M70とは、以下のことを指す。
M1873をはじめとするレバーアクション式のライフル(ウィンチェスターライフル)と並んでウィンチェスター・リピーティングアームズを代表する銃である。1936年に発売された。
見た目こそ普通のボルトアクションライフルであるが、比較的安価で非常に高い命中精度と信頼性を誇り、そのデザインは改良の余地がないほど完成されていたとまで言われるほどの名銃。様々な口径のモデルが作られ、対応弾薬の種類は数十種類にも上る。
もともとは狩猟用に開発されたもので、発売当初から好評の銃であった。
しかし、ベトナム戦争初期の頃、スプリングフィールドM14を改良したM21を採用していた米海兵隊狙撃チームに採用され、軍の採用という名誉と大口契約を得たM70だが、これが仇となってにユーザーから見放されることとなってしまう。
ウィンチェスターは米軍や民間ユーザー(米軍制式採用銃ともなれば、民間ユーザーも欲しがるものである)の需要を満たすため、なんとレミントンやスプリングフィールドにまで製造ラインを設け、M70の大量生産を行ってしまったのである。
当然、出来上がる銃の精度は低下した。
命中精度こそが命である狙撃銃にとってこれは致命的なことであり、売れなくなった粗悪なM70を大量に抱えて、ウィンチェスターはどん底に突き落とされた。
そこへやってきたのが、M70の製造技術を学んだレミントンが開発したM700である。米軍はもとより民間ユーザーもこぞってM700へ乗り換え、M70は弟子とも言えるM700によって止めを刺されることとなった。
M700はウィンチェスターと同じ轍を踏まぬよう、それぞれのオーダーに見合った品質で生産をすることによって顧客の満足度を維持し、その後も狩猟用、競技用ライフルとしてはもとより、M40、M24、XM2010と姿を変えて今なお米軍に制式採用され続けるほどの名銃となった。
そして、ウィンチェスターはM70以後軍制式の名誉を射止めることもなく凋落し、銃の製造を引き継いだU.S.リピーティングアームズも2006年に工場を閉鎖。現在は弾薬の製造を行うのみとなっているらしい。[1]
M70はまさに『悲劇の名銃』となってしまったのである。
M70において「Pre'64」という言葉がひとつのキーワードとなっている。
これは、「1964年以前のモデル」という意味。そう、ウィンチェスターが過ちを犯す前の、まだ優秀な精度を誇っていた頃のM70である。
シリアルナンバー700,000以下のものがPre'64に該当するらしく、貴重なアイテムとして高値で取引されている。
「Winchester」と検索してウィンチェスター・リピーティングアームズのHPへ行ってみよう。
きちんと「Model 70」の項目がある。
1992年、実に30年の月日を経て、ウィンチェスターは最先端技術CNCマシンの活躍もあってPre'64の精度を取り戻すことに成功し、「M70 Classic」としてM70を復活させた。
かつての名銃M70は、再びボルトアクションライフルの世界に返り咲いたのである。イイハナシダナー
そして上述の通り工場は閉鎖された。イイハナシダッタノニナー
しかしM70は完全に消えてしまったわけではない。
現在ウィンチェスター社はハースタル・グループの傘下にあり、P90等で有名なベルギーのFNハースタル社が生産しているFN SPRという銃はM70をベースに開発されている。
K.T.W社がM70のエアコッキングガンを販売しているが、そのうちのひとつ「M70ブラックシャドウ」はこのSPRをモチーフにしている。
1964年の大きな過ちこそあれ、M70はM700やSPRの生みの親とも言える存在であり、その血は絶えることなく受け継がれている。ボルトアクションライフルの世界においてM70は非常に大きな存在であったと言えるだろう。
M70の使い手として、非常に有名な人物がいる。
カルロス・ハスコック(1942~1999)である。
詳細は当該記事がある為ここでは語らないが、ハスコックの任務のほとんどにこのM70(.30-06モデルとされる。M1ガーランドと同じ弾)が追随した。
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最終更新:2024/04/20(土) 12:00
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