テオレーマ(英:Teorema)とは、2016年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
世界1位の末脚と濃厚すぎる欧州血統が日本で出会って生まれた大器晩成のダート牝馬である。
馬名の意味は「スペイン語で『定理』」。
主な勝ち鞍
2021年:JBCレディスクラシック(JpnI)、マリーンカップ(JpnIII)
2022年:TCK女王盃(JpnIII)
父ジャスタウェイ、母*スターズアラインド、母父Sea The Starsという血統。……と書くだけでは彼女の血統の凄まじさは1mmも伝わらないであろうから、もう少し詳しく書く。
まず父は2014年のドバイデューティフリーを圧勝してレーティング世界1位に輝いた世界のジャスタウェイ。テオレーマはその初年度産駒である。が、とりあえずそれはまあ置いておいていい。
問題は母である。アイルランド産の輸入繁殖牝馬なのだが、まずこの血統を見てほしい。
父:Sea The Stars 母:Senora Galilei 母父:Galileo
血統に詳しい人なら「ん? おいちょっと待て」と思った事であろう。父Sea The Starsと母父Galileoはどちらも母Urban Sea。つまりこの配合、Urban Seaの2×3という凄まじい牝系クロス配合なのである。
人間で言えば叔父と姪で子供を作ったことになる。エネイブルかよ。
さらに血統を見ると母母父は*デインヒルで、3代父のGreen DesertもDanzig産駒なのでクロスはDanzigの4×4、さらにGalileoからSadler's Wellsも入ってるのでNorthern Dancerも5×4×5である。ついでに母Senora GalileiはTeofilo(2006年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬)の全姉。なんかもうわけのわからん血統背景である。ちなみにこちらにとってもテオレーマは初仔。
一応説明を付け加えておくと、母父Sea The Starsは2009年のイギリスクラシック二冠&凱旋門賞馬で、種牡馬としても現代欧州競馬のトップサイアーとして活躍している。母母父Galileoと母母母父*デインヒル、母母父父Sadler's Wellsも欧州競馬を席巻した説明不要レベルの大種牡馬。そしてSea The StarsとGalileoの母Urban Seaはこの2頭を含めGI馬を4頭生んだ伝説的な繁殖牝馬。そりゃ欧州にはお相手いなくて日本送りになりますわ。
2016年2月2日、浦河町の笠松牧場(ディープスカイの生産牧場)で誕生。オーナーはその笠松牧場の代表である水上行雄。母*スターズアラインドを「なんか凄い血統馬がいるぞ」と2014年のタタソールズ12月セールで競り落とし、ジャスタウェイの配合を決めたのは水上オーナー自身だそうである。
栗東の石坂正厩舎に入厩し、2019年1月の3歳新馬戦(京都・芝1600m)でデビューするも11着惨敗。ちなみにこのレース、1着は2021年中京記念を勝つアンドラステ、2着は2022年天皇賞(春)でカラ馬2着入線して話題になったシルヴァーソニックだった。
2戦目からはダートに転向し、3戦目の未勝利戦(阪神・ダート1800m・牝)を7馬身差で逃げ切り圧勝、未勝利を突破する。
しかしその後は勝ち味に遅く、3歳の間は1勝クラスで足踏みが続く。明けて2020年、3月の1勝クラス(阪神・ダート1800m・牝)を、後に相棒となる川田将雅の騎乗で外から捲って差し切り勝利。
2勝クラスでも4着→11着→3着→2着となかなか勝ちきれず。昇級5戦目、2020年11月の西湖特別(東京・ダート1600m・牝)を坂を上りきったところから一気に加速して4馬身差の快勝、ようやく準オープンに昇格。このあたりから本格的に、父譲りの末脚が開花し始める。
3勝クラス初戦のフォーチュンカップ(阪神・ダート1800m)は1番人気に支持され、ハナ差2着に敗れたが、テン乗りで鞍上を務めた吉田隼人は「このクラスもすぐに勝てると思います」と語った。
明けて2021年、初戦の豊前ステークス(小倉・ダート1700m)を最後方の大外から猛烈な末脚で豪快に差し切り、あっさりオープンに昇格。ちなみにここまでの勝ち上がりは全て牝馬限定戦で、これが唯一の牡馬相手の勝利であった。
2月限りで石坂正調教師が定年となったため、息子の石坂公一厩舎に転厩した。
父から彼女を引き継いだ石坂師は「平坦なコースの方が良い」と見て、以降テオレーマは地方のダートグレード競走路線に的を絞ることになる。
というわけで重賞初挑戦は4月のマリーンカップ(船橋・JpnIII)。鞍上はここから川田将雅となる。7頭立てのレースを先頭からだいぶ離れた6番手で進めたが、直線に入ると先頭で叩き合うサルサディオーネとマドラスチェックを歯牙にもかけず、次元の違う末脚で外から一気に差し切り2馬身差の快勝、重賞初制覇。石坂師も開業3年目で嬉しい重賞初勝利となった。
続いて7月のスパーキングレディーカップ(川崎・JpnIII)。1番人気に支持されたが、石坂師によるとレース中に熱中症になっていたそうで、前走のマリーンCで破ったサルサディオーネに10馬身以上離された6着に惨敗。
気を取り直して10月のレディスプレリュード(大井・JpnII)。中団から追い上げたもののレーヌブランシュに届かず2馬身半差の2着に敗れたが、鞍上の川田は「改めて前走の敗因が熱中症だったと確認できました」と次走に切り替えた。
そして11月、今年は金沢競馬場の1500mでの開催となったJBCレディスクラシック(JpnI)。馬体重も前走から-10kgとしっかり絞れて1番人気に推される。中団の内から先行勢を見ながらレースを進め、3コーナーから徐々に押し上げていくと、直線で外から抜群の末脚で一気に差し切り、1:32.1のコースレコードで2馬身半差をつけて圧勝。JpnI初挑戦で見事にダート女王の座に輝いた。
6歳となる2022年初戦は1月のTCK女王盃(大井・JpnIII)。いつも通りの中団待機から直線で外に持ち出し、内から迫ってきたショウナンナデシコにも鞍上の川田が「着差以上に余裕がありました」と語る力強い末脚で完勝。ダート女王の貫禄を見せた。
続いて2月のフェブラリーステークス(GI)に挑戦。川田がレッドルゼルに騎乗するため、鞍上は初騎乗のクリストフ・ルメール。初の中央重賞、重賞では牡馬との初対決、フェブラリーSはGIになって以来牝馬の勝ちなしというあたりから10番人気。父譲りの末脚で低評価を覆したいところだったが、外から末脚勝負に持ち込みたいのに最内の1枠1番を引いてしまい後方に押し込められ、高速馬場で前残りの展開ではさすがにどうにもならず14着に敗れた。
まだまだダートグレード競走で活躍できそうであったが、既に6歳という年齢や血統背景もあってか、結局このフェブラリーステークスを最後に引退となった。通算23戦7勝、重賞3勝。
自身は晩成だったのに産駒は現在のところいささか早熟伸び悩みの傾向があるジャスタウェイの産駒の中で、母方の欧州の血の影響なのか珍しい晩成型のダート牝馬として活躍したテオレーマ。その子たちが父の末脚と母の欧州の血を日本に広げるような活躍を見せることを期待したい。
ジャスタウェイ 2009 鹿毛 |
ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
アイリッシュダンス | *トニービン | ||
*ビューパーダンス | |||
シビル 1999 鹿毛 |
Wild Again | Icecapade | |
Bushel-n-Peck | |||
*シャロン | Mo Exception | ||
Double Wiggle | |||
*スターズアラインド 2011 鹿毛 FNo.1-n |
Sea The Stars 2006 鹿毛 |
Cape Cross | Green Desert |
Park Appeal | |||
Urban Sea | Miswaki | ||
Allegretta | |||
Senora Galilei 2003 鹿毛 |
Galileo | Sadler's Wells | |
Urban Sea | |||
Alcando | *デインヒル | ||
Saviour |
クロス:Urban Sea 3×4(18.75%)、Danzig 5×5(6.25%)
掲示板
23 ななしのよっしん
2022/12/16(金) 20:36:14 ID: WAr5zBSacG
母方の血が濃いから薄め液みたいな牡馬が望ましかったんだろうが、それにしても初年度からコントレイルつけるとは思い切ったな
どっちに似る産駒が出るか楽しみ
24 ななしのよっしん
2022/12/18(日) 11:21:49 ID: TEXjmUEDrX
父コントレイル 母父ジャスタウェイとかいう福永祐一のためのような血統
まぁテオレーマ自身は福永さん関係ないけど
25 ななしのよっしん
2023/03/04(土) 00:18:29 ID: L/1zqhr/h4
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最終更新:2025/03/24(月) 22:00
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