とある音階の固有和音(ダイアトニック・コード)のそれぞれに対し属和音(含属七和音等)となる和音(例えばハ長調のDmに対するA7、Fに対するC7、Amに対するE7、&c.)をセカンダリードミナント(副次属和音、ネーベンドミナンテ)という。
いわゆる「泣き」のコードであり、楽曲をドラマチックなふいんきにするのに欠かせない。ロマン派音楽からエロゲソングまで幅広く用いられている。
セカンダリードミナントから固有和音へ移る間は部分的な転調となり、一種の解決進行ととらえることができる。
(左)2小節目1拍目(0:13あたり)がセカンダリードミナント、2小節目7拍目(0:16あたり)へ解決進行。3小節目4拍目(0:20あたり)がセカンダリードミナント、2小節目7拍目(0:21あたり)へ解決進行。他多数。
(右)5小節目(0:13あたり)がセカンダリードミナント、6小節目(0:15あたり)へ解決進行。など。
先掲動画はフレーズや小楽節の終わりに経過音を伴ってセカンダリードミナントに入っていたが、長調の楽曲で重要なメロディが現れる部分(サビとは限らない)において、トニック(その調の主和音。ハ長調のCなど)の後に急にセカンダリードミナントを置くパターンも好んで用いられる。
以下の楽曲のサビでこのパターンのセカンダリードミナントが用いられている。
このパターンでは、セカンダリードミナントのコードはV(主調の音階の第5音をルートとする固有和音)の代理コードの役割を果たしている(実際に該当コードをドミナントコードに置き換えても伴奏として成立する)。逆に言うならば「Vで伴奏付けできる楽曲のコードの中には、セカンダリードミナントに置き換えることができるものがあるかもしれない」、とことである。
(左)Aメロ部分(「罠に つい」のところ)もセカンダリードミナントが使われているが、後続のコードが本来の解決コードてあるAmではなく、サブドミナントのFとしている。これは部分的な転調先の偽終止ととらえることができる。
(右) 主部冒頭からセカンダリードミナントの嵐だが(割愛)、一番際立っているのはトリオ21小節目(1:25あたり)のモノである。歌詞の「我らの父が大いなる努力で」に似合う進行である。
短調の楽曲において、重要なメロディの部分(サビとは限らない)でセカンダリードミナントを伴う定型のコード進行が使われることが稀によくある。
トニック→ドミナント→トニック(またはドミナントパラレル)と並べたコード進行に、ベースは主音→上主音→中音と順次進行をとる。その後にセカンダリードミナント(必然的にトニックと同じコードネームのドミナント系コードとなる)を置き、ベースは順次進行の延長としてコードの第3音(=一時的なリーディングトーン)に進む。その次にはサブドミナントを置くことが多い(けどナポリ6にしても綺麗だよね)。
(左)冒頭「音」が最初のトニック、「も無い」がドミナント「世界」がトニック、「に」がセカンダリードミナント。「舞い降りた」の「舞い」へ解決進行。
(右)同じ進行が主題に使われている。
セカンダリードミナントの前に、固有和音に対しIIm7となる和音(例えばハ長調のDmに対するEm7、Fに対するGm7、Amに対するBm7、&c.)を置き、ツーファイブの効果を加えた進行もよく用いられる。
IIm7の代わりにIIm7-5もよく使われるがII7 (ドッペルドミナント)はあまり用いられない。元々解決の含みを持つセカンダリードミナントに、さらに解決の効果を重ねる形になるドッペルドミナントを使うと「泣き」の効果が薄れてしまうからかもしれない。
(左)前奏後のA部分5小節目(3小節目? 0:09あたり)から。
(右)テーマB部分3小節目(0:11あたり)からの進行。
(左)A'部男子パート4小節目(0:36あたり)からの進行。B部2小節目(0:51あたり)からの進行(珍しくナインスコードのセカンダリードミナントである)。他。
(右)Bメロ「ふぃぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅっときゅーぅ接近」の「ぎゅぎゅぎゅぎゅ」→「ぎゅっときゅ」がツーファイブ型セカンダリードミナント、「ーぅ接近」へ解決進行。
(左)リフレイン部分、まず通常のツーファイブが先行し(0:55など)、その後にセカンダリードミナントのツーファイブがくる(1:02など)。言わば「追いツーファイブ」型である。
(右)B部分(歌詞「夢が覚め〜」 等)、固有和音F#mに対するツーファイブ 「G#m7-5 - C#7」が二回繰り返された後、それがF#mに解決せず直に固有和音Bmに対するツーファイブ「C#m7-5 - F#7」を置いている。C#7とF#7がセカンダリードミナントである。C#7からC#m7-5 への進行は丁度、導音(リーディング・トーン)が解決せずに半音下降することで転調の形を取っている。この構成音(コード・トーン)のひとつ(乃至2つ)が半音進行するパターンの転調は広く好用されている。
IV△7→V7→IIIm7→VImの記事の「亜種」カテゴリにある、「IV□→V□→III7→VIm」の「III7→VIm」の部分は、セカンダリードミナント→固有和音のタイプの解決進行である。先に挙げた「雪、無音、窓辺にて」のサビ「私にも た」→「だひとつの が」→「ん望が持」→「てるなら」は丁度「IV□→V□→III7→VIm」型の進行となっている。
また同カテゴリの「IV□→V□→IIIm7→VI7」の進行もVI7がセカンダリードミナントであり、VI7の次にIImをおけば解決進行となる。
(「タレが」)「あって ア」→「メがあって」→「タニシが」→「できれぅ こ」の部分が王道進行にあたる。「できれぅ こ」がセカンダリードミナントであり、「ころとゆめで」へ解決進行となる。ちなみに「タニシが」→「できれぅ こ」の部分はツーファイブの進行にもなっている。すなわちこのコード進行は王道進行の中にツーファイブとセカンダリードミナントを内包する豪華デラックス版なのである。
いいとこ取りなこのコードは、アイマス曲では他にGO MY WAY!!にも使われている。ニコニコでおなじみのきしめんや恋スルVOC@LOIDにも用いられ、大百科に記事のある楽曲ではめてお☆いんぱくとやフライデーナイト・ファンタジー等にこのコードが含まれている。
掲示板
5 ななしのよっしん
2013/06/15(土) 06:31:46 ID: fWd4WV6amB
"ネーベンドミナンテ"でググっても8件しか出ないんだが
古今東西全く使われてない単語だな
6 ななしのよっしん
2013/10/15(火) 17:58:52 ID: sKETg4orPN
カタカナでググればそらそうなるわな
中国語 "副属和弦" 49 件
日本語 "副属和音" 53 件
ドイツ語 "Nebendominante" 136 件
英語 "Secondary Dominant" 391 件
十分メジャーですわ
7 ななしのよっしん
2013/10/29(火) 14:36:33 ID: XEOhGvAmL0
googleで検索してみたところ
"Secondary Dominant" 47,500 件
"セカンダリードミナント" 12,900件
"セカンダリドミナント" 1,840件
"Nebendominante" 1,050 件
"ネーベンドミナンテ" 8件
"ネーベン・ドミナンテ" 1件
ニコニコ動画内でもキーワード検索してみた結果
セカンダリードミナント 2件
セカンダリドミナント 1件
ネーベンドミナンテorネーベン・ドミナンテ 0件
「セカンダリードミナント」のほうが通りがよさそうなので記事名を変更して
「ネーベンドミナント」をリダイレクト記事として作成しました。事後報告ですみません。
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最終更新:2024/12/22(日) 15:00
最終更新:2024/12/22(日) 14:00
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