バージェス動物群 単語

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バージェスドウブツグン

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バージェス動物群とは、バージェス岩(けつがん)の中から化石として発見された動物群である。いわゆる『カンブリ爆発』の後に発生した多様な生物群が含まれることで有名。

概要

アノマロカリスとバージェス動物群バージェス岩はカナダブリティッシュコロンビア州に存在する約5億0500万年前(カンブリア紀)の地層である。岩とは泥岩の一種で、薄く割れる性質を持った岩石。

5億3000万年前のカンブリ爆発では現生息する生物のほとんどの祖先が誕生したが、現在まで生き残らなかった種も多く存在した。バージェス動物群にはそのような多くの動物群が化石として保存されており、また通常化石として残らないような軟体部まで綺麗に保存されていることから、この時代の生物進化や多様性を考える上で非常に重要である。

他に同時期の動物群としては中国で発見された澄江動物群(チェンジャンどうぶつぐん、約5億2千万年前)が有名。

豆知識

と、まあバージェス動物群なんて言葉を知っていてこの記事にたどりつくような人なら概要に載っているくらいのことはすでにご存じだろう。ざっくりとまとめてしまうとこんなことである。

  1. バージェス岩ってものがあって、そこからカンブリア紀の生物化石が取れる。
  2. その化石は保存状態が良い、しかも軟体部の化石がとれる。
  3. 現代の生物とは異なる奇妙な形をもつ動物も含む多様な種類がみつかる。

というわけで、せっかくなのでいくつかの点に注して掘り下げてみることにしよう。

バージェス頁岩(けつがん)って何?

地学の授業や教育番組なんかでバージェス岩という言葉がでてきても何のことなのかピンと来ないと思う。バージェスというのはカナダロッキー山脈のなかにあるバージェス山という山の名前で、まあ地名だと思ってくれればおkバージェスでとれる岩だからバージェス岩、ね、簡単でしょう? では岩とは何のことだろうか?

答えを言うと、岩というのは海底で泥(16分の1ミリメートル以下の細かな粒子のこと)がに積もって固まってできる岩石の中で、ページ)のように薄くはがれる性質をもつ岩のことである。身近なところでは書道で使うすずりの材料として使われることもある。

岩のできるような細かい泥が積もる環境は、堆積する粒子が細かくて酸素を通しにくいので、埋まった生物死体は腐りにくいという性質を持っている。これが化石のできる環境に関係してくるのでちょっと覚えていてほしい。

ついでに言うと、この場所海底の中でも特殊な地形をしているところだった。どのような場所かというと、海底が崖のような形になっていて、洪水などで流されてきた泥が浅から一気に流れ込んで堆積するという特殊な場所で、これも化石の形成に重要なことなので心に留めておいてほしい。

なぜ保存のよい化石が残るのか?

前述のように、バージェス岩では軟体部を含む保存状態のよい化石がとれる。ではなぜ保存状態のよい化石が残っているのだろう?

ふつうの環境では生物死骸があっても、その死骸は死を食べる動物に荒らされ、やがて微生物により分解してしまう。(わかりやすく言うと腐る) すると、の殻などの分解の遅い部分をのぞいて死骸はなくなってしまう。恐竜化石はあっても恐竜軟体部(内臓)の化石がないのはこのためである。

ところが、この場所は海底が崖のような形になっていて、洪水などで流されてきた泥が浅から一気に流れ込んで堆積しているという特殊な環境である(大事なことなので2度言いました)。ここでさっきの「岩のできるような泥が堆積する環境では生物が腐りにくい」という性質を思い出してほしい。そう、この泥の中では生物軟体部は分解されないのである。

したがって、バージェス岩では普通は残らない軟体部を含んだ保存状態のよい化石が残っているのである。

なぜ多様な種類だとわかるのか?

現在と異なる多様な種類の化石が見つかったと一口にいっても、化石の中から生物を分類したり生態を考えたりできる特徴を発見するのは大変なことである。たとえ化石が見つかっても「なんだかよく分からないけど、とりあえず三葉虫化石だね」としか言えないないこともよくある。逆に言うと、バージェスの化石生物の特徴が観察できるような化石だったのである。

ご存じのように、バージェス動物群の化石は保存状態がいいのが売り。しかし保存状態がよい=分類学的特徴が見つけやすいというわけではない。なぜなら、化石は地層の中で上から押しつぶされていて生物が死んだ時の上側からしか観察できないことが多く、普通環境では死んだ時の上側は背中側に限られるからだ。

実は、バージェス動物群の化石は姿勢がバラバラで、背中、横などいろいろな方向からの観察ができるのである。これもバージェス動物群が化石化した環境している。

海底が崖のような形になっていて、洪水などで流されてきた泥が浅から一気に流れ込んで堆積しているという特殊な環境ということを思い出してほしい。もし洪水が起こったら浅に棲んでいる生物はどうなるだろう? そう、泥流に巻き込まれて海底まで流されてしまう。場合によっては生き埋めになってしまうだろう。運良く生き埋めにならなくても海底は浅べて酸素濃度が低いのであまり動けずに窒息してしまう。
そしてこうやって流されていくうちに姿勢が変えられてしまい、そのまま死んでしまったので化石になった後も姿勢がバラバラでいろいろな方向からの観察ができるようになったのである。

また、死ぬ前に生物は泥の中でもがくことになる、そうすると体内の消化器官などに泥が入り込むことになる。すると化石になる時に上から圧縮されても中の泥の分だけつぶれずに立体的な化石が残ることになる。このような化石解剖が可で、このこともどのような生物だったのかを調べることに一役買っている。

代表的な生物

※「カンブリアモンスター」の記事にさらに多数の生物一覧有り。

アノマロカリス
節足動物(?)
アノマロカリス
オパビニア
節足動物(?)
オパビニア
カナダスピス
節足動物
カナダスピス
マルレラ
節足動物
マルレラ
パラドキシデス
節足動物(三葉虫)
パラドキシデス
ハルキゲニア
動物
ハルキゲニア
アユシェアイア
動物
アユシェアイア
ピカイア
脊索動物
ピカイア
ウィワクシア
環形動物
ウィワクシア
オドントグリフス
軟体動物
オドントグリフス

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