カラテ(Karate)とは、2016年生まれの日本の競走馬である。黒鹿毛の牡馬。
令和時代の日本をケイバによって支配し、「ノーカラテ、ノーケイバ」と言わしめた競走馬である。
主な勝ち鞍
2021年:東京新聞杯(GIII)
2022年:新潟記念(GIII)
2023年:新潟大賞典(GIII)
| カラテ Karate/空手道 |
|
|---|---|
| 生年月日 | 2016年5月27日 |
| 馬種 | サラブレッド |
| 性・毛色 | 牡・黒鹿毛 |
| 生産国 | 日本 |
| 生産者 | 中地康弘 (北海道新冠町) |
| 馬主 | 小田切光 |
| 調教師 | 高橋祥泰 (美浦) →辻野泰之 (栗東) |
| 馬名意味 | 空手 |
| 初出走 | 2018年8月11日 |
| 抹消日 | (現役) |
| 戦績 | 37戦8勝[8-2-1-26] |
| 獲得賞金 | 2億5832万8000円 |
| 受賞歴 | |
| 競走馬テンプレート | |
父トゥザグローリー、母レディーノパンチ、母父フレンチデピュティという血統。
父トゥザグローリーは、大種牡馬キングカメハメハと名牝トゥザヴィクトリーを両親に持つ良血馬であり、自身もG1勝利こそないものの、重賞5勝となかなかのカラテを持っていた。
母父フレンチデピュティは、クロフネ・エイシンデピュティ・ピンクカメオなど数多のG1馬を輩出した大種牡馬であるが、その娘につけられた名が「レディーノパンチ」。これが、のちに彼女の子となる本馬の、ある意味運の尽きであった。
聡明なる読者諸兄はご存知であろう。この特徴的なネーミング・ジツを使いこなすオーナーの名を。
オダギリ・ユウイチ。所有馬にチンメイ・ジツを施し、昭和・平成時代の日本競馬界を爆笑の渦に巻き込んだ伝説の珍名馬主である。
母レディーノパンチは不出走で繁殖入りし、産駒のうち何頭かは小田切有一から馬主業を引き継いだ子の小田切光が所有することになった。彼も父に劣らぬチンメイ・ジツの使い手であり、レディーノパンチの産駒たちにも彼のセンスが炸裂することになった。
こうして「レディーノパンチの2016」につけられた名は、「カラテ」。海外に行ったときに日本の馬だと分かるので、いつかつけたいと温めていた名前だという。
馬柱を見ると思わず吹き出す名前ではあるが、オダギリ・スコードロンのネーミングセンスの中ではまともな部類で、この一族をよく知るファンからは「全然面白くない」とすら言われたという。なにせ、彼のきょうだいは「デカ」「アッチムイテホイ[1]」なのだから…。
デビュー戦は476kg、2戦目は20kg以上増えて500kgと馬体重からして安定せず、未勝利脱出は8戦目の3歳2月。スプリングステークス(GII)に出走したものの、16着とシンガリ負けを喫してしまう。
気を取り直して自己条件から再始動するも、2勝目を挙げたのは1勝目から1年4ヶ月後の2020年6月であった。あまりの低迷ぶりに入障させられそうになるが、飛越が下手でそれすらできず、平地で続行することになった。
しかし、勝てこそしなかったものの、カラテは自らのカラテを高めつつあった。
2勝目からわずか3戦後、2勝クラスで勝利。さらに次走の若潮ステークス(3勝クラス)で2連勝を果たし、見事オープン入りを果たしたのである。
高橋祥泰=センセイは、2-3勝目の勝利を不良馬場や遅い時計に強かったからと認識していたが、4勝目が良馬場の好時計であったことでこれが覆された。一方、これらの勝利により1600mに絞って使ったのが良かったのだろうと分析もしており、以降、カラテは1600mの重賞を集中して狙っていくようになる。
5歳にして破竹の2連勝で覚醒した伏竜。気づけば新馬戦の頃の貧弱振りは見る影もなく、ゼッケンがパッツンパッツンになるほどの大型馬になっていた。
次に目指すは重賞・東京新聞杯(GIII)。今回は伏兵として注目されるほどになり、5番人気に支持される。スプリングステークスの時は最低人気だったことを考えれば、かなりの出世である。
レースはダイワキャグニー=サンが逃げる中5番手ほどに就く先行策。直線では前が塞がったように見えたが、わずかに前が開いたチャンスを逃さずスエアシ・ジツを発揮。先に抜け出していたカテドラル=サンとの競り合いにアタマ差打ち勝ち、見事重賞初制覇。
ラジオNIKKEIの実況は、小林雅巳=サンであった。差しきり勝ちをすると絶叫する彼のスタイルが珍名馬と相性抜群であり、その筋のマニアには人気が高いアナウンサーである。しかも、彼はカテドラル=サンが濃厚とみたか当初そちらの実況に集中しており、そこにカラテが競り合いを挑んできたため、彼のゼッキョウ・ジツが増幅されるという結果になったのだ!
伏兵カラテの姿を認めるや、コバヤシ=サンの声が1オクターブ上がり、ゴール板前でさらに1オクターブ上がっていくという彼の勝利を祝するにふさわしい実況であった。
ブラック・ベルトならぬ東京新聞杯の真っ赤な優勝レイを身にまとう栄誉を受けたカラテ。オダギリ・スコードロンとしてはドモナラズ=サン(2010年七夕賞)以来の重賞制覇。ヒカル=サン、鞍上の菅原明良=サンにとっても初の重賞制覇となった。
次走はダービー卿チャレンジトロフィー(GIII)を予定していたが、蹄の状態から回避。安田記念(GI)では13着と惨敗をしてしまう。この頃から、蹄の伸びのバランスが悪いという体質が表面化する。
とはいえ、その後関屋記念(GIII)2着、京成杯AH(GIII)5着と掲示板は確保していた。その後富士S(GIII)を回避し、放牧に。
明けて2022年のニューイヤーS(L)で勝利。東京新聞杯(GIII)では連覇を狙うが、今度は直線で前が開かず沈んでしまった。しかし抜け出してからの末脚で意地を見せ、3着に突っ込む。中山記念(GII)はパンサラッサ=サンの大逃げを捉えられず、しかし他馬はスエアシ・ジツでぶっちぎって2着。重賞で勝てないとはいえ、善戦マンではあり続けた。
しかし、この年の2月末をもって、高橋祥泰=センセイが定年引退。カラテは辻野泰之=センセイのもとへ転厩となったのだが、そのせいで美浦から栗東への転厩となってしまった。タカハシ=センセイの管理馬で栗東に行くのはカラテのみ。報道によれば、ツジノ=センセイは蹄に不安のあるロータスランドの成績を上向かせた実績があり、それを買って同じ不安のあるカラテを預託したのではないかとのこと[2]。東西をまたいでの転厩により、鞍上の乗り替わりも心配されたが、次走以降もアキラ=サンで変わらなかった。
しかしその代償は大きく、マイラーズカップ(GII)は直線で全く伸びず7着と、久々の掲示板外となる。リベンジを狙う安田記念(GI)は直線で馬群にブロックされ、16着の惨敗。
次走は長い距離を使いたいとオーナーのTwitterで言及されており、久々の2000m新潟記念(GIII)へ。
結果を出したのが主にマイルであったこと、不利な内枠、トップハンデ57.5kgとアブハチトラズな条件であり、10番人気に落ち込む。
スタートで好位置を取り、脚を溜めつつ第4コーナーのカーブから直線に向いた刹那。各馬がほぼ横並びになり、馬場の四分どころで脚を溜めていたカラテ=サンの前ががら空きになったではないか! こうなればカラテ=サンの独壇場である。得意のスエアシ・ジツの代わりに、新潟の長い直線を利用して徐々に先頭へ。内でレッドジェネシス=サンが粘り、外からユーキャンスマイル=サンが猛追するものの届かず、1と3/4馬身差をつけて重賞2勝目を果たしたのだった。
2着のユーキャンスマイル=サンも9番人気。このキンボシ・オオキイにより、馬連・馬単・三連複・三連単が万馬券となり、三連単は70万9120円と波乱の決着となった。
夏競馬のフィナーレを飾る復活を見せつけたカラテ。次走は毎日王冠(GII)を視野に入れつつの天皇賞(秋)(GI)と発表されていたが、9月10日の段階で直行が確定。
レースでは、パンサラッサ=サンの大逃げを尻目に中団に控え、最内で直線を迎えるが、パンサラッサ=サンを追い上げるべく馬群を縫うダノンベルーガ=サンを前にスエアシ・ジツが鈍ってしまう。それでも意地を見せて6着には突っ込んだ。エンペラーズ・シールドは逃したものの、パドックでの立派な姿からベストターンドアウト賞を獲得。
次走はジャパンカップ(GI)。2000mで戦えるほどの力を見せつけたカラテは、2400mという未知の距離、そして、世界の一流馬を相手に一撃必殺のスエアシ・ジツを通用するのか注目が集まった。
スタートはユニコーンライオン=サンが引っ張る集団のやや後ろに位置を付け、最終コーナーでのスエアシ・ジツのタイミングを伺うべくアンブッシュ。勝負の機を待った。
しかし、最終直線に差し掛かるの絶好のタイミングで馬群が蓋となり前が壁に。ナムサン!スエアシ・ジツは炸裂せず!もはや終わりか…と思ったが、直線で馬群が僅かに開く。
カラテは残り300mからカジバ・フォースのスエアシ・ジツに全てを賭けたが、同じくしてその機を狙っていたシャフリヤール=サンがそれを遥かに上回るスエアシ・ジツで進出を開始。更に内からはキャノンボールめいたスエアシ・ジツで、ヴェラアズール=サンが逃げるヴェルトライセンデ=サンを捉え、追う後続も振り切って1着。スエアシ・ジツを発揮しきれなかったカラテは力及ばず8着に終わった。
なお、掲示板の5頭のジョッキーは5着ダノンベルーガ=サンの鞍上・川田将雅=サンを除く4名全てが外国人の短期免許取得者。鞍上の追走力のワザマエの差も響いたことだろう。
しかしながら、この秋の戦いで得られたものは大きい。
この戦いの経験を糧に、カラテは更に己のカラテを磨くだろう。
しばしの休養を挟み、7歳シーズンとなる2023年始めは京都記念(GII)か中山記念(GII)を経由し、大阪杯(GI)を目指す…予定だったが、体調がよくならず新潟大賞典(GIII)から宝塚記念(GI)を目指すプランへ変更となった。
その新潟大賞典(GIII)だが、59kgというトップハンデをもらったことから5番人気となる。ワカメめいた不良馬場となったこのレース、カラテは4・5番手集団につけてレースを進める。しかし、開幕先手を取って逃げたセイウンハーデス=サンが、新潟競馬場の長い最終直線まで逃げ粘る!
バッド・ヤンキー・ターフに足を取られ後続の馬が伸びあぐねる中、どんどんセイウンハーデス=サンが後続を突き放していく。ナムサン!もはやセイウンハーデス=サンの独壇場か!
しかし、もはや誰の目にも勝者に見えたであろうセイウンハーデス=サンの横にすがりつくただ一頭の馬がいた。カラテだ!カラテのエントリーだ!最終盤、セイウンハーデス=サンとカラテのマッチレースになる中、バッド・ヤンキー・ターフをものともしない屈強なスエアシ・ジツを繰り出したカラテは、4分の3馬身差つけて1着となった。2着のセイウンハーデス=サンの後ろは8馬身ちぎれてイクスプロージョン=サンであった。
新潟記念(GIII)と新潟大賞典(GIII)を制覇し、名実ともに新潟の王となったカラテ。次走は宝塚記念前に4つのコーナー・ジツのラーニングが必要という事で鳴尾記念(GIII)へ赴くが、ややメンツが強すぎたか、9着に終わった。
宝塚記念(GI)のファン投票は39位だったが、出走希望した馬の中で9番目に入り、優先出走権を獲得。望むはただひとつ、GIでの勝利。だが、最初の1000mを58秒9で進むユニコーンライオンの後ろで3番手集団につけた彼は、後半スエアシ・ジツをする余力なくあえなく爆発四散。16着という結果に終わった(とは言えそれでもレーティング108なので、言うほど惨敗したわけではない。敵があまりにも強すぎたのだ)。
そのまま2023年の下半期は丸々休み、アメリカジョッキークラブカップ(GII)で復帰するもまったく太刀打ちできず10着に爆散。なぜかダートのフェブラリーステークス(GI)へ向かうが、何もできずに15着。連覇のかかる新潟大賞典(GIII)は14着に沈み、鳴尾記念(GIII)は6着。京都で行われた宝塚記念(GI)に再び出走するも、最下位13着に沈んだ。
毎日王冠(GII)は何もできずに11着に沈む。ジャパンカップ(GI)はさすがに荷が重かったかブービー13着(ただ、無茶して沈んだソールオリエンス(2023年の皐月賞馬)には先着した)。
9歳初戦は中山金杯(GIII)だったが、59kgという斤量が災いしたか13番人気13着。引き続きAJCC(GII)に出走するもダービー馬の復活を1.1秒後ろで見ることしかできない11着(17番人気)。中山記念(GII)もレコード決着の後ろ0.9秒で15番人気10着とし、大阪杯(GI)を迎えた。
大阪杯の人気はしんがり人気の15番人気。単勝倍率も316.5倍とまったく期待されてなかった。実際、レースでは後ろにただいるだけの12着になったわけ…だが、問題はそのタイムである。
彼の走破タイムは1分57秒1である。かつての大阪杯レコードは2023年のジャックドールの1分57秒4、阪神芝2000mのレコードはストロングタイタンの2018年鳴尾記念(GIII)の1分57秒2であった。彼はそれらのタイムを上回るタイムで走り切ったのであった。また、前年の桜花賞馬ステレンボッシュには先着した。
カラテの戦いはまだ続く。その後、エプソムカップ(GIII)に出走するが、特に見せ場なくかつて勝ったセイウンハーデスをはるか前に見る10着となった。
その後、小倉記念(GIII)に向けて調整が続けられていたが、屈腱炎を発症。オーナーから引退が発表された。その後、オーナーから東京競馬場の誘導馬になることが投稿されている
。
カラテはその後誘導馬としてのトレーニングを積み、2025年11月9日に誘導馬デビュー。
第1レースから後方誘導を開始したが、己の内なるカラテが疼くのか、時折目からセンコめいた光を放たんかのように興奮しかけたが、なんとか落ち着き誘導を完遂した。
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https://twitter.com/sanspoyosouou/status/1986960391327654257
また、かつてのバディであった菅原明良=サンとも再会。誘導馬デビューを労った。
重賞勝ちはGIIIを3勝のみで、善戦マンで止まっている状態であった。
しかし、オーナーのヒカル=サンが、父ユウイチ=サンから受け継いだチンメイ・ソウル――面白い名前でファンに楽しんでもらうという使命を、カラテは愚直に果たし続けている。
馬柱をみれば思わず吹き出す3文字の名前。ヒカル=サンは知ってか知らずか、ネット小説『ニンジャスレイヤー』を彷彿とさせるのも人気を呼んだ。そして、その名前がテレビに映り、実況で呼ばれる程度の強さを持ち、お茶の間を盛り上げる。勝負服こそ違えども、その生き様はオダギリ・スコードロンの伝統を体現したものだった。
誰が呼んだか「ノーカラテ、ノーケイバ」。これは『ニンジャスレイヤー』に引っかけたパロディ[3]というだけではなく、カラテはもはやマイルから中距離の重賞戦線で欠くべからざる存在となっていた。これからは、「緑、白玉霰、白袖赤二本輪」の勝負服と共に、「黄、赤星散、黄袖」の勝負服を背負った珍名馬たちが競馬界を盛り上げていくことだろう。
| トゥザグローリー 2007 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
| Miesque | |||
| *マンファス | *ラストタイクーン | ||
| Pilot Bird | |||
| トゥザヴィクトリー 1996 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
| Wishing Well | |||
| *フェアリードール | Nureyev | ||
| Dream Deal | |||
| レディーノパンチ 2006 栗毛 FNo.1-t |
*フレンチデピュティ 1995 栗毛 |
Deputy Minister | Vice Regent |
| Mint Copy | |||
| Mitterand | Hold Your Peace | ||
| Laredo Lass | |||
| レイサッシュ 1996 鹿毛 |
*パラダイスクリーク | Irish River | |
| North of Eden | |||
| ゴールデンサッシュ | *ディクタス | ||
| ダイナサッシュ |
クロス:Nureyev 4×5(9.38%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
祖母レイサッシュの子孫からの活躍馬はカラテが初めてだが、曾祖母ゴールデンサッシュまで遡るとご存知ステイゴールド=サンやショウナンパンドラ=サン、高祖母ダイナサッシュまで遡るとサッカーボーイ=サン、5代母ロイヤルサッシュまで遡るとスノードラゴン=サンが近親に現れるという、日本の代表的牝系に属していることがわかる。実際スゴイ。
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https://
小田切オーナーより。
今後は東京競馬場で誘導馬となる予定とのこと。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/10(水) 13:00
最終更新:2025/12/10(水) 13:00
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