桂ァ!今何キロ!?とは、大空への夢を抱き続けた男の最後の言葉である。
鳥人間コンテスト選手権大会2011の人力プロペラ機ディスタンス部の優勝チーム「Windnauts(東北大学)」のパイロット、中村拓磨は滑空直後からアクシデントに見舞われた。GPS信号が途絶え、仲間との無線も不通になり、風を拾うこともできず、ただただエンジンが一流のところを魅せつけることしか出来なくなった中村拓磨はわずか3km地点で信じられないことにフルパワーになっていた。
序盤からのフルパワーが影響したか、90分のフライトの末に左足は痙攣を起こし、中村の体はもう限界を超えていた。ただただ気力のみで必死にペダルを漕ぎ続けたが、もう彼には飛ぶ力など残っていなかった。
彼は信頼しているチームメイトへ、ひとつだけ、たったひとつだけ確認しておきたいことがあった。
「桂ァ!今何キロ!?」
\ドボォオ/
彼は琵琶湖の水面へと激突し、Windnauts部員全員と地元宮城の人々の魂の篭った機体は大破した・・・。
桂の最後の言葉を聞くことなく墜落してしまったが、チームはこの年の人力プロペラ機ディスタンス部で見事優勝を果たした。
通信手段が断たれた当時の状況で孤軍奮闘した中村による競技終了前最後の会話は、歴代大会でも屈指の名シーンとして知られている…のだが、何とも中二病漂う会話が視聴者に刺さり、MADの新たな題材になるなど反応は様々であった。
なお中村本人は現在エンジニアとして活動中。二児の父であり、将来は宇宙飛行士を目指し研鑽に励んでいるとのこと。
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最終更新:2024/10/07(月) 23:00
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