遊郭とは (ユウカクとは) [単語記事]

遊廓とは、遊女を抱えて客を遊ばせる家である遊女屋を集めた区画を指す。

概要

私娼ではなく公娼の物を指す。私娼の場合色町とか茶屋、遊里、花街といい厳密には異なる。

安土桃山時代からあったとされ、町の一角に公娼を集め、遊女屋をやらせたことから始まる。一角にまとめたのは、野放図に売春をやらせないためであるという。江戸時代には京都の島原、大阪の新町、江戸の吉原が三大遊郭として発展したが、いずれも高い柵を囲み郊外に設けられた。

遊女の上級なものは花魁といわれ、一般的にイメージされる売春婦ではなく高い教養を持ち、そう簡単にはやらせてくれなかったと言われる。更に太夫と呼ばれるクラスになると読み書きそろばんは言うに及ばず、三味線、琴、舞踊に詩歌、古典、和歌に俳句などの心得がないと務まらなかった。今で言えば銀座や北新地の高級クラブのママさんぐらいの素養（顧客が大企業社長などVIP クラスが多く、毎日、日経など各社新聞を渉猟しているという話である）が求められたとされる。

現代の頭の悪そうな女がガールズバーや祭りなどで花魁風といってはだけた浴衣や和服を着ることがあるが、あんなのとは格が違うのである。

今でも大阪の飛田新地などに現存する。また、金沢や京都、一部の温泉街などでは、遊郭で流行ったお座敷遊びを今も伝統芸能として継承している場所もある。

遊郭が登場する創作作品

江戸時代を舞台とした作品などでは身近な存在であり、男女のいざこざもあって物語としても映えるためによく登場する。落語でも「明烏」「三枚起請」など遊郭を題材にしたものは多い。

花魁に入れ込み過ぎて身を滅ぼす男や、見受けの話を信じていたのに裏切られた花魁の物語などは非常に多い。1987年の『吉原炎上』などは大きな話題を呼んだ。

一方で、近年では前時代的な女性蔑視の象徴として非難の対象とされることもあり、その描写が問題視される場合もある。ただ、そういう意見は大方私娼レベルの飯盛旅籠や赤線地帯あたりと十把一絡げに混同していることも少なくないし、そもそも明治、大正時代というのは軍国主義の中で国家が動いている（近代文学を読めば、そのバックボーンがわかってくる）ため、現在との価値観のギャップは仕方ないのである。