オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク(Otto von Braunschweig)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物。
担当声優は小林修(石黒監督版OVA)、斉藤次郎(Die Neue These)。
ゴールデンバウム王朝末期の貴族。公爵。ブラウンシュヴァイク家最後の当主。
石黒監督版OVAでの座乗艦は<ベルリン>、「Die Neue These」では<アルヴィース>。
ブラウンシュヴァイク家は第35代皇帝オトフリート5世の治世に起きた跡目争いの際、のちの第36代皇帝となるフリードリヒ4世を支持。オットーは彼の娘を娶り、同じく外戚となったウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世と並んで貴族社会での地位を確立する。その過程で政敵であったクロプシュトック侯らは中央政界から排除され、ラインハルト台頭前後にはリッテンハイム侯爵家を除いてその家門と係累は比類ないほどの権勢を誇った。
帝国暦487年。フリードリヒ4世が崩御すると自身の娘であるエリザベートを帝位につけようと画策するが失敗。侯爵国務尚書クラウス・フォン・リヒテンラーデと伯爵元帥ラインハルト・フォン・ローエングラムにより、フリードリヒ4世の内孫であったエルウィン・ヨーゼフ2世が即位する。不満を抱いたオットーは侯爵ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世らとともに門閥貴族たちを糾合。リップシュタット貴族連合と称する反ローエングラム・リヒテンラーデ同盟を結成した。帝国暦488年4月、部下の暴走と言う形で全面戦争へと突入する。
ラインハルトらに首都オーディンを抑えられ出鼻こそくじかれるが、ガイエスブルク要塞への退避に成功。最終的に正規兵・私兵あわせて2,560万人もの兵力を動員することとなる。また、門閥貴族の大多数とメルカッツ上級大将、オフレッサー上級大将、シュターデン中将、ファーレンハイト中将ら帝国の名だたる名将を擁し、のちにラインハルトの岳父となるマリーンドルフ伯さえ参加を考えるほどの正当性・兵力を有した。しかし、能力に関係なく現場指揮官に貴族を配置したこと、本来政敵同士であるオットーとリッテンハイム侯との溝、さらに盟主であるオットーの狭量な将器とメルカッツを中心に当初から指揮統制能力を危ぶむ声もあった。
この不安は的中し緒戦のアルテナ会戦・レンテンベルク要塞攻防戦で惨敗、オフレッサー・シュターデンの両将は捕虜になってしまう。また、自領をラインハルト旗下のキルヒアイスに制圧されたリッテンハイム侯はオットーらの篭城策に反発。50,000隻の艦艇を率いてガイエスブルク要塞を出撃し、キルヒアイス艦隊とキフォイザー星域で決戦を挑むと言う独断行動を取る。結果はこちらも惨敗、リッテンハイム侯は退避したガルミッシュ要塞で味方兵士に殺害される醜態までさらし開戦からわずか3か月で半数近くの兵力を喪失する。
戦場はその後ガイエスブルク周辺へと移行。メルカッツの活躍もありいくばくかの局地的な勝利を得ることにも成功するが、逆に貴族らの増長を招き軍規は弛緩。メルカッツの統制が及ばなくなったところで罠にかけられ機動戦力の大半を失うと言う事態に陥り、事実上ガイエスブルク要塞は孤立化したのである。
これら相次ぐ敗北と軍事費調達を目的とした重税に平民たちも反乱を画策。ブラウンシュヴァイク家の自領であったヴェスターラントでは暴徒がオットーの甥であったシャイド男爵を殺害し制圧するという事件が発生する。激怒したオットーは熱核兵器による報復を指示し、200万人もの領民を虐殺。この一連の事件により民心は完全に貴族連合から離れ、他の大多数の貴族でさえオットーらを見限ることにつながる。
自暴自棄になったオットーは最期の戦力を結集し、艦隊決戦を決意。帝国暦488年8月、最期の戦いが行われる。当初は決死の覚悟で臨む貴族たちの士気の高さもあり互角にわたり合うも戦力の差は埋められず、時を置かずして総崩れとなり敗北は決定的となる。日頃の虐待から味方兵士も彼ら貴族に反旗を翻し、凄惨なリンチの末に大部分の艦は降伏した。
混乱の中でオットーは家臣であったアンスバッハ准将に「娘を差し出しラインハルトの帝位を後見する」ことを条件とした講和について諮問。可能性が皆無であることを諭され、逆に自決を強制された。死の直前、ラインハルトの暗殺をアンスバッハに懇願したことがのちにラインハルトにとって大きな災いをもたらすこととなる。
選民意識が服を着て歩いていると評されるがごとく傲慢かつ狭量な人物。無能な人物には容赦がない銀河英雄伝説でもその描写と結末は凄惨であり、読者人気も当然ながら良くない。加えて、彼が率いた門閥貴族連合は兵士への虐待・領民の虐殺・無能・反動と言った作中でも屈指の、ある意味地球教以上のブラック勢力であり、帝国内の公式文章では「賊軍」と称されているように当時からローエングラム王朝成立以後の歴史観に至るまで評価は芳しくないことがうかがえる。
ただし、機を見てフリードリヒ4世を擁立した点(もっとも、年齢的にオットーの前の当主が主導した可能性もあるが)や政敵の追い落とし、寄り合い所帯ながら不平貴族の糾合には成功しており貴族としてはそれなりの能力があったと思わせる事跡も存在する。これらを受けてか、家臣でありのちにラインハルトの部下となるシュトライト准将は「決して暗愚ではない」と評している。
時代的背景として、戦乱が始まるまでは決して当時の貴族たちの平均的思考・倫理観を脱する訳ではない点には留意する必要があるだろう。脅迫されて軍事部門の責任者とされたメルカッツは「精神面の病気であり時代の被害者」「100年前ならあれで通じた」と憐れみをもって接していた節もある。この辺は他の悪役たちとも共通する真理、銀英伝を通して語られる「それぞれの正義」の一種であると言えよう。
また、救いとは言い難いものの、ヴェスターラントの虐殺を政略上の理由で止めなかったラインハルトを憎み弑逆を図った当地の出身者は「ブラウンシュヴァイク公は無残な敗北によりその罪を贖ったのに、ラインハルトは償うどころか虐殺を忘れた大衆に持てはやされている」と心情を吐露しており、キルヒアイス殺害も含め、少なからずその行動がラインハルトの権勢に陰りを与えたことも事実である。
家臣とされている人物は准将・佐官であることが特徴。意外と副官として有能な人物も多く、彼らを使いこなせなかったことが敗北につながる。なお、ファーレンハイトは家臣ではなくあくまで盟友の一人である。
掲示板
119 ななしのよっしん
2024/04/02(火) 07:16:39 ID: B2GaOGmOYf
>>117
ヤンの場合だと批判的な読者からは「何故もっと食いさがて説得しないんだ」と言われていて逆なんだよな
ヤンも自覚している面もあってアムリッツア侵攻前のフォーク准将とのやりとりについては
「取っ組み合いになっても食い下がるべきだった もっとも実力行使したところで負けてたけど」みたいな後悔?してる
親父からは「諫言しても受け入れられないならそれが相手の器量なのだからやめとけ」という趣旨のことをいわれてて
能力的に出来ないことはしないという達観したやれやれ系主人公みたいだと最初に述べた批判的な読者から言及されてたか
120 ななしのよっしん
2024/04/02(火) 08:58:10 ID: B2GaOGmOYf
ヤン家の息子ウェンリーが親父タイロンから受けた訓示は
「利口は1回で、普通は2回で、阿呆でも3回言われたら考え直す。4回目は・・・」
フェルナーやシュトライトはむろんタイロンの言葉を知りようがないが4回もは言わなかったんだろうなと
121 ななしのよっしん
2024/09/01(日) 03:20:43 ID: /tiYLTT0pt
>>104
4年越しの亀レスだが、2024年になるまでの間に発生した歴史的事件や戦争見てると人間のリテラシーレベルなんぞ現実世界も銀英伝世界もぶっちゃけ大して変わらなくね?何なら銀英伝側の方が良くも悪くも誠実なところあるだろと思ってしまう
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最終更新:2024/12/21(土) 22:00
最終更新:2024/12/21(土) 21:00
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