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ジャスティファイ

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ジャスティファイ(Justify)とは、2015年生まれの米国の競走馬である。

41年ぶり2頭目、そして136年ぶり2頭目の栄光に輝き、風のように去ってしまった馬。
馬名は「正当化する」という意味であり、生産所有者のウィンスターファームがとっておきの馬のために温めていた名前である。

概要

父Scat Daddy、母Stage Magic、母父Ghostzapperという血統。父は日本でお馴染みの*ヨハネスブルグの産駒で、夭折したが多くの活躍馬を送り出した。母父は2004年の米国年度代表馬で、2000年代初頭の米国最強馬とも呼ばれる名馬。

デビューは3歳2月と遅かったが、ここを9馬身半差で圧勝。翌月の条件戦も6馬身半差で圧勝すると、重賞初挑戦となったGⅠサンタアニタダービーもあっさり逃げ切り3連勝。僅か2ヶ月でクラシックの主役に浮上する。

堂々1番人気で挑んだケンタッキーダービー。しかし気になるジンクスがあった。「アポロの呪い」である。
史上初めて3歳デビューでケンタッキーダービーを制したのは1882年のApolloという馬だった。しかしその後100年以上3歳デビューのダービー馬は現れず、いつしか「アポロの呪い」と呼ばれるようになった。近年だと後にドバイWCを圧勝するCurlinも3歳2月のデビューからケンタッキーダービーに挑み3着に敗れている。経験不足や多頭数への対応などが要因として挙げられるが、フルゲート20頭なんて2歳デビューでもそうそう経験できないので一概には言えない。

史上最悪と言われるほどの超不良馬場で行われた本番。ジャスティファイは2番手でレースを進めるが、逃げ馬のペースはなんと4ハロン45秒7。ダートでは上がり4ハロンでも早々出ないタイムを前半で叩き出してしまったのである。3年前の三冠馬American Pharoahなどを育てた名伯楽ボブ・バファートも「もうダメだ」と考えてしまったという。
しかしこの馬、3~4角で先頭に立つと、後続を力強く突き放す。後続も全く問題にせず、2馬身半差で完勝。「アポロの呪い」を136年ぶりに打ち破った

ジャスティファイは二冠を狙いプリークネスSに出走。今度は不良馬場に加え濃霧の中の一戦となる。前走同様に先行策を取ると、直線では後続の追撃を受けるも2着Bravazoを半馬身退け勝利し二冠を達成する。

こうなると目指すは米国三冠。三冠自体は3年前に同じ厩舎からAmerican Pharoahが達成したが、無敗での三冠達成となると1977年のSeattle Slew1頭のみ。しかもキャリア僅か5戦である。2戦続けて不良馬場となったこともあり、主戦のマイク・スミスをはじめ疲労を心配する声もあった。

運命のベルモントSはようやくの良馬場。最内枠から発走したジャスティファイはスッと先手を奪い軽快に逃げる。半マイル48秒11とペースも問題なく、貯金を保ったまま直線に突入。最後まで影を踏ませないまま1馬身余りの差をつけて逃げ切り快勝。史上2頭目、41年ぶりの無敗の米国三冠を達成した。

キャリア6戦、まだまだ発展途上……と思われたが、なんと7月に突如引退を発表。なんでも足首を故障し回復が思わしくなかったらしい。史上2頭目の無敗の米三冠馬は僅か半年で競馬場を去ることになった。

ちなみに引退後の2019年、サンタアニタダービー時に環境汚染のため薬物の陽性反応が不問になったことに関して2着馬の馬主から異議申し立てが行われ、失格もあり得るということで大騒ぎになった。2020年12月にカリフォルニア州競馬委員会は「当時の審問は適切に行われた」として申し立てを棄却したが、争いは裁判所まで持ち込まれ法廷闘争に突入。2024年4月にサンタアニタダービーを失格とする判決が正式に下り、無敗の三冠馬の称号は剥奪されることとなってしまった。

種牡馬としては2022年から産駒がデビューし、その中からArabian Lionが2023年のウッディ・スティーヴンスSでGI初勝利を挙げている。

血統表

Scat Daddy
2004 黒鹿毛
*ヨハネスブルグ
Johannesburg
1999 鹿毛
*ヘネシー
Hennessy
Storm Cat
Island Kitty
Myth Ogygian
Yarn
Love Style
1999 栗毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Likeable Style Nijinsky II
Personable Lady
Stage Magic
2007 栗毛
FNo.1-h
Ghostzapper
2000 鹿毛
Awesome Again Deputy Minister
Primal Force
Baby Zip Relaunch
Thirty Zip
Magical Illusion
2001 栗毛
Pulpit A.P. Indy
Preach
Voodoo Lily Baldski
Cap the Moment

クロス:Mr. Prospector 3×5×5、Nijinsky II 4×5、Narrate 5×5

主な産駒

  • Arabian Lion (2020年産 牡 母 *アンバウンド 母父 Distorted Humor)
    • 2023年ウッディ・スティーヴンスS(米GI)
  • Aspen Grove (2020年産 牝 母 Data Dependent 母父 More Than Ready)
    • 2023年ベルモントオークス(米GI)、2022年ニュータウナナースタッドS(愛GIII)
  • *オーサムリザルト (2020年産 牝 母 Blossomed 母父 Deputy Minister)
    • 2024年エンプレス杯(JpnII)
  • City of Troy (2021年産 牡 母 Together Forever 母父 Galileo)
    • 2023年デューハーストS(英GI)、2024年ダービーステークス(英GI)、2024年エクリプスS(英GI)、2024年インターナショナルS(英GI)、2023年スーパーレイティヴS(英GII)
    • 2023年カルティエ賞最優秀2歳牡馬
  • Hard to Justify (2021年産 牝 母 Instant Reflex 母父 Quality Road)
    • 2023年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズターフ(米GI)、2023年ミスグリージョS(米GII)
  • Just F Y I (2021年産 牝 母 Star Act 母父 Street Cry)
    • 2023年フリゼットS(米GI)、2023年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(米GI)
  • Opera Singer (2021年産 牝 母 Liscanna 母父 Sadler's Wells)
    • 2023年マルセル・ブサック賞(仏GI)、2024年ナッソーS(英GI)、2023年ニュータウナナースタッドS(愛GIII)
    • 2023年カルティエ賞最優秀2歳牝馬

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  • アメリカンファラオ(先代三冠馬で厩舎の先輩)
  • シアトルスルー(無傷の三冠馬の先輩)
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