川崎市登戸児童連続殺傷事件とは (カワサキシノボリトジドウレンゾクサッショウジケンとは) [単語記事]

川崎市登戸児童連続殺傷事件とは、2019年 5月28日に発生した児童無差別殺傷事件である。

概要

事件の概況

2019年 5月28日午前7時45分ごろ、川崎市多摩区登戸新町にある川崎市バス「登戸駅入口」停留所～ファミリーマート登戸新町店間の路上にて発生。バス停はJR南武線、小田急小田原線登戸駅からは約400mの場所にある。スクールバスを待っていたカリタス学園の小学生と30代～40代の男女らが突如、両手に刃物を持った51歳の男性に次々に襲われた。

この事件で小学生児童と30代の男性、40代の女性ら計19人がけがをし、うち3人が心肺停止、重軽傷が16人となった。犯人の男は襲撃後に自ら首を刺して自殺を図り、意識不明の重体のまま警察に確保された。

その後、小学生の女の子1人と30代の男性が死亡、自殺を図った犯人も搬送先の病院で死亡が確認された。^[1]^[2]

警察による現場検証では、犯人が所持していたリュックサックからは包丁2本が入っていたことが分かり、計4本所持していたことが判明した。

また、川崎市消防局や搬送先の病院によると、死亡した30代の男性は児童の保護者で、児童を守ろうとして背後から襲われた可能性があるしている。また、切り付けられた17人の傷は上半身に集中していた。^[3]

さらにこの男性は、外務省職員でミャンマー担当の外交官であったことが判明し、当時の外務大臣で男性と縁のあった岸田文雄氏が哀悼の意を述べている。^[4]

犯行の状況

川崎市麻生区に住んでいた犯人は、まず小田急電鉄の読売ランド前駅から電車に移動し登戸駅で下車。そして、手袋をはめた両手に包丁を持ってファミリーマート横の路地からバス停の方へ進み、交差点に立っていた30代の男性に無言で近づいて背後から襲撃。続いてすぐそばにいた40代の女性を襲撃。そのまま小走りでバス停の方へ進み、スクールバスを待っていた児童らに近づいて包丁を振り回した。この間の数十秒の犯行であった。

これを見たスクールバスの運転手が「何やってんだ!」と叫ぶと、川崎市バスの停留所に向かい自ら首を刺して自殺を図った。

また目撃者の話によると、児童らを襲う前に「ぶっ殺してやる」と叫んでいた情報もある。^[5]^[6]

事件を受けての各方面の対応

事件を受けて安倍総理は、閣僚会議を開き、子供たちの登下校時の安全確保について早急に対策するよう指示した。

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 https://twitter.com/AbeShinzo/status/1133258679057207296

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 https://twitter.com/kantei/status/1133532744577798144

また、カリタス学園は28日に臨時保護者説明会を開き、1日まで小学校、幼稚園を臨時休校とした。中学校、高校については29日まで休校としている。また、6月に予定されていた6年生の宿泊行事も中止とした。さらに教員による見守り体制を強化し、警備員の増員手配も行った。^[7]その後、緊急記者会見も行っている。(下記生放送参照)

また、模倣犯と思われる人物が、インターネット掲示板上で「本日多摩警察署とカリタス学園の周辺で、警察官と児童と周辺住民10人以上めったざしにします」と書き込んで殺害予告をし、関係機関が警戒を強めている。^[8]

犯人について

自殺した犯人は岩崎隆一、51歳。20年近く引きこもりの状態にあったとされる。

事件後に開かれた川崎市の記者会見によると、犯人は川崎市麻生区の住宅でおじとおばの3人で暮らしていて、2017年 11月～2019年 1月にかけて犯人の親族から、面談8回、電話相談6回を受けていたことを明かした。

相談内容は、同居していたおじやおばが高齢となり、今後、介護ヘルパーを導入するにあたってのもので、岩崎容疑者と親族の間でほとんどコミュニケーションがなかったため、外部のヘルパーが家の中に入ったときの対応などについて助言していた。ちなみにこの相談に犯人は関わることはなかったと会見で話している。

また、犯人についておじやおばから「あまり刺激したくない」という意向が市側に示されていたため、川崎市は自宅ではなく麻生区役所の会議室や電話を使って相談を受けていた。そして、家族の状況を確認したうえで、去年６月から岩崎容疑者のおじやおばに対する訪問の介護サービスを開始したと会見で話している。

さらに犯人について長期間、仕事に就かず、ひきこもり傾向にあると聞かされていたことを明らかにしている。犯人はおじとおばと同居していたものの、ほとんど会話がなかったため、今年1月におじやおばは容疑者の気持ちを確認するため、手紙を書いて渡した。すると、「自分のことは自分でやっている。食事、洗濯を自分でやっているのにひきこもりとは何だ」などとおばに話している。その後、親族から(犯人について)しばらく様子を見るつもりだと川崎市に連絡し、その意向をくみ取って川崎市は様子を見たと会見で話している。^[9]