ディストーテッドヒューマー(Distorted Humor)は、1993年生まれのアメリカの競走馬・種牡馬である。
現役時代はGI未勝利だったが、種牡馬として大成功を収め、大種牡馬*フォーティナイナーがアメリカに残した産駒の中では一番の種牡馬成績を残している。
※各媒体によってカナ表記にバラつきが存在するが、本項では「ディストーテッドヒューマー」で統一する。
父Forty Niner、母Danzig's Beauty、母父Danzigという血統のケンタッキー州産馬。父*フォーティナイナーは勿論、母も重賞馬で、牝系をずっと遡るとディストーテッドヒューマーの7代母にリーディングサイアー5回・産駒の殿堂馬7頭の名種牡馬Bull Leaの全姉Nectarineがいるという、割といい血統である。
競走馬としてのデビューは3歳2月になったが、ここを6ハロン戦ながら5馬身半差で圧勝。レース後に早速権利の半分が購入され、次走の一般競走(4着)後には厩舎もフィル・グリーヴス厩舎からW.エリオット・ウォルデン厩舎に替わった。
転厩初戦の一般競走ではそれまでの好位~中団抜け出しから一転して逃げの競馬を試したが、問題なく2馬身半差で快勝した。その後は短距離路線を歩んだが、5月に出走したシェリダンS(GIII・1マイル)では不良馬場に手こずらされて3角で早々に失速。1番人気を大きく裏切る7着(8頭立て)に沈んだ。
その後は一般競走を5馬身差、スクリーンキングS(格付けなし)を5馬身半差で連勝して重賞路線に戻ってきたが、キングズビショップS(GII・7ハロン)では3着、ジェロームH(GII・1マイル)とファイエットS(GII・9ハロン)では2着と惜敗が続いた。続けて秋のダートマイル王決定戦であるNYRAマイルハンデキャップ(GI)に駒を進めたが、ハイペースを見越して中団に控えたホセ・サントス騎手の予測を更に上回るペースでレースが推移し、後方からマクってきたGold Feverに一気に突き放され5着に敗戦。3歳時は重賞未勝利で終わった。
4歳時は一般競走でハナ差2着2回の後、サルヴェイターマイルH(GIII・1マイル)は4頭立てにも助けられて5馬身半差で勝利し、ようやく重賞初制覇を挙げた。しかしフィリップ・H.アイズリンH(GII・8.5ハロン)ではFormal Goldとスキップアウェイという2頭のGI馬に完敗して4頭立ての3着となり、ケンタッキーカップクラシックH(GIII・9ハロン)では鞍上のパット・デイ騎手がムチを落とすアクシデントが響いて2着に惜敗。レース後に体調不良を起こし、4歳シーズンはこれで終了となってしまった。
5歳初戦は4着に落としたが、続けて出走したコモンウェルスブリーダーズカップS(GII・7ハロン)とチャーチルダウンズH(GII・7ハロン)を共にレコード勝ちした。その勢いを駆ってメトロポリタンH(GI・1マイル)に駒を進めたが、生憎苦手な重馬場となってしまい、*ワイルドラッシュに逃げ切られて5着に敗れた。
その後は秋まで休養したが、初戦のヴォスバーグS(GI・7ハロン)で6着、フェニックスブリーダーズカップSでは5着と連敗した。次のアックアックH(GIII・7.5ハロン)こそ勝ったが、ラストランとなったNYRAマイルH改めシガーマイルHでは前が塞がって3着に惜敗してしまった。
通算成績は23戦8勝。重賞はGII・GIIIが2勝ずつで、GIには手が届かなかった。
競走馬としてはGIに手が届かなかったディストーテッドヒューマーは、オーストラリアの牧場に1万2000ドルで購入され、同国で2年間種牡馬として供用された後、アメリカに戻ってウィンスターファームで種牡馬入りした。
アメリカでの初年度産駒が走り始めたのは2002年のことだったが、この年にいきなりAwesome Humorが2歳GIのスピナウェイSを勝つと、翌年の三冠戦線ではFunny Cideがケンタッキーダービー・プリークネスSを制して二冠を達成し一気に人気が沸騰。オーストラリアに残した産駒も93頭中74頭が勝ち上がった上にGI馬も出るなど秀逸な成績を残したこともあって種付け料は鰻登りとなり、2008年には30万ドル(Storm Catや全盛期のA.P. Indyと同額)にまで達した。
当然産駒もそれに見合う活躍を収めており、2005年の北米サイアーランキングでは1位のSaint Balladoに肉薄する2位に入ったほか、トラヴァーズSを勝ったFlower AlleyやベルモントS・BCクラシックを制したDrosselmeyerなどの大物も輩出。*フォーティナイナー直仔と間違われることに定評のある*フォーティナイナーズサン(クレメント・L,ハーシュターフチャンピオンシップS)も本馬の産駒である。
ステークスウィナーは既に150頭を超え、2012年にはFlower Alley産駒の*アイルハヴアナザーが二冠を達成。名実ともに米国における*フォーティナイナー系の屋台骨を担う存在となったディストーテッドヒューマーは、2021年に28歳という高齢で引退するまで種牡馬としてコンスタントに活動した。祖父Mr. ProspectorにとってのFusaichi Pegasusや*アルデバランのように、晩年の傑作と言うべき産駒を出すことはできるだろうか。
| *フォーティナイナー Forty Niner 1985 栗毛 |
Mr. Prospector 1970 鹿毛 |
Raise a Native | Native Dancer |
| Raise You | |||
| Gold Digger | Nashua | ||
| Sequence | |||
| File 1976 栗毛 |
Tom Rolfe | Ribot | |
| Pocahontas | |||
| Continue | Double Jay | ||
| Courtesy | |||
| Danzig's Beauty 1987 鹿毛 FNo.9-f |
Danzig 1977 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
| Natalma | |||
| Pas de Nom | Admiral's Voyage | ||
| Petitioner | |||
| Sweetest Chant 1978 鹿毛 |
Mr. Leader | Hail to Reason | |
| Jolie Deja | |||
| Gay Sonnet | Sailor | ||
| Gay Rig | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
クロス:Native Dancer 4×5(9.38%)、Nasrullah 5×5(6.25%)、Turn-to 5×5(6.25%)
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最終更新:2025/12/11(木) 01:00
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