フランクフルト学派とは、大体1930年代以降フランクフルト大学の社会研究所によって活躍した研究者達のことである。
フランクフルト学派は俗に『自由左翼』や『批判的左翼』とも呼ばれるように、独自のマルクス主義的近代文明批判をその特徴としている。研究所自体はナチスによって閉鎖されるが、機関誌の『社会研究』は亡命中もフランスやアメリカで10年余り発行が続いた。この亡命中の機関誌で活躍した人物達はフランクフルト学派の第一世代とされ、戦後復興した研究所で活動した学者は第二世代と呼ばれる。
フランクフルト学派に共通する特徴として、以下のものがある。
フランクフルト学派は60年代に、管理社会の中で疎外された人々の状況への批判者として一躍国際的脚光を浴びた。フランクフルト学派によれば、近代技術的合理性は全ての人間に対して中立的なものではなく、それは本質的に支配と結びついている。技術的合理性の特性は、第一に自然に対する支配であり、第二に人間に対する支配である。「知は力なり」をキャッチフレーズに自然を支配し続けた近代文明は、人間の中にある自然(生理的欲求)の抑圧と、人間の社会的支配という二重の代償を人類に求めた。現代社会における社会的支配の根幹は実は近代技術の自然支配という合理主義にあるのだ。
フランクフルト学派第一世代ではフリードリヒ・ポロック、フランツ・レオポルト・ノイマン、オットー・キルヒハイマー、レオ・レェーベンタールなどが経済、政治、法、文学など多方面に渡って才能を発揮した。
他にも有名なのは、『自由からの逃走』を書いたエリヒ・フロム。中国社会論で名を馳せたカール・ウィットフォーゲル。さらにフランクフルト学派の代名詞となった「批判理論」を提唱したマックス・ホルクハイマーと、彼と共同で『啓蒙の弁証法』を著した、テオドール・W・アドルノを紹介しておかなければならない。
ホルクハイマーが提唱した批判理論とはマルクスが著作『経済学批判』での資本主義社会と、当時支配的であった近代経済学への批判を受け継いで、時代への危機意識の高めた社会批判的な理論の総称ことである。彼らはマルクスが批判した経済だけでなく、文化、心理、国家、家族などを包括的に理論に取り入れた。この理論にはドイツのマルクス学者であるジェルジ・ルカーチ(この人はフランクフルト学派でない)の影響が幾分か見られる。
詳しくはこちら→『伝統理論と批判理論』
マルクス主義的芸術評論家テオドール・W・アドルノは社会における芸術の特殊性に注目し、哲学と芸術を結びつけた社会批判を展開した。ホルクハイマーとアドルノは2人で西洋マルクス主義の代表的な論文となる『啓蒙の弁証法』を書き上げる。
詳しくはこちら→『啓蒙の弁証法』
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最終更新:2024/04/25(木) 10:00
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