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ファントムシーフ(Phantom Thief)とは、2020年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
父*ハービンジャー、母*ルパンⅡ、母父Medaglia d'Oroという血統。
……と書いても彼の血統の特徴は伝わらないので、まずはこの血統表をご覧いただきたい。
*ハービンジャー 2006 鹿毛 |
Dansili 1996 黒鹿毛 |
*デインヒル | Danzig |
Razyana | |||
Hasili | Kahyasi | ||
Kerali | |||
Penang Pearl 1996 鹿毛 |
Bering | Arctic Tern | |
Beaune | |||
Guapa | Shareef Dancer | ||
Sauceboat | |||
*ルパンII 2014 鹿毛 FNo.11 |
Medaglia d'Oro 1999 黒鹿毛 |
El Prado | Sadler's Wells |
Lady Capulet | |||
Cappucino Bay | Bailjumper | ||
Dubbed In | |||
Promising Lead 2004 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | |
Razyana | |||
Arrive | Kahyasi | ||
Kerali | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:*デインヒル 3×3(25.00%)、Hasili・Arrive 3×3(25.00%)、Northern Dancer 5×5×5×5(12.50%)
おわかりいただけただろうか。父父父と母母父が同じな上に父父母と母母母が全姉妹。見た目3×3が2つあるように見えるが、実質的にはDansiliの2×2[1]なのである。同期には父キタサンブラック、母父ディープインパクトでブラックタイド・ディープインパクトの全兄弟2×2であるワイズメアリーという牝馬がいるが、それに匹敵するかなりの危険な配合である。それも、全きょうだいクロスの2×2はまだ見かける部類だが、こういう形での変則的な実質2×2というのは非常に珍しい。
ちなみにNorthern Dancerは5代内では5×5×5×5だが、Hasili・Arrive姉妹の4代父とBeringの母父父にも入っているので、7代まで広げると5×7×6×5×5×5×7(15.63%)になる。
なお、生産牧場としては母系クロスとして、Hasili・Arrive姉妹の母Keraliの4×4が狙いだったらしい[2]。
父・母・母父についても改めて解説しておくと、父ハービンジャーは2010年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークスを大差勝ちしたことで知られるイギリスの優駿。サンデー薄め液種牡馬として日本に輸入され、ディアドラ、モズカッチャン、ペルシアンナイト、ノームコア、ブラストワンピース、ニシノデイジーなどを輩出している。
母ルパンⅡはイギリスで2戦0勝の輸入繁殖牝馬。2012年産の同名の牡馬がいたため、「ルパンⅡ」と表記される。2017年12月のタタソールズ繁殖牝馬セールで谷川牧場に落札された。
母父メダグリアドーロはアメリカでGⅠを3勝。種牡馬としてもレイチェルアレクサンドラやソングバード、ゴールデンシックスティなどを輩出している。
というわけで、同じハービンジャー産駒のペルシアンナイト(母父サンデーサイレンス)やブラストワンピース(母父キングカメハメハ、母母父父サンデーサイレンス)と違い、マル外でもないのに日本の主流血統が全く入っていないのが彼の大きな特徴である。
2020年2月22日、浦河町の谷川牧場(主な生産馬にチョウカイキャロル、サクセスブロッケン、ニシノデイジーなど)で誕生。
オーナーは一口馬主クラブのターフ・スポート。募集価格は2.5万円×1000口(=2500万円)であった。
馬名意味は「怪盗。母名より連想」。スマートフォンリズムゲームアプリ「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の収録曲で、ハロー、ハッピーワールド!の「ゴーカ! ごーかい!? ファントムシーフ!」は恐らく関係ないと思う[3]が、UMAJINは1戦目・2戦目
の各前日にTwitterでネタにしていた。ちなみに同バンドのメンバーの1人である瀬田薫の担当声優はウマ娘のシンボリルドルフ役と同じである。
ファストフォースやオーヴェルニュが所属する栗東・西村真幸厩舎に入厩。
デビューは2022年6月18日、阪神・芝1600mの新馬戦。和田竜二を鞍上に3.2倍の1番人気に支持される。2~3番手につけて4コーナーを過ぎて抜け出し、2着に1と4分の1馬身差つけて勝利する。
2戦目はの野路菊ステークス(OP、中京・芝2000m)。福永祐一を迎えたここは3.7倍の2番人気だったが、前目につけて、逃げたアリスヴェリテを捕まえて2馬身突き放して2連勝。
3戦目はホープフルステークス(GI、中山芝2000m)。引き続き福永とともに、混戦ムードの中5.1倍の2番人気に支持された。最内の1枠1番からスタートでやや遅れて前目の好位を取れず、7番手付近の内につけてレースを進めたが、直線でも進路の確保に手間取って脚を余し、逃げるトップナイフとそれに追随するドゥラエレーデを捕まえられず、後ろから追い込んだキングズレインにもかわされて4着に敗れた。
4戦目、3歳初戦は共同通信杯(GIII、東京芝1800m)。鞍上はクリストフ・ルメールに乗り替わり、ダノンザタイガー・タスティエーラと人気を分け合って4.1倍の3番人気。
逃げると目されたタッチウッドが出遅れたため最初はハナを主張するが、上がってきたタッチウッドを先に行かせて2番手追走を選択。4コーナーを過ぎ直線残り100mでかわすと、ダノンザタイガーらの追撃を寄せ付けずそのまま1と4分の1馬身差つけて勝利。重賞初制覇を飾り、クラシックへ弾みをつけた。
余談だが、当レースと同日(2月12日)に行われた「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」では、同ライブ開催前から、楽曲「MOON NIGHTのせいにして」を披露すると予想されていた(実際に本番でも披露された)が、同曲の歌詞に“秘密のファントムシーフ”というフレーズがあったため、サイン馬券だと言われた。
次走は引き続きルメールとともに皐月賞(GI)に挑む。予想オッズではソールオリエンス、フリームファクシら重賞馬と人気を分け合い、リバティアイランド一強ムードの牝馬クラシックとは真逆の群雄割拠の形相を現している。中団から差し切りを図るもタスティエーラに届かず、後ろからソールオリエンスにぶち抜かれる3着。
ともあれこれで東京優駿(GI)の優先出走権をとったので、そこへ向かったが、あまり見せ場はなく先ほどの1着2着を前で眺めるだけの8着。
秋初戦は神戸新聞杯(GII)。ここではまさかの逃げの一手を打つ。最終直線で突き放しにかかるもサヴォーナに抜かれ、まとめてサトノグランツにも差し切られてしまう。それでもロードデルレイをアタマ差しのぎ3着を確保。菊花賞(GI)の優先出走権を確保した。なお、従来の阪神競馬場芝2400mのレコードタイムは2分24秒1で、8着のマイネルラウレアがこのレコードとタイの記録。当然彼自身もレコードを上回る力走を見せたが、それでも3着というのが、このレースのハイスピードさを物語っている。そしてその菊花賞は9着となった。
4歳初戦は都大路ステークス(L)を予定していたが、屈腱炎を発症して回避となった。噂によれば損傷率30%とのことで、それが正しいなら走れるようになるとしても治療にかなり時間を要すること、最悪競走能力喪失の診断が出る可能性すら否定できないため、動向に余断を許さないこととなった。
ハービンジャーの後継には需要がないのか、ペルシアンナイトもブラストワンピースもGⅠを勝ったのに種牡馬になれないという扱いを受ける中、ファントムシーフはSSもキンカメも持たないという、先輩たちにはない種牡馬としての大きな強みを持っている。父のサイアーラインをつなげられるかは、このファントムシーフにかかっているかもしれない。
余談だが、担当調教助手の山田氏によればバンデージ[4]を装着する際、なぜか馬っ気を出すそうな。キュッと締め付けられる感触がたまらないのだろうか?[5]
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最終更新:2025/03/24(月) 04:00
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