ヒルデスハイムとは (ヒルデスハイムとは) [単語記事]

ヒルデスハイム（Hildesheim）とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。

CV.秋元羊介(石黒監督版OVA)、岡井カツノリ(Die Neue These)。

概要

ゴールデンバウム王朝末期の門閥貴族。爵位は伯爵。貴族連合の盟約に参加した大貴族。

連合軍内においてはシュターデン提督の指揮下の青年貴族のひとりとして配置されており、リップシュタット戦役の初戦アルテナ会戦に参戦し、青年貴族ゆえの性急な思考からミッターマイヤーの策にはまって内戦における最初の大貴族の戦死者として歴史に名を残した人物。

青年貴族の問題点

ヒルデスハイムに限った問題ではないが、当時の青年貴族の平均的特徴として「命令されることに慣れておらず、自我を抑えることが、不可能と言わぬまではも、はなはだ困難」という点があった。年長の貴族はそうでもなかったが、こちらはこちらで若者の先鋭さを煽動して自己に利しようとする者が多く、実質青年貴族の若さゆえの凶暴性は野放しにされているに近い状況であった。

そのため、当時の青年貴族の人生では障害らしい障害はすくなく、特権を持つ者が特権を持たぬ者に侮蔑するのは当然のことだし、たいていの願望は特権ゆえに努力なく叶うものと認識する傾向があり、リップシュタットにおいても「勝ちたいと思えば勝つもの」と非常に楽観的な見方をする者が圧倒的多数派であった。

そのためにミッターマイヤー艦隊の動きに罠の可能性を感じて、動かず様子見を決断したシュターデンの慎重な態度も、慎重というよりは臆病に感じ、その消極性を批判する者も少なくなかったのである。
アルテナ星域に両軍が布陣して三日後、シュターデン艦隊が敵軍の通信を傍受し、ラインハルト艦隊と合流して圧倒的多数でシュターデン艦隊を屠る予定であるとの情報を入手し、なおもシュターデンが罠と感じて警戒を厳重に指示されると青年貴族らの不満は爆発。
（なにひとつ具体的な説明ができないシュターデンにも非があるとはいえ）もはやシュターデンの態度は消極という言葉すら生ぬるく、優柔不断と称するべきであり、自分たちが決断を下すべきだと青年貴族らは衆議一致して出陣を要求し、断るようなら軟禁してでも強行すると圧力をかけたのである。
この圧力に屈してシュターデンは青年貴族の中で一番位の高いヒルデスハイム伯爵に右翼部隊の指揮を任せたが、ヒルデスハイムは敵を侮りきっていたために、あっさりとミッターマイヤー艦隊によって、自分も気づかぬうちに戦死することになったのであった。

各媒体での描写

シュターデン指揮下の青年貴族の代表的人物、当時の青年貴族のテンプレとして描かれる傾向が多い。

いっぽうでDie Neue Theseでは作戦会議におけるランズベルク伯アルフレットが「（帝都を占領する）別働隊の指揮官を是非私におまかせいただきたい！」発言により、他の貴族たちがその実施性の乏しい作戦の別働隊司令官の椅子を取り合う中、一人作戦指揮官のシュターデンに近づき、彼を歓待して初戦のアルテナ会戦に参加する権利をあっさりと勝ちとるなど、抜け目のない姿をみせた。
また戦死要因についても、ヒルデスハイムをはじめとする青年貴族の血気盛んさがためというより、ミッターマイヤーが艦隊制御の妙をもって機雷原の中を突っきるという奇想天外な艦隊行動で背後をとられたためになっており、貴族故の慢心、想像力の欠如が原因の死とは言えなくなっている。