山の○○(箱根駅伝)とは、箱根駅伝の一部の5区ランナーにつけられる通称である。
箱根駅伝の往路5区は800m以上の高低差のある箱根山を20km以上、1時間以上にわたって登る非常に厳しい区間である。ここを記録級の好タイムで走破するなど、印象に残る走りを見せた選手は「山の神」と呼ばれている。
これに加えて、2020年代半ばごろから「山の○○」というように派生パターンが生まれてきている。当記事ではこのような「山の○○」を列挙する。
ただ「山の神」にははっきりとした基準があるわけではなく、後述する「山の○○」にも特に決まった条件があるわけではない。あくまで周囲からの通称に留まるものである。ちなみに「山の○○」にバリエーションがあることを指して「山の多様性
」と呼ぶ向きもある。
「山の○○」に派生する前から存在した言葉。2025年初めの時点では、以下の3人を指すことが多い(大学名は当時在籍時、年号は5区を走った年。以下も同様)。
初代山の神の今井は2005年に1:09:12という、5区では初[1]の9分台への突入とこれまでの区間新記録を達成。この結果、2005年の順天堂大学は山登りの5区だけで11人を抜いて15位から4位に浮上した(復路を含めた総合では5位)。
翌年から5区スタートの小田原中継所の位置が「鈴廣かまぼこ前(風祭)」から「旧メガネスーパー本社前(本町)」に変わり、5区が2.5kmほど延長された。そこでの今井は2006年に1:18:12、2007年に1:18:05というタイムをそれぞれ残している。時間は距離に応じて長くなったものの、どちらもごぼう抜きして往路優勝を達成した(2006年は復路8区で失速し総合4位に終わるが、2007年は総合優勝を成し遂げた)。そして2007年には放送での実況で河村亮アナウンサーが往路ゴールで「今、山の神、ここに降臨!」と発言し、ここから「山の神」という名前が広まっていった。
これを更新したのが2009年の柏原でタイムは1:17:18。当初は「山の神童」と呼ばれたが、続く2年では1時間17分台を続けて記録、最後の2012年には1:16:39をマークし、東洋大学の総合優勝に何度も貢献したことで彼も「山の神」と呼ばれるようになった。詳しくは「柏原竜二」の記事を参照。
2014年には若干のコース変更[2]があったものの、神野がさらに更新する1:16:15で、5区2位スタートにもかかわらず2位の明治大学に5分ほどの差をつけて走破し、青山学院大学の初優勝に貢献した。翌2015年は1:19:17と前年ほどではないが快走して区間2位となっている。これ以降、青山学院大学は箱根駅伝における黄金時代を迎えた。ちなみに、名前から「山の神野」と呼ばれることもあったようだ。
そして2017年にはコースが短縮され、小田原中継所が再び鈴廣かまぼこ前に戻り、2005年以前の距離に近い[3]ものとなった。
その後、2025年には青山学院大学の若林宏樹が1:09:11の変更後の区間新記録を達成。これは今井の記録を超えているが、一方で神野の記録を現コースに換算した「事実上の区間記録(1:08:54)」には届いていないという声もあり、本人も山の神について「8分台を出せたら名乗れたかな
」としている。ただ、「山の神を名乗ってもいいのでは」ともSNSでは言われているほか、名前から「若の神」とも一部で呼ばれている。
今井以前にも山登りの5区で圧倒的な成績を残した選手はいた。その元祖とも言えるのは大東文化大学の大久保初男で、1974年の第50回大会から4年連続で区間賞を獲得(内51・53回は区間新)し、「山の大東大」の先駆けとなった。80年代は順天堂大の上田誠仁(55~57回)、早稲田大学の金哲彦(当時は木下、59~62回)、90年代は大東大の奈良修(66~68回)が活躍している。
2005年以前の距離に近い2017年以降の区間賞(区間1位)は、1時間10分~12分程度で推移していた。特に2023年には城西大学の山本唯翔が1:10:04で区間新記録を達成し、さらに翌2024年には1:09:14を記録し、今井に迫る記録となった。
彼は「山の神」ではなく「山の妖精」と呼ばれている。埼玉県坂戸市の城西大学付近で、日が沈んだ暗い中で練習しているときに山の中を白い帽子で軽快に走っている様子から「妖精」と呼ばれるようになったらしく、レース途中でも監督から「山の妖精になろうぜ!」と言われていたようだ。
2024年の山本、2025年の若林の区間新記録達成と同じ時に、早稲田大学の工藤慎作が5区を走り、「山の名探偵」と呼ばれている。2024年では1:12:12で区間6位と健闘し、2025年には1:09:31という好タイムを残している。
彼は苗字が「工藤」であり、眼鏡をかけたまま走った上に登り区間で強かったことから入部当初から「山の名探偵」と呼ばれていたようだ。さらに早稲田大学が長年抱えている「山の問題(山での失速)」を解決してほしいという監督の思いもあり、本人も「山の名探偵」を自称し、2025年には「真実はいつもひとつ!」のポーズで往路ゴールに入っている。
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最終更新:2025/12/06(土) 17:00
最終更新:2025/12/06(土) 17:00
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