ギロチン(仏:Guillotine)とは、主にフランスで用いられていた斬首刑の執行装置である。おそらくは世界で最も著名な処刑道具の一つ。提案者ギヨタン(Guillotin)の名にちなむ[1]。
二本の柱の間に斜め状になった刃を吊るし、これを落とすことで柱の下に寝そべって固定された罪人の首を切断する装置。断頭台と呼ばれることも多いが、厳密には斬首刑の執行の際に用いられる台全般を指すものであり、ギロチンだけを意味するものではない。フランス革命の最中に現在よく知られる形のギロチンが考案・実用化された。
当時、斬首刑に処せられるのは貴族のみであり、平民は絞首刑や車裂きの刑に処せられていた。言わば、一瞬かつ安らかに死ぬことが出来る斬首刑は貴族のみに許された名誉刑であった。一方で、肝心の斬首刑自体も死刑執行人の手で行われており、執行人の腕によっては何度も首に斬りつけなければならないことがあるなど、受刑者に多大な苦痛を与えることも多く、斬首刑は熟練の腕を必要とする極めて難しい処刑方法であった。
そんな折、かねてから死刑の方法を斬首に統一するように提案していたフランス国民議会議員であり内科医であったジョゼフ・ギヨタンは、単純な機械的な作用によるために失敗の可能性が低く、かつ身分に関係なく適用される人道的な斬首制度を導入することを訴え、彼の熱意に負ける形で彼の案が採択され、依頼を受けた外科医が各地の断頭台を基に改良を加え、設計を行った。なお、当初は円月状の刃が使うことが考えられていたが、最終的には斜め状の刃を採用することとなった。試作品はドイツ人の楽器製作職人によって製作され、その効果が実証されるとすぐに公式な処刑道具として採用されることとなった。
その後は、フランス革命の激化と共にギロチンの出番も増え、ルイ16世やマリー・アントワネットを始めとした多くの人間がギロチンによって処刑された。特に、ロベスピエール率いるジャコバン派の恐怖政治下では連日ギロチンによって反乱分子が処刑され、最終的には失脚したロベスピエール自身もギロチンによって処刑されるなど、ギロチンはフランス革命のシンボルへと変化していった。
また、ギロチンは公開処刑を原則としていたため、次第に市民の娯楽として受け入れられるようにもなり、ギロチンを模したミニチュアや愛好家が存在するほどであった。ギロチンによる処刑は近代に入っても欧州の各地で行われ、それらの国々が死刑制度を廃止したことをきっかけにその歴史に幕を閉じた。
現在では、斬首刑に対しては悪いイメージを抱いている人が多いとされるが、以上のようにギロチンは苦しむことなく一瞬で死を与えられる人道的な死刑制度として欧州では受け入れられていた。特に、ギロチンの導入に関わったギヨタンやギロチンの執行人であったシャルル=アンリ・サンソンは熱心な死刑廃止論者であったことも注目に値する。
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最終更新:2024/05/02(木) 14:00
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