ウシュバテソーロ 単語


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ウシュバテソーロ

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ウシュバテソーロとは、2017年生まれの競走馬である。鹿毛の牡馬。

主な勝ち鞍
2022年: 東京大賞典(GⅠ)
2023年: 川崎記念(JpnⅠ)ドバイワールドカップ(UAEG1)東京大賞典(GⅠ)日本テレビ盃(JpnⅡ)

概要

ウシュバテソーロ
Ushba Tesoro
生年月日 2017年3月4日
馬種 サラブレッド
性・毛色 牡・鹿
生産国 日本JPN
生産者 千代田牧場
(北海道新ひだか町)
馬主 了徳寺健二ホールディングス(株)
調教師 高木登 (美浦)
馬名意味 山の名+冠名
初出走 2019年8月25日
戦績 32戦11勝[11-1-5-15]
獲得賞金 13億8139万9800円
(2023年12月現在)
受賞歴
JRA賞
特別賞 (2023)
NARグランプリ
DG競走特別賞 (2023)
競走馬テンプレート

父オルフェーヴル、母ミルフィアタッチ、母の父キングカメハメハという血統。
父は「金色の暴君」といわれた三冠馬。種牡馬としてもラッキーライラックやエポカドーロなどの活躍馬を輩出しているが、BCディスタフを勝ったマルシュロレーヌなど特にダートでの産駒の活躍が目覚ましい。
母は中央で3勝を挙げており兄に重賞馬ボールドブライアンがいる。
母の父は日本初のNHKマイルカップ→日本ダービーの変則二冠を達成した馬で、輝かしい競走実績以上にリーディングサイアーに二度輝いた素晴らしい種牡馬成績を誇った。

2017年3月4日、新ひだか町の千代田牧場(主な生産馬にニッポーテイオー、ホエールキャプチャなど)で誕生。2017年のセレクトセールにて2500万円(税抜)で落札された(下記動画の一番最初)。

オーナーは「テソーロ」冠名を用いる了徳寺健二ホールディングス(株)。了徳寺健二氏は柔道整復師を経て接骨院経営者となり、現在は学校法人了徳寺大学学長を務める。2015年から馬主を始めており、本馬の前にはリエノテソーロで全日本2歳優駿を制している。2018年には北海道に自らの牧場「リョーケンファーム」を設立し、オーナーブリーダーとなった。リョーケンファーム生産馬からもウィルソンテソーロが出ている。
なお冠名「テソーロ」はスペイン語で「宝物」のこと。

所属は美浦の高木登厩舎。同厩にはニシノデイジーなどがいる。
緑、黄襷一本輪の勝負服と黄色のメンコが目印。

馬名の由来は「山の名+冠名」。ジョージア(グルジア)にそびえるウシュバ山が由来と思われる。ドバイワールドカップを制した際、駐日ジョージア大使(当時)のティムラズ・レジャバ閣下がこの点に絡めた祝福のツイートを寄せている。

お宝求めて怪峰へ

2歳~4歳

2019年8月25日、新潟競馬場の芝1800mの2歳新馬で大野拓弥騎手を背にデビューして5番人気5着。3戦目からは江田照男騎手に乗り替わりとなった。

その後も勝ち味に遅く、3歳になった2020年は年明けから3戦連続3着を経て、皐月賞もとうに終わってしまった4月26日、7戦目の東京競馬場芝2400mの未勝利戦を差し切ってようやく初勝利を挙げる。
クラシック戦線へ一縷の望みをかけて出走した東京優駿トライアルのプリンシパルステークスを4着に善戦したが、優先出走権内には遠かった。
その後は自己条件に戻るものの3歳の間は1勝クラスを4戦して勝利どころか一度も馬券に絡めず、9月のレースを最後に長めの休養に入る。

明けて4歳の2021年、3月に半年ぶりの復帰戦で13番人気ながら2着に好走。次戦も3着と成長を見せ、3戦目の新潟芝2200mの1勝クラスを大外から突き抜けて勝ち抜け。
また5ヶ月休み、秋の2勝クラスは6着→4着としたあと11月の福島・三陸特別(芝2600m)を勝ち抜け。
3勝クラスでは年末のグレイトフルS(中山・芝2500m)を4着として4歳を終える。

5歳

明けて5歳も引き続き3勝クラスに挑むが、3戦して5着→11着→6着と壁に突き当たる。

芝ではここで頭打ちかと思ったのか、陣営は4月30日の4戦目に初ダートの横浜ステークス(東京・ダート2100m)を選択。鞍上は前走から続いて横山和生となった。当日の人気は14頭中7番人気。
最後方付近から競馬を進め直線に入っても最後方だったが、直線外に持ち出すと、すさまじい脚で一気に前に迫り、坂を上ったあたりで先頭に立つ。なお飽き足らずに後続を引き離し、最後は2着のペプチドナイルに4馬身差をつける圧勝でオープン入りを果たした。この時の上がり3ハロンは2位に1秒半差をつける34.0秒。芝のレースと言われたら信じてしまうであろう破格のタイムであった。
ちなみに同日の3勝クラスで同じオルフェーヴル産駒のキムケンドリームが3勝クラスを勝利、翌日にはアルドーレとラーゴムがオープン戦勝利とオルフェーヴル産駒がダートで輝いた週であった。

その後は休養に入って、9月18日のOP戦ラジオ日本賞で戦線復帰。主戦を務める横山和生がフランスでの空港ストライキの影響を受け帰国が間に合わず、急遽木幡巧也騎手が乗ることになった。ここでは最後方から捲り上がり最速で迫るも、休み明けや急な騎手交代の影響もあってか大きく出遅れたことに加えて外枠、直線の短い中山と不利な条件が重なり、止まらない先行馬を捕まえきれずに3着に敗れた。

続いてダート初勝利と同じ舞台であるリステッド競走ブラジルカップに出走。鞍上は引き続き木幡巧也騎手。ここでは出負けするも鞍上に促されて15頭中10番手あたりを追走。最終コーナーから外に持ち出して直線を迎えると前の馬たちを交わし去っていき、2馬身での完勝でOP初勝利を挙げた。上がり3ハロンはもちろん最速、2位にコンマ6秒差をつける35秒5を記録した。

その後は阪神に転戦し、横山和生が鞍上に復帰してのOP特別カノープスステークスに出走。ここでも後方に構えるも横をぴったりマークされ、前も壁と全く仕掛けられない状態となってしまう。しかし、直線入り口で強引に外に持ち出すと一気に前を飲み込んで2馬身半差で完勝した。上がり3ハロンは37秒3とやや遅くなったが、それでも2位にコンマ7秒差をつけレベルの違いは見せつけた。

そして暮れのダート大一番東京大賞典へ出走。チャンピオンズC組のテーオーケインズ・ジュンライトボルト・クラウンプライドが揃って回避したことや、同競走4連覇中だったオメガパフュームが引退したこともありやや手薄なメンバー構成であったが、同舞台の帝王賞でチュウワウィザードとオメガパフュームを破ったメイショウハリオ、同舞台のジャパンダートダービーを勝利したノットゥルノ、かしわ記念の優勝馬で同じオルフェーヴル産駒の牝馬ショウナンナデシコ、前年の川崎記念・かしわ記念の優勝馬で一昨年の同競走で2着のカジノフォンテンなどの強豪馬が集結。ウシュバテソーロは重賞未勝利馬ながら、ここまで記録した末脚はメンバー屈指ということで、メイショウハリオに次ぐ4.3倍の2番人気となった。
レースでは勢いよくショウナンナデシコが逃げ、ウシュバテソーロはスタート直後から中団後方に下げメイショウハリオを見る位置で競馬を進めた。第3コーナー前から捲り上げる馬が現れ出し、メイショウハリオとウシュバテソーロも外に持ち出し3,4コーナー中間で仕掛けられる。一気に大外を捲ると6番手辺りで直線に突入。またも別格の末脚を繰り出し、粘るショウナンナデシコなどの先行馬とそれを捉えようとするメイショウハリオを外からまとめて抜き去り、仕掛けを待って追い上げてきたノットゥルノも引き離していく、最後は1馬身3/4差をつけてゴール、GⅠどころか重賞初挑戦でGⅠ馬の仲間入りを果たした。上がりはまたしても2位をコンマ5秒上回る37秒2。ダート転向後見せ続けてきた切れ味がGⅠでも通用することを証明した。
オルフェーヴル産駒はこの年牡牝両方でダートGⅠ級を勝利。初年度産駒のデビュー年(ラッキーライラックの2017年阪神JF)から6年連続国際GⅠ勝利となった。鞍上の横山和生もGⅠレース3勝目で、タイトルホルダーでの有馬記念で不発に終わった悔しさを暮れの大舞台で晴らしてみせた。

6歳

年が明け6歳初戦は川崎記念。ドバイ遠征へ向けて始動するテーオーケインズとの初対決となり、単勝2.0倍の同馬に次ぐ2番人気(2.6倍)に推された。ウシュバテソーロは初の川崎ということで、小回りのコーナーへの対応や、大井より短い直線で自慢の末脚が活きるのか、といった点が焦点という感じとなった。
レースは先行する他の人気勢を見ながら少し離れた中団からスタート。1周目のスタンド前、牝馬戦線で捲り戦法でレースをかき乱すことで知られる紅一点テリオスベル(連闘)がここでも捲ってくる展開となり、ノットゥルノが引っかかったりペイシャエスが馬込みに後退したりと隊列が乱れるが、ウシュバテソーロは動じることなく、テーオーケインズを見るような中団の位置で競馬を進めた。
そのまま3~4角でも内ラチ沿いを立ち回り、川崎のタイトなコーナーを綺麗にコーナリングしながら加速。テーオーケインズを4角でかわして直線入口で先に抜け出すと、追いかけてきたテーオーケインズを寄せ付けず半馬身差、追い込んで3着に上がってきたニューモニュメントには更に4馬身差をつけて完勝。
当然のように上がり最速の39秒5(上がり2位のテーオーケインズとはコンマ4秒差)を出して、4連勝でGⅠ級競走2勝目をマークし、確固たる実力を証明する結果となった。

この連勝で予備登録していたドバイワールドカップから招待が届き遠征へ。当日は和生が日経賞でタイトルホルダーに騎乗するため、鞍上は川田将雅となった。本番はパンサラッサ、テーオーケインズ、ヴェラアズール、カフェファラオ、ジュンライトボルト、クラウンプライド、ジオグリフと日本勢が8頭も出走する中、日本での馬券発売・海外ブックメーカーとも4番人気に支持される。

この30分程前にイクイノックスがドバイシーマクラシックで恐怖のノーステッキ逃げ切り勝ちを納めた衝撃も醒めやらぬ中、レースは大外枠のパンサラッサがハナを取りきれず、内枠のリモースと2頭で逃げる形に。ウシュバテソーロは1頭ポツンと最後方、中継の画面からも外れるような一番後ろからスタートする。3コーナーあたりでパンサラッサが力尽きて沈む一方、ウシュバテソーロは外へ持ち出すと、4コーナーから一気に捲りを開始。直線に入ってその末脚で猛然と追い込み、粘るアルジールスを並ぶ間もなくあっさりとかわすと、あとは突き抜ける一方。2と3/4馬身差をつける圧勝でゴール板に飛び込んだ。後に公式ラップタイムに掲載された上がりは2位を0秒76上回る37秒87と世界の舞台でも末脚は一切変わらなかった。

2011年のヴィクトワールピサ以来2頭目、ダート開催となってからでは初のドバイワールドカップ制覇。1年前には芝の3勝クラスで壁に突き当たっていた馬が、ダートグレード競走負け無しの勢いのままに、一気に世界のダートの頂点へと駆け上がった。
鞍上の川田将雅は日本人ジョッキーによる同レース初制覇。2021年のラヴズオンリーユーと共にブリーダーズカップ・フィリー&メアターフで牝馬海外GⅠを制した名手が牡馬でも快挙を達成した。
また、了徳寺オーナーは実は中央重賞未勝利。中央重賞より先に交流GⅠに続いて海外ダートGⅠをゲットしてしまった。
なおこのレースの約8時間前には主戦の和生がタイトルホルダーで日経賞を楽勝。海の向こうで復活劇を決めた彼にも吉報を届ける事が出来た。
そして2023年は1996年のレース創立から始まった川崎記念→ドバイWCの両取りが可能な最後の年(2024年より川崎記念が4月開催に変更)。ホクトベガから始まり数々のダート強豪馬が叶わなかった両レース制覇を、ウシュバテソーロは初めて成し遂げた最初で最後の馬となった。

後日発表されたロンジンワールドベストレースホースランキングではこのレースでレーティング122ポンドを獲得。全体6位タイであり、イクイノックスをはじめとした並居る芝馬に紛れて現役ダート馬最高値を叩き出した。普段はあんだけやる気ないのに

そんなウシュバテソーロだが、帰国後は夏の暑さが苦手という事で帝王賞には出走せず、秋まで休養に入る。そして秋は凱旋門賞という話もあったが、日本テレビ盃をステップに、アメリカのダート世界最強決定戦であるブリーダーズカップ・クラシックに挑むことが表明された。日本馬のBCクラシック出走自体、実現すれば2010年のエスポワールシチー以来13年ぶりである。今年のブリーダーズカップは西海岸のカリフォルニア、サンタアニタパーク競馬場での開催であるため、日本からも参加しやすいのも大きな理由だろう。日テレ盃を回避した3歳馬デルマソトガケも間に合い、フライトラインが去った後の秋の米国ダートへ2頭で挑む。

始動戦の日本テレビ盃は初の対古馬となるJDD3着馬ミトノオー、エルムステークスを勝って上り調子の4歳馬セキフウらとの対決。ウシュバテソーロとミトノオーとの斤量差は4kgだが、逃げる後者をどのように捉えるかが焦点となった。
レースではいつも通りやる気なさげに後方待機かと思いきや発馬よく前に出ると、3番手追走という今までとは違う競馬を見せる。逃げるミトノオーに並び掛けるスワーヴアラミスからやや離れた位置を追走、3コーナーから4コーナー付近では鞍上にガシガシ追われる場面もありながらも直線入口で一気に交わして先頭に立つとそのまま抜け出して2馬身半差で完勝。これで通算6連勝とした。
ちなみに最後流したこともあってか、横浜ステークスより7戦連続で持ち続けてきた上がり最速の座をセキフウに明け渡すことになった(それでもコンマ1秒差の2位タイとなる37秒2を叩き出しているが)。

かくして無事に10月17日頃に検疫入りし、24日にデルマソトガケやシャフリヤールら他のBCレース参戦組と共に渡米。BCの週は同じ了徳寺オーナー所有馬で重賞3連勝中のウィルソンテソーロも菅原明良騎手と共にJBCクラシックに挑むことになり、日米双方でテソーロ一門がダートの頂点を目指すことになった。
ブリダーズカップ・クラシックはベルモントSとトラヴァーズSを勝ち人気を牽引していた米国の3歳馬アルカンジェロが直前で回避となったものの、デルマソトガケ含め12頭中4頭が3歳馬という構図。ウシュバテソーロは唯一の6歳馬ということで、競走経験の多いベテランとしての意地を見せたいところである。オッズはJRAでは2.1倍の1番人気、アメリカのオッズでも上位人気であった。
レースはアレイビアンナイトが逃げてホワイトアバリオが3番手、デルマソトガケが4番手となり、ウシュバテソーロは最後方となる。向こう正面で中団に付けて3コーナーから4コーナーにかけて捲り上げて直線に入るも、そこまで脚を使い過ぎたのかあまり伸びずにホワイトアバリオの5着。連勝は6で止まった。それでもBCクラシックの日本馬最先着を2着のデルマソトガケと共に更新。ドバイWC覇者、そして3歳馬ら若い馬がひしめく大レースで6歳馬としての意地を見せた。

気を取り直して帰国初戦は連覇を狙って東京大賞典に出走。9頭立ての少頭数ながら、無敗の南関東三冠馬ミックファイアや前走JBCクラシックでGⅠ級初制覇を果たしたキングズソード、昨年の2着馬ノットゥルノ、同馬主で前走チャンピオンズカップ2着のウィルソンテソーロ、芝・ダート・海外の三刀流ドゥラエレーデなどの面々が揃った。そんな中でも単勝オッズ1.7倍という圧倒的な1番人気の支持を受けた。
レースは逃げ馬不在ということもあってウィルソンテソーロが果敢に逃げを打つ展開となり、ウシュバテソーロは後方2番手といういつも通りの位置取りでの競馬となる。スローペースの展開の中、向こう正面で少し位置取りを上げて外目に持ち出しミックファイアの後ろに付けた。そのままコーナーも大外を回して直線に入ると、その豪脚を発揮して前の馬たちを次々と交わし去っていき、最後は逃げ粘るウィルソンテソーロをゴール前で差し切って半馬身差で勝利。2着ウィルソンテソーロ以下はほぼ道中の隊列通りに入線する完全な前残りの展開を大外ブン回しで差し切るという、1頭だけ格の違いを見せ付けるような内容で見事に東京大賞典連覇を果たした。上がりは勿論最速の37秒0。白砂に変わって時計の掛かる大井のダートで前年よりコンマ2秒速いという上がりは正に世界屈指の末脚だろう。

結局1年間中央のレースは一度も走らなかったため、同年のJRA賞最優秀ダートホースはフェブラリーSとチャンピオンズCを制したレモンポップに譲ったが(それでも295票中126票を集め、レモンポップとは40票差だった)、ダートのドバイWC初制覇が評価され、JRA賞特別賞を受賞した。また、NARグランプリでもダートグレード競走特別賞を受賞。

7歳

同期のテーオーケインズやカフェファラオが引退する中、ウシュバテソーロは7歳となる2024年も現役続行。当初は連覇の懸かるドバイワールドカップへ直行予定だったが、状態は問題無いという事でサウジカップへの参戦が決定。順調なら昨年の中央ダートGⅠ制圧を成し遂げたレモンポップとの初対決が実現する。

それぞれ異なる路線で現役ダート代表の座にいるこの2頭、1600ならレモンポップ、2000ならウシュバテソーロが強いのは間違いないだろうが、その中間の1800ならどっちが勝つのか――という意味でも楽しみな対決となりそうだ。勿論ホワイトアバリオやデルマソトガケといったBCクラシック上位馬も1着約13億円のサウジマネーを狙っており、今年からはJRAでの馬券販売も開始。巨額が動く2月末の大勝負となる。

この年で引退を表明しており、秋はチャンピオンズカップ東京大賞典の国内ダートGⅠ競走を目指しつつも凱旋門賞への遠征も視野に入れている。サウジC制覇かドバイWC連覇を果たせばイクイノックスを上回って国内歴代賞金王となる。種牡馬入りまでに何処まで勲章を重ねられるか。

逆追い切り詐欺

初GⅠ制覇を果たした2022年の東京大賞典、そのレース前に公開された調教の追い切り動画でのこと。ウシュバテソーロは2歳の未勝利馬オウギノカナメと、1勝クラスの3歳馬デコラシオンと3頭で併せ馬をしていた。
その内容はというと、外の馬は馬なりで先着、真ん中の馬は一杯に追われてなんとか2番手、内の馬は一杯に追われながら2頭に完全に遅れていた。

問題: ウシュバテソーロはこの3頭のうちどの馬でしょう?
答え: 2歳未勝利馬と3歳1勝馬に先着された内の馬です。

あまりにも追い切りの内容が悪すぎて、馬なりで先着した外の馬(デコラシオン)をウシュバテソーロだと誤解し「追い切りの内容も良い」と間違える馬券師も出る始末。そしてこの追い切りを見てウシュバテソーロを切った馬券師が泣きを見たのは言うまでもない。

このときだけでなく、ダート転向以来ウシュバテソーロは、ブラジルカップでもカノープスSでも調教では馬なりの条件馬相手に一杯に追ってようやく併入という有様なのに、本番になると前述の通り快勝しており、競馬ファンの間では「逆追い切り詐欺」「クソ追い切り芸人」などと言われている。東京大賞典に続いて2023年の川崎記念も相変わらずやる気の無い追い切りからの本番で勝利を決め、「調教VTRが一切アテにならない馬」という評価を確固たるものにした。
ドバイWCの追い切りでは珍しく好タイムを出していたが、タイムを出した最後の1F以外では思いっきりよそ見をしていた。日本競馬の情報を英語で発信するGraham Pavey氏のツイートでも「ウシュバテソーロはよく怠けるが、素晴らしい11秒0を出した(原文: USHBA TESORO often a lazy worker an impressive 11.0)」と評されている。

調教のみならず、返し馬ではカニ歩きをする、ゴールすると誰よりも早く減速して歩き始める……と、とにかく徹底してレース以外ではやる気を見せない。

五冠馬シンザンの例を引くまでもなく、調教ではさっぱり走らないがレースになると本気を出す馬というのは実際居る。ウシュバテソーロも力を出すべき機会がどこなのかちゃんと解っているのかもしれない。
実際レースぶりにもそんな様子が見て取れ、基本先行有利のダートで差し馬をしているのも、勿論それができるだけの強烈な末脚があるからだが、スタートでは押しても前に行こうとせず、いざハナに立つとソラを使ってしまう癖があるように最後の一瞬だけ他馬をぶち抜けばいいと馬が理解しているような節がある。
これもまたステゴ一族の血なのであろうか……。

余談

  • どうやらウシュバテソーロはそもそも調教が嫌いらしい。
    • ドバイでは追い切りを始めようと準備していたときに既に調教を終えた別の馬が引き上げてくるのを見て「俺も帰りたい」と主張したうえ[1]、アメリカでも調教へ出ること自体をゴネる、調教中に馬場の出入口を見かけるたびに帰ろうとする、ウインマリリンなど他馬に誘導してもらってようやく調教ができるという鋼の帰りたいムーブを披露している[2]
  • パドックでも思いっきり首を下げて元気無さそうにトボトボと歩く様(ファン曰く「この世の終わりのようなパドック」「元気のないチョコボ」「月曜日のサラリーマン」etc...)が観測されるが、高木師曰く実はこのときテンションが落ちているどころか逆に入れ込んでいて必死に宥められている状態なのだという[3]
    • また、レース前にたてがみを編んでいたら急にスイッチが入って手が付けられなくなったなんてこともある模様。やはりこの馬、レースとそうじゃない時を察知しているのでは?

血統表

オルフェーヴル
2008 栗毛
ステイゴールド
1994 黒鹿毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ゴールデンサッシュ *ディクタス
ダイナサッシュ
オリエンタルアート
1997 栗毛
メジロマックイーン メジロティターン
メジロオーロラ
エレクトロアート *ノーザンテースト
*グランマスティーヴンズ
ミルフィアタッチ
2003 鹿毛
FNo.9-f
キングカメハメハ
2001 鹿毛
Kingmambo Mr. Prospector
Miesque
*マンファス *ラストタイクーン
Pilot Bird
*シジェームサン
1992 鹿毛
Septieme Ciel Seattle Slew
Maximova
Samalex Ela-Mana-Mou
Pampas Miss

クロス:*ノーザンテースト 5×4(9.38%)

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関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • オルフェーヴル
  • 2020年クラシック世代
  • サンデーサイレンス系
  • 働きたくないでござる

脚注

  1. *月刊『優駿』2023年5月号より。
  2. *JRA公式YouTubeチャンネル『【2023ブリーダーズカップ】関係者インタビュー(ウシュバテソーロ・川田将雅騎手ほか) | JRA公式』より。
  3. *スポニチアネックス『【米G1・BCクラシック】高木登師 ウシュバテソーロと挑む米最高峰レース!再び世界を驚かす』より。
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