駒姫

駒姫（こまひめ、天正4年‐文禄4年/1581-1595）は、戦国時代の大名・最上義光の娘。豊臣秀次の側室。伊達政宗のいとこにあたる。

非業の死を遂げたことで知られる。

※以下、登場する日付は全て旧暦である。

駒姫の生涯

最上義光と、その正室・大崎夫人の次女として生まれる。別名、伊万（いま）。駒と言う名前は御駒山から。

夫妻の溺愛を受けて育った駒姫は、成長すると「東国一」と呼ばれるほどの美貌で有名になる。しかしこの噂を聞きつけたのが、女性関係が派手だった時の関白・豊臣秀次である。関白の求めを断るわけもいかず、義光は駒姫が15歳（数え年）になったら側室にするという約束をすることになる。

文禄四年（1595）、側室になるべく上洛した駒姫は京の最上屋敷に到着する。しかしそんな駒姫を恐るべき事件が襲った。7月15日、その豊臣秀次が謀反のかどで切腹したのである。

秀次事件と処刑

秀吉は秀次だけでなく、その妻子までも処刑することを命じた。当時としても女性や子供まで処刑に連座させるのは前代未聞であったが、その中にまだ実質的に秀次の側室になっていなかった駒姫の名もあった。さすがに諸大名もこれを哀れに思い、徳川家康、前田利家ら有力な大名が駒姫の助命嘆願を行ったが、結局処刑は行われた（秀吉は淀殿の助命嘆願もあったことから駒姫の処刑を翻意し、助けようとしたが連絡が間に合わなかったという説もある）。

7月20日、秀吉は諸大名に対し、拾君（のちの豊臣秀頼）への忠誠を誓う血判状を書かせる。駒姫の父・義光もこれに花押血判を捺している（血判状は現存）。

8月1日、秀次の妻子らに翌日処刑の通達が送られる。

8月2日未明、三条河原で処刑は実行された。駒姫は11番目に引き出され、従容として死んで行ったという。享年15。

辞世は

罪をきる　阿弥陀の剣にかかる身の　なにか五つの　障りあるべき

遺体は三条河原にあらかじめ掘られていた穴に他の死体共々放り込まれた。その上には秀次の首塚が作られ、「秀次悪逆」の文字が彫られた石碑が置かれた。人々はこれを「悪逆塚」「畜生塚」と呼んだ。
その日、秀次の妻子・乳母ら39名が処刑された。父・義光は遺体の返還を求めたが、かなわなかった。

その後

義光夫妻の悲嘆は激しいものだったが、悲劇はこれだけでは終わらず、生母･大崎夫人は8月16日に謎の死を遂げている。死因は現在でも不明だが、娘のあとを追って自害したという説が有力である。

翌年、義光は（現在で言う天童市に建立されていた）専称寺を山形へ移築。駒姫と大崎夫人の菩提寺とした。寺には駒姫が使用していた部屋が移築されている。

この件だけが原因ではなかっただろうが、以後義光は徳川家康に心を寄せるようになり、後年行われた慶長出羽合戦でも徳川方に与している。

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関連項目

• 最上義光
• 大崎夫人
• 豊臣秀次
• 豊臣秀吉
• 伊達政宗
• 秀次事件
• 戦国時代の人物の一覧