ストラクター

ストラクター (Structor)とは、2017年2月4日生まれのアメリカの競走馬である。鹿毛の牡馬。

主な勝ち鞍
2歳(2019年)：ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルターフ(GI)、ピルグリムステークス(GⅢ)

概要

父:*パレスマリス、母:Miss Always Ready、母父:More Than Readyという血統。

父*パレスマリスは三冠レースのベルモントSと古馬ダートマイル路線の有力レース・メトロポリタンHのGI2勝馬で、産駒が日本で好調であったことから後に輸入された。ストラクターは*パレスマリスの初年度産駒。

母Miss Always Readyは5戦1勝の米国産馬で、全姉More Than Realはブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズターフの勝ち馬。その母Miss Seffensはリステッド5勝など26戦11勝。ファミリーナンバーは、血統表上でイギリスの繁殖牝馬にたどり着けない所謂アメリカンナンバーに属する。

母父More Than Ready(モアザンレディ)はヘイロー系種牡馬で*サンデーサイレンスと双璧をなす*サザンヘイローの代表的な後継種牡馬として知られている。

パレスマリスを種牡馬として繋養していたThree Chimneys Farm(スリーチムニーズファーム)によって生産。キーンランド社セプテンバーセールで16万ドルで取引された後、翌年のOBS2歳トレーニングセールでは公開調教の好調もあって落札額4位タイとなる85万ドルで取引され、最終的にJeff DrownとDon Rachelの所有になった。

馬名は一応英単語^[1]ではあるが、あまり単体で使用されることはないようだ。

戦績

2歳(2019年)

チャド・ブラウン厩舎に入厩し、イラッド・オルティス・ジュニアを鞍上に8月の芝8.5ハロン戦に出走。1番人気に支持され、直線で先頭に立って押し切り1馬身以上の差をつけて初勝利。

続いて9月の芝8.5ハロンのピルグリムステークス(GⅢ)に出走。2番人気に支持され、好位につけて抜け出す競馬でアタマ差勝利となった。

11月には芝8ハロンのブリーダーズカップ・ジュヴェナイルターフ(GI)に参戦。イラッド・オルティス・ジュニア騎手の弟であるホセ・オルティス騎手を鞍上に3番人気に支持されると、最後の直線で馬群の中団、から抜け出して3連勝でGI制覇を決めた。

3歳(2020年)

ダートでの調教で良い結果を出したこともあり、アメリカ競馬の象徴的レースであるケンタッキーダービー^[2]への出走を志向し、ダートGⅡのファウンテンオブユースステークスに出走予定であったが、喉の調子が悪く回避した。喉の手術を受けていったん復帰に向けた動きを見せたものの結局3歳はそのまま休養することとなった。

4歳(2021年)

復帰戦として2月に芝8ハロンのオプショナルクレーミング競走に1番人気で出走したが結果は4着に終わった。

種牡馬入り

2022年1月に日本のレックススタッドによって購入され、来日が遅れたこともあって翌2023年から種牡馬入りすることとなった。

受胎条件70万円と輸入種牡馬としては比較的安価に設定されたものの、初年度種付け数は僅か29頭。

アメリカの2歳芝GI馬という経歴ではやや不十分であったということもあるだろうが、そもそも父*パレスマリス自体がこの時点で種牡馬として不振であった。初年度2万ドルから1万5000ドルに減額された種付け料が、ストラクターの活躍もあって2020年に2万5000ドルに増額されたまでは良かったが、その後が続かず2023年は7500ドルで種付け数は僅か6頭という有様。

パレスマリスの母*パレスルーマー産駒からは日本で重賞馬ジャスティンパレスが出たとはいえ、流石に父母の実績では微妙といったところ。

折角輸入したのに初年度からこの低調振りでは…………という感じであったが、このタイミングでなんとパレスマリス産駒の持ち込み馬ジャンタルマンタルが重賞を制覇。

これは来年の種付けに期待できる！と思いきやダーレー・ジャパンがパレスマリス本馬を輸入。アメリカでは不振であったことを思えば買えたのもそこまで不思議ではないかもしれない。

しかし、ここからジャンタルマンタルがGI馬となり、更に別のパレスマリス産駒ノーブルロジャーまで重賞馬となったことからパレスマリスブームが到来。

パレスマリスが種付け料350万円で262頭の牝馬を集める中、前年の不振もあって受胎条件40万に値下げされていたストラクターにも68頭の牝馬が集まることとなった。

因みにジャンタルマンタルもノーブルロジャーも2021年生まれ、つまりストラクターのGI制覇を受けて91頭から207頭に種付け数が急増した世代であった。そう考えると、もしかしたらストラクター自体がパレスマリスブームの陰の立役者だったと言えるのかも知れない。

3年目の2025年の種付け料は再び受胎条件70万円に復帰。今後の動向に期待したい。

血統表

*パレスマリス 2010 鹿毛	Curlin 2004 栗毛	Smart Strike	Mr. Prospector
			Classy'n Smart
		Sherriff's Deputy	Deputy Minister
			Barbarika
	*パレスルーマー 2003 鹿毛	Royal Anthem	Theatrical
			In Neon
		Whisperifyoudare	Red Ransom
			Stellar Affair
Miss Always Ready 2012 黒鹿毛 FNo.A1	More Than Ready 1997 黒鹿毛	*サザンヘイロー	Halo
			Northern Sea
		Woodman's Girl	Woodman
			Becky Be Good
	Miss Seffens 鹿毛 1997	*デヒア	Deputy Minister
			Sister Dot
		Noise Enough	Bold Ruckus
			Ample Example

クロス: Deputy Minister 4×4(12.50％)、Mr. Prospector 4×5(9.38%)

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧
• 2020年クラシック世代
• パレスマリス

脚注

1. *「構造」を意味する。
2. *父パレスマリスは12着に終わっていた。