交易商であり探検者のレイフ・エリクソンやついてきてしまった子のトルフィンを含む10人ばかりの人を連れて共にフェロー諸島に到着した。だが、その入江を渡っている最中にアシェラッドたちの罠にかかって交戦を止む無くされる。
トールズは単独で近づいてきたアシェラッド配下の海賊を鎧袖一触とばかりに打ち負かす(しかも素手)。その中にはアシェラッドの相棒ともいうべき古参のビョルンも含まれていた。だが、このまま戦いを続けてトルフィンたちに危害が及ぶのを嫌気して、トールズは首領のアシェラッドに自分が勝ったらすぐさま兵を引くように決闘を申し込んだ。アシェラッドはそれを受けてトールズと丁々発止の切り合いをし、トールズは隙をついてアシェラッドの得物を奪い取って逆に彼の首につきつけることに成功した。決闘はトールズの勝利に終わった。
トールズはアシェラッドに降伏を迫るものの、アシェラッドは部下の手前それを拒否。また、アシェラッドは自分を打倒したトールズの強さを認め、15年も隠棲していたことをもったいないと思わないかと問いかける。その問いに対してトールズは明確に否定し、剣に頼らざるを得ないのは己が未熟だからだと答え、「本当の戦士には剣など要らぬ」と断言する。
この言葉に感銘を受けたのか、アシェラッドはトールズに自分たちの首領になるよう請願。しかし、トールズがそれを受けるはずもなく、無言の拒否で返されてしまう。アシェラッドはやむなく今の言葉は冗談だとおどける。
その時、気絶していて決闘の宣言を聞いていなかったビョルンがアシェラッドの危機を救うためにトルフィンを人質に取ってしまい、トールズに剣を捨てるよう要求する。
アシェラッドはわずかな沈黙の後、突如笑い出し、「俺らが決闘の作法を守るとでも思ったか」とこれまでの決闘がすべて茶番だったと話す。トールズは再度アシェラッドの首に剣を突き付け、その場には緊張が走った。
が、トールズはアシェラッドたちが決闘の作法を乱したため、自分がこの決闘の勝者だと宣言、アシェラッドから「狙いはトールズの命だけ」という言葉を引き出すと自ら剣を投げ捨てた。その覚悟に応えたのか、アシェラッドも決闘はトールズの勝ちだと認めた。
それと同時、アシェラッドの合図で入江の崖の上に配置していた弓兵がトールズめがけて次々と矢を放った。トールズは矢をよけようともせず、その身に10本の矢をまともに受けることになった。
死を悟ったトールズは、再度決闘の勝者として自らの命を差し出すかわりに他の船員には手を出さずに兵を引くことをアシェラッドに要求。アシェラッドは先祖の名に懸けてそれを受け入れ、続いてトールズはレイフに後を託し、「よかった……とりあえず」という最期の言葉をのこし、トルフィンの慟哭を聞きながら絶命した。
トールズ絶命の直後、トールズに同行していたアイスランドの少年、アーレが憤怒のあまりアシェラッドに斬り掛かった。アシェラッドはそれを難なくかわして、逆に彼を殴り返し、
と吐き捨てた。一人で手練れの配下を何十人も打ち倒し、自身も危うく命を落とすほどの力量を持ったトールズに対して最大限の敬意を払った彼なりの言葉であることがうかがえる。
アシェラッドはその後、トールズについては素っ気ない印象しか表面上は語っていないので、彼の本心が吐露された数少ない場面でもある。また、父の敵を討とうと何度も命を狙ってくるトルフィンを決して殺さない背景ともなっている。
この決闘のシーンは文章では表現できない視線でのやり取りや微妙な表情の変化での心境描写が多く、のちに明らかになるアシェラッドの背景なども踏まえると、アシェラッドも進んでこのようなことをしているわけではないことなどは容易に推察できる。
この記事を読んだ後には、ぜひとも漫画・アニメでの該当部分や該当シーンも確認してほしい。
掲示板
2 ななしのよっしん
2024/02/04(日) 16:05:11 ID: xhULm0G0Bx
>決闘はトールズの勝利に終わった。
>しかし、所詮海賊の彼らが決闘の流儀など守るはずがなく、アシェラッドのさりげない合図で入江の崖の上に配置していた弓兵がトールズめがけて次々と矢を放った。さすがのトールズもこれを避ける事はできず、その身に10本(アニメでは8本)の矢をまともに受けることになった。
ここの部分、一寸端折りすぎじゃないかなあ。アニメ版で確認してきたけど、
・トールズが剣を突き付けて、言葉の応酬の後アシェラッドが感服して「あんた、俺らの首領にならねえか?」と誘ったこと
・それが受け入れられないとわかった瞬間、冗談だと切り替えたこと
・部下によって勝手にトルフィンが人質にされてしまい、トールズが自ら剣を手放したこと
・アシェラッドと決闘の勝敗を確認して、そのうえでのアシェラッドが合図をして矢が放たれたこと
などが抜けてる。
現状だとアシェラッドがほんとにただの悪党にしか読めない記述だけど、
このシーンのアシェラッドにはトールズへの感服と部下の手前の首領としての立場と
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
3 ななしのよっしん
2024/02/04(日) 16:12:36 ID: xhULm0G0Bx
>(アニメでは8本)
細かいことだけど、ここも微妙。
アニメ版ではシーンによって角度が違うせいか、絵として見せるための仕方ない省略かはわからないが、
トールズの体に刺さってる本数は8~10本で変化してる
だけど、トルフィンに泣きつかれてる最期のシーンではちゃんと10本確認できる
矢が体に突き刺さるSEもちゃんと10回鳴らされてる
4 ななしのよっしん
2024/02/04(日) 17:49:19 ID: tM6mrayiFC
初版作成者です。編集しようと思って文を打ち込んだのですがどうやら先に十分な編集をされていたようです。
内容不足な状態で記事を作ってしまいすみませんでした。以後は気をつけます。
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最終更新:2025/12/06(土) 05:00
最終更新:2025/12/06(土) 05:00
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